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    takami180

    @takami180
    ご覧いただきありがとうございます。
    曦澄のみです。

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    takami180

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    続長編曦澄3
    もう少しあなたに近づきたい

    #曦澄

     いったい、あの人はなんのために蓮花塢へ来たのやら。
     江澄は窓から見えた光景に思わず笑みをこぼした。
     御剣の術の修行をはじめたばかりの幼い仙師たちが憧れの視線を向けているのは、空を舞う藍宗主である。
     朝は卯の刻に起き出して、昼までは江澄の政務を手伝い、午後時間ができたからと探しに来てみればこれである。
     遊びに来ているはずなのに、よく働くものだ。
     江澄は窓から身を乗り出した。
    「曦臣!」
     朔月は美しい弧を描いて、窓際に降りてくる。雲夢の空に白い校服がひるがえる。
    「どうしました、江澄」
    「時間が空いたから、誘いに来た。一緒に町に出ないか」
    「ええ、ぜひとも」
     藍曦臣は一度師弟たちの元へ降りていく。江澄も軽い足取りで門までを行く。
     藍曦臣と二人で出かけるのは初めてのことである。とりあえず、包子を食べてもらいたい。あとは、何がしたいのか、二人で考えてみたい。
     友と出かけるときの高揚をひさしぶりに味わっている気がする。
     門前で合流した二人は、徒歩で町へと下りた。
     夕刻前の時間帯、通りは人々で賑わっている。
    「前に食べたのは、蓮の実の包子だったか?」
    「そうですね、あれはとてもおいしかった」
     藍曦臣は思い出して、ふふと笑う。しかし、蓮の実の包子がいいかと尋ねると、「あなたのおすすめで」と返された。
     江澄は少し悩んで、菜葉と豚肉の包子と、蓮の実の包子を両方買った。どちらも江澄にとっては食べ慣れたものである。
     石段に腰かけて、包子を割る。首を傾げる藍曦臣に片方を差し出した。
    「俺はどちらも好きだからな。半分ずつにしないか」
     藍曦臣がパッと笑顔になる。少しばかり照れくさく思うのは自分だけか。
    「ありがとうございます」
    「こっちは味が濃いから、無理はしないでいいからな」
     藍曦臣は「そうですか」と言いながら、一口かじる。咀嚼する間、江澄は固唾を飲んで見守ってしまった。
    「おいしいですよ」
    「それなら、よかった」
     その後、二人は茶葉を買い求め、邸宅へと戻った。藍曦臣は「少しばかり食べすぎた」と、夕食のときに困っていた。

     夜、早めに私室に引き上げて、二人で過ごす。藍曦臣は手に入れた緑茶を、江澄は酒を傾けながら、町の様子などを話した。
    「雲夢は活気がありますね。姑蘇も次第に回復していますが、まだ冬ということもあるので」
    「春になればましになるだろう。戦があるわけでもなし、新たに怪異が出たわけでもなし」
    「春までは静かに過ごしたいものです」
    「そうだな」
     江澄は壺の酒を飲み切ると腰を上げた。
     二人で楽しみたいものがあった。
     今日、買ったばかりの茶葉の中から、袋をひとつ取り出す。
    「晩吟、それは先ほどの?」
    「そうだ、雪菊茶という」
     匙でひとすくい茶碗に入れる。上から熱い湯をそそげば、じわりと色がついていく。
    「ずいぶん黄色いな」
    「そうですね、色が濃い」
     江澄は藍曦臣の隣に座って、雪菊茶が染まっていくのを見つめた。白い器に映る色は薄い黄からどんどん色を増していく。
     床についた手に、あたたかな体温が重なった。
     まただ。藍曦臣の指が、江澄の指の間をなでていく。
     雪菊茶はすでに紅く、もう口にしていい頃だろう。
     しかし、江澄は動かなかった。しばらくこうしていたい。やはり心地がいい。
     深く考えてはいなかった。ただ、この体温をもっと感じたかった。
     ゆっくりと体から力を抜いて、隣の男の肩に頭を預けた。ふ、と息を吐く。
     緊張している。酒を飲んでいるにしても、鼓動が速い。
     視線を下ろして繋がれた手を見る。
     笑みがこぼれた。
    「江澄? 眠くなりましたか?」
    「いや……」
     力を込めて手を握り返す。藍曦臣の手は江澄よりも一回り大きい。
     人の体温というのはこれほど心地がいいものだっただろうか。若い頃には他人との距離がもう少し近くて、魏無羨と肩を抱き合ったこともあったが、こんなふうには思わなかった。
    「江澄、いけません」
     突然、藍曦臣の声がかたくなった。何を、と顔を上げると手を引かれた。
     江澄はあっさりと藍曦臣の膝の上に倒れ込んだ。
    「曦臣?」
    「いけませんよ、その気もないのにこのようなことをしては」
     見上げた顔が、妙に悲しげだった。
     言葉の意味をとらえる前に、頬に手を添えられた。これは、前にもあった。
     江澄はきつく目をつぶった。
     額に、頬に、今度は一度ずつではなく何度も口付けを受ける。
     藍曦臣の唇は触れるだけですぐに離れてしまうものだから、感触を覚えるのも追いつかない。
    「江澄」
     低い声だ。目を開けるのが恐い。
     答えられずにいると、唇をかすめていくものがあった。
    「え」
     江澄はパッと目を開けた。今のは、と尋ねる前に腕を引かれて、体を起こす。
    「すみません、亥の刻をすぎているようです」
    「あ、ああ」
    「おやすみなさい、江澄」
     江澄が呆然としている間に、藍曦臣は去った。
     口をつけられなかった雪菊茶が、ぽつんと残る。
     江澄は額に手のひらを当てて、大きくため息をついた。まったく、なにをやっているのだか。
     手の温もりも、腕の力強さも、そう簡単には消えていきそうにない。思い出そうとしても無理なのは、口付けの感触だけだった。
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     江澄は藍曦臣の衣の背を握りしめた。
     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
     江澄が身をすくませても、衣を引っ張っても、彼はやめようとはしない。
     そのうちに舌は首筋を下りて、鎖骨に至る。
     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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     今も、江澄がただ水を取りに行っただけで、早く戻れと追い立てられた。
    「とりあえず、水を」
     藍曦臣の手が江澄の腕をつかんだ。なにごとかと振り返ると、藍曦臣は涙を浮かべていた。
    「ど、どうした」
    「怪我はありませんでしたか」
    「見ての通りだ。もう左腕も痛みはない」
     江澄は呆れた。どう見ても藍曦臣のほうがひどい怪我だというのに、真っ先に尋ねることがそれか。
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     けれど彼を拒否した身で、一緒に寝てくれと願うことはできなかった。
     もう、一時は経っただろうか。
     藍曦臣は眠っただろうか。
     江澄はそろりと帳子を引いた。
    「藍渙」
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     牀榻を抜け出して、衝立を越え、藍曦臣の休んでいる牀榻の前に立つ。さすがに帳子を開けることはできずに、その場に座り込む。
     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
     藍渙、と声を出さずに呼ぶ。抱きしめられた感触を思い出す。 3050

