獄さん、おかえりなさいっす!
軽快な足取りで出迎えたのは新妻の四十物十四。
獄、おかえり。もう夕飯の支度はできているよ。
台所から顔を覗かせたのはもう1人の新妻、神宮寺寂雷。
天国獄は四十物十四と神宮寺寂雷、2人と結婚した。
今日のハンバーグは寂雷さんといっしょに作ったっす!
食卓には2人が作った料理が並ぶ。
……改めて聞くが、十四はこの状況に不満はないのか?
口いっぱいに料理を頬張る十四が不思議そうに見つめる。
10代でひと回り上の俺と結婚なんて何かと周りから言われるんじゃねぇのか?それに、他所の人間から見れば俺たちの関係はこの国では認められない重婚だ。
……自分は今の生活に満足してるっす。入籍しないでいっしょに暮らすだけなら問題無いって言ったのは獄さんじゃないっすか。
まあまあ、と寂雷が間に入る。
それを言うなら獄、そもそも君がどちらか選ばないからこんなことになったんじゃないのかい?
獄はばつの悪そうな顔をする。
奇妙で複雑なこの関係は獄に2人が同時に告白したことから始まる。
そして天国獄という優しすぎる男は片方だけを選ぶことができず、2人同時に事実婚の関係になることを決めた。