Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    hi2

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 2

    hi2

    ☆quiet follow

    ふばの日おめでとー!ありがとー!
    ⚠️原作が最終回迎える前にifで書いた大人になったふゆばじの話。
    ⚠️場地さんが最終回軸と少し違う仕事してたり、色々おかしいところがある。

    もうそろそろ時効だろうと、せっかくならふばの日に供養しよって!中途半端だったやつをなんとなくキリが良いのここかな?ってとこまで。

    #ふゆばじ

    オレと圭介さんは共同でペットショップを経営している。一虎くんにも手伝ってもらってなんとかやっていたが、それも今ではすっかり軌道に乗った。
    圭介さんは今、ペットショップとアニマルフォトグラファーのようなことを掛け持ちしている。フォトグラファーと言っても、本人曰く趣味らしい。最初はうちにいる子達を紹介するサイトに載せる写真を撮ることから始まった。それから得意先の犬や猫の保護団体から頼まれて写真を撮るようになって、それが段々とクチコミで広まっていった。今ではネットで噂になるくらいの腕前だ。写真でプロにならないのか?と聞かれることも多いようで…その度に「俺の本職は違うから、これは趣味」と断っていているそうだ。

    でも、ここ1ヶ月くらいはそっちが忙しいようで…圭介さんが店に出る頻度も少なくなったし、店舗の2階を自宅にして一緒に住んでるっていうのに、家でも中々顔を合わせるのが難しかった。
    「しっかし、場地も大変だよなぁ…保護団体主催で知ってる人達が多いっていったって、1人でやること多いだろーに…なぁ?」
    「…は?」
    「あ………っやべ…」
    「何がっスか?」
    「なんでもねー!なんでもねー!」
    圭介さん、最近なんか隠してると思ったけど……なんで。なんで、一虎くんが知ってんのにオレが知らねぇんだよ…
    モヤモヤした気持ちが晴れないまま、握ったスマホが振動して、見れば新着通知を表示していた。
    「圭介さん…」
    「ん?場地なんて?」
    さっきマズイって顔したのなんか忘れた一虎くんがオレのスマホを覗いてきた。オレは不機嫌を隠せないまま通知の内容を読み上げた。
    「今日は閉店作業手伝えるって」
    「やった!千冬、オレ早上がりしていい?」
    「どーぞ」
    「なぁ…場地がお前とのこと考えてねぇわけねぇんだから、その辛気臭ぇ面。場地に見せんなよ」
    「一虎くんに言われなくても…わかってますよ‼︎」
    「本当にわかってんのかね…もうオレたちガキじゃねぇんだからな。自分の気持ちだけ押し付けんなよ……ったく場地も場地だよ……」
    「え?」
    「なんでもねぇって!じゃぁオレ上がるから」
    「お疲れ様でした」
    「うぃ〜」
    一虎くんは気になる言葉を残していったが、一虎くんを引き留めたって吐くことはないだろうと後ろ姿を見送った。

