エドグラと結婚式 ※9/14更新「任務中、不安で仕方ありません!」
そう力強くエドワーズは私に意見するが、一体何が不安なのか検討もつかない。
「不安?退役した私が君にかける差し迫った不安なんかないだろう?」
読んでいた本を閉じ、ぎしっとお気に入りのソファに深く腰掛けながら元副長現恋人のエドワーズを見上げる。
「そういった、危険から来る不安ではなく!」
今度はエドワーズが私のお気に入りのソファに手をつき、ソファの間にわたしを挟みながらぎしりと音を立てた。
「なんて顔をしてるんだ、ブライアン」
「わ、笑い事ではないんです!」
まるで小さな子供が今にも泣き出してしまいそうな顔を目の前にして、そっと柔らかな頬を手のひらに納めて笑ってしまった。
「私は短くても3ヶ月はあなたと会えません。その間、いろんな人からあなたの噂話を聞くんです」
「噂話?」
海の底まで広がる噂話なんてあったかと不思議に思っていると、そんな私に不満を感じたのか「あなたは無頓着すぎるんです!!」と一蹴されてしまった。
「ここ最近、噂されるようなことなんてしてないぞ?ブライアンが任務に出てる間に一冊新作を描き終えたぐらいで…」
「その話もあなたに聞く前に噂で耳にしました」
いつも1番に私から届く知らせを他人から受けたことが不満だったのか、むぅとむくれて拗ねている顔がまた子供っぽくて可愛らしい。
「他にもカフェで見知らぬ男と楽しく会話してたとか」
あぁ、そういえば執筆のためにカフェへ向かった時に何故か声をかけられて長々と居座られた記憶が…誰が見てたんだ?
「夜毎、艦長の家に通うイイ人がいるとか…」
まてまて、誰だそいつは。さっきからホラーめいてて逆にこちらが怖くなってくるぞ。
「他のクルーはあなたの噂話で楽しげに盛り上がりますが、私は任務中に気が気でなりません」
むくれた顔をグイッと近づけながら抗議するエドワーズの首に腕を回してぎゅうっと抱きしめてやる。大概はこれで機嫌が直るんだが…
「……今日は誤魔化されませんよ」
と何時ぞやに沈んだロシアの海底ほどに機嫌を落とした声が胸元から響く。
この今むくれている男が「冷静沈着なアーカンソーの艦長」なんだから、他のクルーが見たら驚くだろうなと本人にバレないように心の中でほくそ笑んだ。
「そうか…私はだいぶと恋人に不安を与えていたんだな」
すまないと謝りながら形のいいおでこや頬にキスを落とながら唇を耳元へとずらしていく。
「だがな、ブライアン。私だって君の浮ついた噂話が耳に入るんだぞ?」
そう耳に吹き込みながらキスを落として顔を見やれば、どんな噂話か全く思い付かないような顔をしている。
現在更新中…..