病弱江澄ss曦澄おち「もうここには来んな」
「どうして?そんな事言わないで、阿澄」
「どうしてもだ」
「明日も会いに来るから」
そう言って帰って行った彼。
綺麗な顔を歪ませてしまったけれど仕方がなかった。
小さな頃の約束は果たせそうにない。
ごめんな。
初めて藍渙…あの頃は阿渙と呼ばれていた。
出会ったのはココ。
このクラス10000の清浄な空気に囲われた箱庭みたいな小さな世界だった。
俺と同じ病の弟のドナーになるためにこの病院にやってきた彼。
小児病棟の端っこで他の患児達と混じることなく一人でいた彼はとても可愛らしい顔に不安を滲ませラウンジのベンチに座っていた。
「忘機…」
それが弟の名前だったらしかった。
何となく気になってしまった俺はその子に声をかけてしまっていた。今から思ったら笑えてしまうけれどその時俺は一目惚れをしてしまったのだった、彼に。
1625