「さっっっ、む…」
エアコンの暖房と炬燵フル稼働、温かい部屋着と半纏と厚手の靴下フルアームド。しかし、寒がりの拓也にはまだ足りないぐらい寒かった。
何故そうなる?と言われそうだが、拓也の手足は炬燵の中に収められているにも関わらず冷えきっている。夏の暑さには強い拓也だが、冬の寒さには滅法弱い。暖房が当たっているのに背中はぞくぞくと震え、逆に冷えていっているような感覚すらあった。
(輝二、よくこんな寒い中外出れんな……)
拓也は天板に突っ伏しながら、先刻外出した輝二のことを考える。泉に誘われて出掛けた彼女の装いは、白のコートにくすんだ水色のセーター、デニムのショートパンツに黒いストッキングという、寒くないのか心配になるような軽装だった。
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