変わらないものの話 「し、失礼、します…」
「おう」
良いから来いよ、と促されて、俺は寝台のちょうど1人分空けられたスペースに横になった。ボスの睡眠の邪魔をしないようにとなるべく端の方に寝転んだのに、すぐにがっしりとした腕に包まれて引き寄せられてしまう。思わずわっと素っ頓狂な声が出てしまった。
ぎゅっと抱きしめられて、俺は離れようと必死にもがいた。俺なんかがボスの隣で寝てるってだけでも落ち着かないのにこんな密着して眠るなんて無理だ。しかも向かい合わせの体勢で。
「おいおい暴れんな」
せめて向きだけでも変えたかったが、脚まで使ってホールドされては為す術もなかった。どうあっても逃れられないとわかって、俺は諦めて力を抜いた。
1384