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    はじまりのいちにち

    「平野藤四郎といいます!お付きの仕事でしたら…ど、どうなさったのですか!?」
    「あー…ごめん、俺のせい…主、ほら大丈夫だから」
    「ご、ごめんなさい…あと、来てくれてありがとうございます。ここの審神者になります…」

    ボロボロの姿で帰ってきた加州さんは管狐のこんのすけの指導の元、手入れで傷一つなくって元の姿に戻ったけどアニメやドラマ以外で、しかも目の前で起きたことがショッキングすぎてなかなか涙が止まらない。
    チュートリアル鍛刀、とのことで来てくれた平野くんは加州さんよりも小さく、小学生くらいの子だった。
    この子も戦場に出さないとと思うと気が重くなる。

    「審神者様、彼らは刀。強さをみくびってもらっては困ります。大丈夫です。審神者様の指導のもと、彼らは強くなります」
    「そうだよ、主。俺、主が泣かなくても平気なくらい強くなるから!」
    「僕もお手伝いします!」

    あぁ、情けないなぁ。私の方がしっかりしなきゃならないのに。
    腕を伸ばして2人と一匹を抱きしめる。

    「まだまだ未熟だけど…よろしくお願いします」
    「「うん!/はい!!」」
    「それでは審神者様。私は一度政府に戻って報告の方をして来ます。あとこちらは政府からの給料が振り込まれる通帳とカードになります。パスワードは中に紙が入っていますので確認の方を。
    就任祝いということで微量ながら入金されていますので万屋や通販の買い物等でお使いください。支払いは現金でもお渡しした端末からでも出来ますので」

    それでは失礼します。と言いながらこんのすけはドロンと白煙と共に消えた。
    どうしようかと考えれば少し緊張が解れてきたのか、お腹がくぅぅ…と鳴った。こんな時でも腹は減るのか…。
    取り敢えずもらった通帳を確認して買い物をしよう。
    そして通帳を開き、……放り投げた。

    「主!?」
    「主君!?」

    パッと平野くんが通帳をキャッチしたことにより紛失は避けたが記載されている金額の0の数字が可笑しかったので恐怖を感じる。
    こ、これが微量ながらってポンと渡す額…?!
    先月まで働いていた職場の1年分の給料よりも多い額に別の意味で涙が出てきそう。

    「あー…審神者って本丸にいればそこそこ安全らしいけど絶対とは言い切れないからそういう危険手当、みたいなのかも」
    「勧誘してきた人にそれは聞いたけど…」
    「買い物なら万屋街行くのもありだし、通販でもすぐ届くよ」
    「詳しいね…」
    「事前に初期刀としての教育は受けてるからね、俺が分かることなら教えられるから遠慮しないで」

    加州さんに教えてもらいこんのすけから貰った端末で万屋の通販サイトへとログインする。
    無難にカレーでも作ろうかとカレー用の豚肉と玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、カレールー、調味料や油、米5kgをカートに入れる。
    …お金があるといえど高級品を買うのは怖いので安いものを。
    ただ即配達!と謳っているけどどのくらいで着くのか…。30分くらいかなぁと思ってカートに入ったものを端末バーコードで支払いを済ませるとものの数秒でその場に買ったものが現れた。…未来のシステム便利〜…と遠い目をしてしまった。

    「あーるじ。何か手伝うことある?」
    「えーっと、じゃぁこのじゃがいもを洗ってもらえます?」
    「りょーかい」
    「主君、僕も何かお手伝いを…」
    「じゃぁ一緒に野菜切ろうか」

    加州さんと平野くんと一緒に台所…(厨の方が馴染み深いのかな?)に向かう。
    綺麗な厨はコンロも器具も家電も一通り揃っていた。
    早めに米を研いで炊飯器にセットする。
    切った野菜を炒めて、豚肉と合わせてさらに炒めて水を入れて野菜が柔らかくなるまで火を通す。
    にんじんとじゃがいもが柔らかくなったらルーを入れて溶かす。
    3人で並んで準備をしたから早く終わり、カレーをお皿によそっているとこんのすけが戻ってきた。

    「ただいま戻りました!」
    「おかえり、こんのすけ。カレー作ったけど食べれる?」
    「お揚げが一番ですがこんのすけは何でも食べられます!」

    じゃぁ今度はおいなりさんでも作ってみるか。
    こんのすけの分のカレーも準備して3人と1匹で食卓を囲む。
    いただきます、は大事な言葉だからきちんと教えておく。
    自分が食べるよりも2人とこんのすけの反応が気になりちらりと目を向けた。

    「…!美味しい…っていうのかな?舌がピリピリするけどすごく安心する」
    「辛くない?大丈夫?」
    「はい!とても美味です!」
    「たいへん美味しゅうございます!」

    勢いよく…平野はお上品だけどそれでも勢いよくカレーが消えていく。
    こんなに良い顔してくれるなら頑張っていかなきゃな…。


    *****

    「んーっと、これは…ここっと…あれ?」
    「おや、雲次どうしました?」
    「あ、見てよ雲生!これアルバムかな?表紙に主と加州と平野とこんのすけが載ってるんだ」
    「本当ですね…3人今とお変わりないようですが本丸が随分と新しく見えますね」
    「こらー!鵜飼組!サボるの禁止ー!」
    「ありゃ」
    「皆さんお揃いで…」

    雲生、雲次と同じく本丸の整理をしていた男士達が自分の分担場所が終わったのか次々と現れる。
    そこにアルバムの表紙に写っている氷雨と加州と平野、それにこんのすけはいない。
    アルバムを見つけたといえば鑑賞会が始まってしまい、3人しかいないアルバムを見ている。

    「静かだと思ったらみんなしてここにいた…」
    「ちょっとー!片付け終わってるんだろうね?!」
    「あ、あるじさん!加州さんと平野も!」
    「ねぇこのアルバムなんで3人しか写ってないの?」
    「アルバム…?あぁ加州と平野が作ってるやつ」
    「それ人の形でいられることと思い出が作れるかなぁって思って主が就任した時から撮ってあるんだよ。俺らしか写ってないのは最初の3日で一冊目使い終わっちゃったから」
    「撮りすぎなんだよ…」
    「みんなが来てからのやつもちゃんとあるよ」
    「その前に皆さん、主君の就任祝いのための準備は出来ているのでしょうか?」
    「もちろん!終わってるよ!」
    「料理の準備もバッチリだよ!」
    「じゃぁ主の就任祝い始めようか!」

    するりと現れ、腕の中に入ったこんのすけを抱え
    て氷雨は加州と平野に声をかける。

    「加州、平野、こんのすけ」
    「ん?なぁに主」
    「なんでしょう」
    「はい、氷雨様」
    「これからもよろしくね」
    「こちらこそ」
    「末長くお仕えします」
    「よろしくお願いいたします!」
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