    ◇ ◇ ◇

    店の閉店は20時。圭介さん、閉店作業手伝うって言ってたけど、何時ごろ来るんだろう…
    モヤモヤした気持ちは残りつつも、久々にゆっくり顔を合わせられるんじゃないかって、嬉しくてソワソワする。今18時半…まだかなぁ…
    棚の整理をしながら、壁にかけられた時計につい目がいってしまうが、中々針は進んでくれない。その時、自動ドアが開きパタパタと足音が近づいてきた。
    「悪りぃ、千冬。18時には戻れると思ったんだけどよ…」
    もしかして…と思って顔を上げれば、声の主はやっぱり圭介さんだった。
    「おかえりなさい。圭介さんっ」
    「ただいまっ」
    そう返事を返してくれたのが嬉しくて、その笑顔が見れるだけで、モヤモヤしてた気持ちは一瞬で晴れた。圭介さんは走ってきたのか、前髪が汗で張り付いていて、オレはそれをそっと撫でた。
    「走ってこなくても良かったのに」
    「…しょーがねぇだろ……」
    って頬を赤くしながら答えてくれる圭介さんは、走ったから暑くなっただけじゃなくて、その一言に早く帰りたかった。って言うのが乗せられていて、昔から変わらない愛おしさが溢れてつい口元が緩んでお互いの距離をゆっくり縮めた…
    「あの〜…お邪魔してごめんねぇ…お会計いいかしら」
    ふとかけられた声で我に帰った。
    「「っ‼︎」」
    忘れてた…まだ店閉めてねぇ。
    振り返れば常連のばぁちゃんが申し訳なさそうに立っていた。
    「ごめんねぇ。本当はお邪魔したくなかったんだけど…ご飯買って帰らないとうちの子待ってるから」
    「ごめんな、ばぁちゃん‼︎千冬っ!かいけー!俺荷物置いてすぐ戻るから!」
    「っス‼︎こちらこそスミマセンっ!こちらへお願いします」
    バタバタと会計へ案内して、新商品のサンプルをお詫びにと詰められるだけ袋に詰めて渡した。
    「さっきのお兄さん最近見かけなかったけど…あなたもずいぶん寂しそうな時が多かったし…」
    「なんか、忙しいみたいで…」
    「そう…いつもお店に来るたびに、2人が仲良くしてもう1人の子と3人でいるの見てるとなんだか孫を見てるようで私まで嬉しくなっちゃって…余計なお節介でごめんね」
    「いえ。また今まで通りに戻れるように頑張るんで、またいらして下さい」
    「もちろん、また来ますね」
    「はい。ありがとうございます」
    オレは自動ドアのところまで送って頭を深く下げた。顔を上げれば、振り返ったその人はにこやかに手を振ってくれた。
    「また3人で…か」
    晴れたはずのモヤが少しずつ心を曇らせた。店内に戻れば、圭介さんが楽しそうにケース内の掃除をしていた。今は考えるのはやめよう。一緒に過ごせる時を大事にしようと頭を振った。時間が来たらいつでも閉められるようにと、他愛ない話をしながら補充と掃除をして閉店時間を待った。

    ◇ ◇ ◇
    常連のばぁちゃんのあと、客足はなく戸締りをして一緒に自宅スペースへ戻って、久々に2人でゆっくりできる時間を過ごした。圭介さんが夕飯を作ってくれるのを手伝いながらたまにちょっかい出したり、飯を食って、溜まった録画をソファでくっついて見たり、一緒に風呂に入ったり…昔だったら、バカみてぇに夜通しセックスしてたけど、今日は会えてなかった分を充電するみたいにベッドでゴロゴロしながら、空が明るくなるまで話をして「起きれなかったら一虎怒るかな」なんて場地さんが言うから独占欲が顔を出して「起きれないように今からシます?」なんて返してみたりした。
    「今日はシねぇー…あれが…終わったら………スゥ」
    「…1番聞きたかったところの前に寝ちゃうんスか…オレ、頼りないんかな…圭介さん…」
    顔にかかった長い髪を避けて触れるだけのキスを落として、圭介さんを抱きしめながらオレも目を閉じた…

