獄さん、タバコ変えたっすか?
変えてねぇけど。
十四は獄のそばに寄る。
なんかいつもと違う匂いがするっす。タバコっていうより……香水?
香水?…………あぁ。
そういえば、エレベーター乗ったときに香水の匂いがしたな。それがついたんだろ。
今までそんな強い匂いしたことないけどなぁ……。普通だったらもっと長い時間いっしょにいたりくっつかないとそんな匂いなんてつかないっすよ。
あぁもう、臭えなら臭えってはっきり言え!
臭いなんて思ってないっす!普段と違う匂いがしたら気になるじゃないっすか〜!
あ、この匂い。
それは知っている匂いだった。
……神宮寺さん、良い匂い……。香水つけてるっすか?
ああ、少し香りが強かったかな。苦手だったらごめんね。
それ、流行ってるやつっすか?メーカーとか……
いや、これはオーダーメイドなんだ。職業柄、薬品の臭いがつきやすいからそれをうまく打ち消すように調合してもらったんだ。
寂雷の言葉に疑惑が確信となった。
……自分、用事思い出したんでこれで失礼します、さようなら!
十四は走り去る。
あっ、四十物くん……!
……何か気に障るようなことを言ってしまったかな。今度獄に会ったときお詫びしておこう。