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     姑蘇の秋は深まるのが早い。
     清談会から半月も経てば、もう色づいた葉が地面に積もる。
     藍曦臣は寒室から灰色の空を見上げた。
     彼の弟が言っていた通り、今年は寒くなるのが早かった。今にも雪が降りだしそうな空模様である。
     藍曦臣の手には文があった。十日も前に送られてきた江澄からの文である。
     まだ、返事を書けていない。
     以前は書きたいことがいくらでもあった。毎日、友に伝えたくなる発見があった。
     それが今や、書きたいことといえばひとつしかない。
     ――会いたい。
     顔が見たい。声が聞きたい。朔月に飛び乗ってしまいたくなる衝動が襲う。
     もしこの欲求をかなえたら、自分は次に何を願うだろう。
     彼が寒室に泊ったときを思い出す。あの朝、たしかに髪に触れたいと思った。そうして前髪に触れたのだ。
     許されるならば、額にも、まぶたにも、頬にも触れてみたい。
     もはや認めざるを得ないところまで来ていた。
     断じて、彼が言っていたような義弟の代わりではない。だが、友でもない。あり得ない。
     ため息が落ちる。
     何故、という疑念が渦を巻く。己の感情さえままならない未熟を、どのようにして他人に押し付け 1845

    不知火 螢。

    DONE以前、魔道祖師オンライン交流会5の展示作品の続きが一つ完成しました。
    謎時空の現パロで、藍曦臣がパティシエ、江澄が社畜してます。
    これから曦澄になる予定です。
    彼らがくっつくまでを書いていければと思っています。
    たくさん書けたらまとめてpixivでまとめます。
    作者がゼリーが好きなので、なんだか時間がかかってしまいましたが、楽しんでいただければ嬉しいです。
    めぐる綺羅箱*ゼリーの煌き
    忙しかった仕事も繁忙期が終わったことで落ち着いてきた。
    家に帰って冷蔵庫を開けたら、水と10秒チャージ系のゼリーしか入っていないことに気がつき、食べるものを調達しなければ何もできないことに気がついた。
    家の近くのスーパーに久しぶりに入った。
    なんとも言えないスーパーの寒さと、数の少なくなった野菜たち。
    ちらほらといる独り身であろう人。
    すぐに食べれるものをさがして惣菜コーナーに向かう。

    「あーーー。なんか肉。あと、酒買って行くか」
    ふらふらと歩いていたら、見覚えのある姿が見えた気がした。
    夜遅くだし、あの人ではないだろう。
    そう思って、酒を買いに行く。
    ジャックダニエルを手に取りつまみを探しに行く。
    途中、ゼリーが売っている場所を通った。
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