    目が覚めると、腕の中にいたはずの圭介さんの姿がなくて、ベットサイドに置いたスマホを見れば7時半にセットしてあるアラームが鳴ろうとしていた。
    「まだちょっとあったけぇ…」
    触れたシーツに温かさを感じて起き上がった。
    まだ覚醒しない重い体を引きずれば、キッチンからするにおいで足取りは軽くなった。
    「…けーすけさん」
    キッチンに朝から圭介さんが立っていることが嬉しくて、オレは甘えるように後ろから細い腰に腕をまわした。
    「はよ」
    「おはよーございます」
    「ギリギリまで寝かそうと思ってたんに…」
    「圭介さん居ないから起きたんスよ」
    「悪かったって、な顔洗ってこいよ。飯食おうぜ」
    ちゅっと可愛くキスされた。圭介さんは付き合う前からもだいぶオレに甘かった…けど、付き合って、一緒に暮らすようになってもっと甘くなった…気がする。多分…絶対。いや、自惚じゃねぇし…
    オレは渋々圭介さんを解放して、顔を洗うことにした。
    リビングに戻れば圭介さんが作ってくれた朝飯がテーブルに並んでいた。久しぶりに揃って食べる朝飯は美味かった。美味かったんだけど…
    「千冬ぅ…俺、今日帰れねぇかも…」
    「…は?」
    圭介さんのこの一言に思ったよりも低い声が出て、一瞬…圭介さんの肩が震えた。
    「あと少しなんだよ…」
    オレはバンッってでけぇ音を立てて箸を机に置いた。
    「ねぇ、圭介さんは何をしてるんスか⁈一虎くんが知っててオレが知らないとかおかしくねぇっスか?」
    「あ?一虎は関係ねぇだろ」
    「ありますよ!圭介さんと付き合ってんのはオレだろ!…アンタの事だから少なからず店に関係する事なんだろうけど…それならオレにだって言ってくれていいんじゃないっスか?」
    「店だいぶ任せてんのに巻き込めるかよ」
    もう売り言葉に買い言葉で…
    「アンタはまたそうやって1人でやろうとする…オレ、そんなに頼りないっスか?」
    「あぁ?んなこと言ってねぇだろうが!」
    「言わなくったって、言ってんのと同じっスよ‼︎…はぁ、圭介さんそういうところ」
    こんな事言いたいわけじゃない…もっと言い方だってあった。…でも、ついた勢いは止まってくれない。
    「あ“⁈んだよ」
    「いえ。どうぞ、好きにして下さい。もう邪魔しないんで」
    「おい!千冬っ‼︎」
    オレは振り返ることもなく席を立って、支度を整えて声もかけずに玄関を出た。階段を降って店舗にしている1階へ向かい、店にいる動物たちの世話を始めた。
    8時半をまわり、一虎くんが出社してきた。
    「千冬お前…すげぇ怖ぇ顔してんぞ。場地と喧嘩したろ」
    「一虎くんには関係ねぇっス」
    「……千冬、お前明日休め!で。ここ朝一で行け」
    一虎くんが上着のポケットからスマホを取り出して、操作したと思えばオレに画面を見せてきた。映し出された画面には…
    「は?ショッピングモール?意味わかんねぇ」
    「いーから!絶っ対ぇ行けよ!あと、開店まで30分あるんだから、その面どうにかしろ。客にも動物にもそんな面見せんな!お前が1番わかってんだろうが」
    開店は9時…それまでオレはバックヤードに下げられた。
    9時をまわり、しばらくしてオレは店内へと顔を出した。
    「まぁ、さっきよりはマシかな…」
    「どーも」
    「明日の分もキリキリ働けよ〜」
    「誰が行くって…」
    「行かねぇと…場地に手ぇだしちゃうかもよオレ」
    「わかりました」
    「おーこわこわっ!」
    一虎くんが言うと冗談に聞こえなない。喧嘩してようがなんだろうが、オレは圭介さんを渡す気なんてない。
    何があるのかは知らないけど、オレと圭介さんの今の状況に関係してるもんだってことだけはわかる。それが解決するならば…と、明日の分もせっせと働くことにした。休みの前日。しかもすぐ店に戻れない距離のところに出かけるとなれば、補充に品出し、発注…それらをまとめて引き継ぎもしておいた方がいいだろう。と、やらねばと思うものがどんどん増えた。目が回るほどの忙しさに、気づけば昼を過ぎあっという間に夕方で…いつのまにか今は閉店作業をしていた。
    「じゃぁ、一虎くん。明日お願いします」
    「おー!きっちりケリつけてこいよ」
    「なんかやだな…その言い方」
    「あ?オレらっぽいだろーが!早く帰って明日に備えとけ!」
    「はいっ、ありがとうございます」
    そう言い残して、店の鍵を預けて自宅へと戻った。

    「ただいま」
    そう言っても返事はこない…家の中はこんなに静かだったのか…あたたかさも感じられなかった。
    「圭介さん…」
    明日になれば答えが出るなら…と、飯もほどほどに風呂へ入って早々に寝ることにした。

