閉じ込められちゃいました「キスをしないと出られない部屋?」
アルヴィスとロランはいきなり異空間に閉じ込められた。
そしてデカデカとある看板。
それが「キスをしないと出られない部屋」だ。
「バカバカしい!」
だが13トーテムポールで暴れても、何しても部屋が開くことはない。
ロランの爆弾石然りだ。
「閉じ込められちゃいましたねぇ」
ロランはのんびりと言った。
「キスするしか出られそうにないですけど、しても良いでしょうか?」
「良くあるか!」
怒鳴ったのはアルヴィスだ。彼は基本的にはロランには当たりが柔らかい。
でもこれはダメだったらしい。
「そう言っても夕食に間に合いませんよ?」
今日の当番、ラプンツェルさんですから夕食食いっぱぐれたくないですし。
そう言ってとっとと終わらせようとしてアルヴィスに近寄ると、アルヴィスがARMを発動した。
「スィーリングスカル!」
「え!」
相手の動きを止めるARMだ。代償がかなり痛いのだろう。アルヴィスの顔が苦痛に歪む。
「そんなに無理しなくても……」
そんなに自分が嫌なんだろうか?
ロランが悲しくなった時だった。
「キスなんか、キスなんか、キスなんかキスなんかキスなんか!!」
動ける?
ロランはあれ?と気付いた。アルヴィスの魔力がうまく通ってないらしい。集中などまるで出来てない。
反対にアルヴィスは泣き出しそうだった。
歴戦の戦士も、コッチの話はダメだったらしい。
ロランが近づくと、後ろに下がる。
近づくと、更に下がる。
と、つまづいて後ろに転びかけた時だった。
「危ない!」
ロランは咄嗟にアルヴィスの頭を抱えて床に転がった。
アルヴィスには怪我はさせなかったが、咄嗟についた肘などが痛い。
対するアルヴィスは抱き込まれて真っ赤だ。
パニックになって涙がうっすら浮かんでる。
『可愛い』
こんな彼を見られただけでも十分だった。
だからロランは安心させるように彼の背中をそっと宥めた。
「大丈夫。怖がらなくて良いですから」
そういうと、目を瞑り身を固くしているアルヴィスの頬にそっとキスを落とした。
ガタン。
扉が開く音がした。
アルヴィスがびっくりしたように目を見開く。
「特にどこって指定ありませんでしたものね〜」
ロランはのほほんとしたものだ。
そう。
確かに指定はなかった。
ホッとするのと、ロランの前でパニック起こしたので恥ずかしいのとでアルヴィスが俯いてると、ロランはアルヴィスの耳元でそっと囁いた。
「可愛い貴方をご馳走様でした。次は本番行けると嬉しいですよ」
そう言って、空いた部屋からアンダータで去っていった。
そしてアルヴィスはキスされた頬に手を当てて、真っ赤になって俯いた。
「本番ってなんなんだ?」