ハローワールド「え、拾って来たんですか」
シャアはいつもふらりと出掛けては特に決まった時間も無く、これまたふらりと帰宅する。
ドレンは立場上、シャアの外出する姿も帰宅する姿も常に知っているが、別段何かを言うことはない。
「行ってらっしゃい」「うん。留守を頼むぞ」だとか「変な事件は起こさんで下さいよ」「起こしたくて起こした事は一度もないんだぞ?」とか「お帰りなさい」「ただいま」とか、ぽつぽつと挨拶を交わし、必要時には必要な分のやりとりをする。ここ数百年は概ねそんな感じだった。
ところが今回ばかりは、玄関のドアを開けようとする家主にドレンは思わず声をかけた。
「いや違う。拾ったんじゃないんだ」
「じゃあなんなんです」
あけすけに疑いの視線を送られ、シャアは口元をムッとした。
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