愛していると言ってくれ「口でするぶんには、男も女も変わらねえだろ」と能輪巳虎は言った。
最初にセックスした日のことだ。男としたことがあるかと問われ、私は正直にないと答えた。
土壇場で私の気が変わらないよう、巳虎はずいぶん気をつかっていたように思う。私が完全に勃起するまで、彼は服も脱がなかった。
手と口による愛撫はたしかに心地よかったが、物理的な刺激よりも、能輪巳虎がひざまずいてペニスをくわえる姿のほうがずっと興奮したものだった。
その日から今まで、私と巳虎の関係は途切れずに続いている。ひとりよがりのカン違いでなければ、いま彼の恋人は私のはずだ。
じっさいのところ、「男は口の中も男」というのが私のすなおな感想だった。さして経験豊富なわけではないが、巳虎のフェラチオは女性からされるものとは違っていた。ペニスを迎え入れる頬の筋肉は引き締まり、顎ひげが時どき内ももに触れる。そのくすぐったい感触が好きだった。
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