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    takami180

    @takami180
    ご覧いただきありがとうございます。
    曦澄のみです。

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    takami180

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    攻め強ガチャより
    「澄を苦しませたい訳ではないけれど、その心に引っ掻き傷を付けて、いついかなる時もじくじくと苛みたいとどこかで願っている曦」

    阿瑶の代わりだと思い詰めている澄
    vs
    いつまで経っても心を開いてくれないから先に体だけ頂いちゃった兄上

    #曦澄

    「また」と言って別れたのは、まだ色づく前の、青の濃い葉の下でのこと。
     今や裸になった枝には白い影が積もっている。
     藍曦臣は牀榻に横になると、素肌の肩を抱き寄せた。
     さっきまではたしかに熱かったはずの肌が、もうひやりと冷たい。
    「寒くありませんか」
     掛布を引いて、体を包む。江澄は「熱い」と言いつつ、身をすり寄せてくる。
     藍曦臣は微笑んで、乱れたままの髪に口付けた。
    「ずっと、お会いしたかった」
     今日は寒室の戸を閉めるなり、互いに抱きしめて、唇を重ねて、言葉も交わさず牀榻に倒れ込んだ。
     数えてみると三月ぶりになる。
     藍曦臣はわかりやすく飢えていた。江澄も同じように応えてくれてほっとした。
     つまり、油断していた。
    「私は会いたくなかった」
     藍曦臣は久々の拒絶に瞬いた。
    (そういえばそうでした。あなたは必ずそうおっしゃる)
     どれほど最中に求めてくれても、必ず江澄は藍曦臣に背を向ける。
     今も、腕の中でごそごそと動いて、体の向きを変えてしまった。
    「何故でしょう」
     藍曦臣は耳の後ろに口付けた。
     江澄は逃げていかない。背を向けるだけで逃れようとしないことは知っている。
    「理由をお聞かせください」
     江澄の肩が小さく震える。
     この返事も決まっているのだ。
    「嫌いだ」
    「おや」
     藍曦臣は苦笑した。
     似たようなやり取りを、もう十遍はくりかえしている。そのたびに、初めて聞いたと言わんばかりに胸が痛む。
     何故、こんなことになっているのか。
     藍曦臣は自分の行いを顧みて、頭を振った。
    (悪いのは私だ)
     我慢をやめて、酔っ払った江澄に手を伸ばしたのは他でもない自分。
     嫌だという彼を手放さなかったのも自分だ。
    「何故……」
     しかし、こうも徹底して嫌いだと突きつけられると心がしなびていく。
    「では、何故、私をこうして許してくださるのか」
     力を込めて抱きしめても返事はない。
    「江澄……」
     なんでもいい。返事がほしい。嫌いだというなら二度と応えてくれなければいい。
     それなのに江澄は、自分をきつく戒める腕をなでるのだ。優しい手つきで、なだめるように。
    「阿澄……」
     江澄の指が止まった。
     藍曦臣はその耳に直接吹き込むように呼ぶ。
    「阿澄」
    「……っ!」
     江澄の肩が跳ねる。
     藍曦臣は手のひらをすべらせて、太ももをなでた。
    「阿澄、好きです。好きなんです」
     伝わっていないとわかっている。
     だけど、江澄は突き放しはしないから、藍曦臣はもう一度その体に沈んでいく。
     応えてもらえないならいっそのこと、傷になればいい。許してもらえる間に何度でも傷つけて、消えない痕になりたい。
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     差し込まれた舌に、自分の舌をからませる。
     いつも翻弄されてばかりだが、今日はそれでは足りない。自然に体が動いていた。
     藍曦臣の腕に力がこもる。
     口を吸いあいながら、江澄は押されるままに後退った。
     とん、と背中に壁が触れた。そういえばここは戸口であった。
    「んんっ」
     気を削ぐな、とでも言うように舌を吸われた。
     全身で壁に押し付けられて動けない。
    「ら、藍渙」
    「江澄、あなたに触れたい」
     藍曦臣は返事を待たずに江澄の耳に唇をつけた。耳殻の溝にそって舌が這う。
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     江澄は「待ってくれ」の一言が言えずに歯を食いしばった。
     止めれば止まってくれるだろう。しかし、二度目だ。落胆させるに決まっている。しかし、止めなければ胸を開かれる。そうしたら傷が明らかになる。
     選べなかった。どちらにしても悪い結果にしかならない。
     ところが、藍曦臣は喉元に顔をうめたまま、そこで止まった。
    1437

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     藍曦臣は眠っただろうか。
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     小声で呼ぶが返事はない。この分なら大丈夫そうだ。
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     行儀は悪いが誰かが見ているわけではない。
     牀榻の支柱に頭を預けて耳をすませば、藍曦臣の気配を感じ取れた。
     明日別れれば、清談会が終わるまで会うことは叶わないだろう。藍宗主は多忙を極めるだろうし、そこまでとはいかずとも江宗主としての自分も、常よりは忙しくなる。
     江澄は己の肩を両手で抱きしめた。
     夏の夜だ。寒いわけではない。
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    「とりあえず、水を」
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    「怪我はありませんでしたか」
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    うーさぎうさぎ(羨哥哥が出ます)
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     顎をくすぐり、のどぼとけをたどり、鎖骨の間をとおって、袷に指がかかる。
    「やめてくれ!」
     しかし、藍曦臣の手は止まらなかった。
     無常にも袷は開かれ、傷跡があらわになる。
     温氏につけられた傷は凹凸をつくり、肌をゆがめていた。
    「見るな!」
     江澄は両手で胸を隠したが、遅かった。
     藍曦臣の目が見開かれて、柳眉がひそめられる。
     汚らしい、と聞こえた気がした。

     江澄は飛び起きた。
     跳ねのけたらしい掛布が足元で丸まっている。
     ここは宿だ。姑蘇の宿である。
     江澄は清談会に出席するための旅の途中であった。
    (またか)
     長大なため息がもれた。
     同じような夢を見るのは何度目になるだろう。今日はもう雲深不知処に到着するというのに。
     胸に手を当てる。
     傷痕は変わらずにここにある。
     最後に藍曦臣と会った後、江澄はあらゆる傷薬を取り寄せた。古傷を消すような軟膏を求めて、文献をあさった。
     しかしながら、都合のいい薬種は見つからず、今に至る。
    「宗主、お目覚めですか」
     扉の向こう側から師弟の声がした。少々寝坊をしたか。
    「起きた。すぐに行く 2468