    ◇ ◇ ◇

    ショッピングモールは隣県にあって、高速を使えばすぐに着くことができた。
    「着いたは着いたけど…早すぎたかな…」
    目が覚めたときに、一虎くんからメッセージが来ていた。
    『着いたら場地に連絡しろ』
    その一言。ショッピングモールの開店は10時だが、スーパー部分だけは8時からの営業で…そして今は9時…
    圭介さんとはこの前のやりとりの後、まだ何も言えないでいた…少しの気まずさを拭えないまま通話履歴から圭介さんを呼び出した。2コールも待たずに出てくれて
    『もしもし、千冬?着いたん?』
    「…はい、今スーパーの方にいて…」
    『今そっち行くからそこ居ろよ〜』
    「はい、待ってますね」
    この前のことなんて、忘れているようなやりとりができたことにちょっと嬉しくなった。綻んだ気持ちを隠せないまま、スマホを眺めていた。
    「何ニヤついてんだぁ、千冬ぅ」
    「あ、圭介さん!」
    掛けられた声に顔を上げれば、5分もかからずに圭介さんが来てくれた。
    「行くぞ、こっちな」
    昨日のことで今日会うのが圭介さんも不安だったのか、そっと引かれた手は少し冷たかった。
    裏口から入って、昨日のことには触れず、いつもみてぇに他愛のない話もあまりないままオレは圭介さんに手を引かれながら少し後ろを歩いた。
    「ここ」
    「……え?写真展?」
    「そー!今日と明日でやんの。で、千冬がお客様第一号!勝手に店の名前入れて協賛でやっちまってごめんな」
    「いえ…それは別に…」
    ショッピングモールに設けられた小さなイベントスペースには、圭介さんの名前が入った写真展の会場ができていた。
    「こっち」
    言われるまま中へと進めば、得意先の保護団体ごとに今保護されている子や、譲渡会の様子に、新しい家族のもとへ迎えられた子。そのどれもが、動物好きの彼らしくその子の可愛さが引き出された一コマが収められていた。
    「ペットショップで新しい家族を迎えるのも良いけどさ…迎える形だって場所だって色々あるし、その手伝いが少しでもできねぇかなって……」
    あぁ。本当にこの人は…こんなにも綺麗で優しさで溢れた人なんだと改めて感じた。そのまま飾られた写真を見ながら足を進めると、出口が見える最後のスペースに着いた。
    「圭介さんっ、これ…‼︎」
    「おぉっ!俺が1番好きな写真だから、デケェのにした」
    八重歯をのぞかせながら圭介さんが嬉しそうに笑った。一角を大きく飾るパネルには、店を出して初めてオレたちが送り出した子と、泣きそうなオレが写っていた。他の写真には保護団体の名前なんかが書いてあるだけだったのに、一際デカいこの写真にだけオレたちの店の名前と別に、タイトルが付けられていた。
    「け…すけさ…オレっ」
    「千冬にちゃんとこれ伝えてから甘えたかった…お前のこと頼りねぇなんて思ったことねぇよ。俺がカッコつけたかっただけだ」
    写真につけられたタイトルは『家族』の一言だった。その一言に圭介さんの思いが全部詰まっているのが伝わってきた気がした。それに場地さんの気持ちが聞けたことが嬉しくて、ボロボロ涙がこぼれた。
    「つーわけで、もうお前が思ってるかっこいいだけの俺じゃねえから」
    「何言ってんスか…カッコ良すぎますって、圭介さん……本当、この前はすみませんでした…」
    「お互い様だ」
    オレは泣きながら圭介さんをぎゅっと抱きしめた。
    「ハイ。でも、これからはもっと頼ってください……家族なんですから」
    「おー!千冬もな」
    そう言って背中にまわされた圭介さんの手はいつものあったかい手だった。

    それから、よく知る保護団体の人たちと一緒に写真展の手伝いをすれば、時間なんてあっという間に過ぎて…気づけば、展示スペースを閉める時間になっていた。
    「じゃぁ、今日はこの辺で。また明日!」
    「ありがとうございました」
    「オレは明日これないっスけど、よろしくお願いしますね」
    「全然っ!松野くんもいてくれて、場地くんも嬉しそうだったし良かったよ〜!昨日までなんとなく落ち込んでたもんね、場地くん」
    「ちょ、その話はっ‼︎」
    「圭介さん、寂しかったんスか?」
    茶化すように聞けば、圭介さんは自分の髪をガシガシ混ぜた後にオレの頭を叩いた。
    「いっってぇ‼︎」
    「うるせぇ!もう何も言うな!」
    どっと笑いが起きて、「いつもの2人だ!そうじゃなきゃこっちの調子狂っちゃうよ」なんて言われて解散した。
    Tap to full screen .Repost is prohibited

    related works

    recommended works