【思わぬ誘惑】ヒュンポプ風呂上がり。
次の街にについて地図を見ながら話し合っているポップとヒュンケル。
ソファに並んで座り、地図を指さし、はしゃぐポップは何故がテンションが高いようだった。
「今度の街って、確か色んな洞窟があるんだろ?」
「ああ、魔物が住み着いているらしい」
「へー、中に何かあるのかもな」
「そうかもしれん」
今は旅の途中で、パプニカも落ち着いた事だし、ダイとレオナに任せて、ヒュンケルとポップは旅に出た。最初はもちろん反対はされはしたが、最後には理解を示してくれたレオナには感謝しかない。
まあ、たまに顔を出せ、とは言われたが。
そうして旅に出て半年は経っているだろうか。
今日も宿で旅立つ話し合いの途中である。
風呂上がりだからか、髪も適当に乾かしていたため、ポップの髪はしんなりと濡れていて、肌に張り付いている。
肌は風呂の温もりが抜けずに上気していて、ほんのりピンクに染まり、ソープの香りが漂ってくる。
寝巻きは、ヒュンケルのシャツを着ているため、肩がズレてむき出しになっている肌があり、目に毒でしかない。
正直ヒュンケルは、理性と戦っていた。
「ここは?」
そう言って、身体を寄せてくるポップに、ビクリと身体が反応してしまいそうになりながら、ヒュンケルはポップの質問に冷静さを装いながら、答えていた。
無邪気なポップは、何も考えていないのはわかる。
だが、肌を重ねる事がいつしか当たり前になった今、ポップには警戒心という物を持って欲しい。
本当に!!警戒心を持て!!
「ここは、少し離れた位置にあるから、後回しにしても大丈夫だろう」
「ふーん、じゃあまずは、ここからだな!」
にっと笑いながら、ポップは、地図を覗き込む。
その際にまた、身体を密着させてくるものだから、ポップの温もりと、匂い、そして、可愛い顔が近づき、ヒュンケルはどうしてくれようか、などと思い始めた。
「ああ、ここから行ってみるか」
「よっしゃ!腕の見せ所だな」
「いまから張り切ってどうする」
「えー、楽しみじゃん、新しい何かあるかもしんねーし」
身を乗り出して、ヒュンケルを睨みつけるポップのシャツが、はだけている部分から、ちらりと鎖骨から胸の際どい部分が見え隠れしている。
ポップにその気は無いのだろうが、これはもう誘われているようにしか取れない。
はあ、と顔を覆い、ため息を着くヒュンケルにポップは不思議そうに見上げる。
またその顔が幼さを醸し出していて、可愛らしいことこの上ない。
「どうしたんだよ、ヒュンケル」
「……いや……」
「どっか悪いのか?見せてみろよ、治すから!」
項垂れるヒュンケルを何を勘違いしたのか、ポップは身体に不調があるのかと、がばりと身体を押し倒してきた。
さすがにそれには、ヒュンケルも焦る。
「ポップ!?」
「まだ、痛みとかあんのか?どこだよ」
「いや、そうじゃない」
「なら、なんだよ……」
心配してくれるのは、正直嬉しい。
だけれども、こればかりはポップは鈍感だった。
ヒュンケルは、押し倒された身体を起こし、逆にポップを押し倒した。
突然のことに、ポップは目をまん丸く見開いてヒュンケルを見上げている。
ああ、可愛いな
そう思ってしまえば、ヒュンケルはポップの唇を自らのそれで塞いでしまう。
ちゅ、ちゅと軽く口付けていたが、段々と深くなり、舌で唇をこじ開けると口内に忍ばせる。
侵入した舌に、びくりと体をふるわせて、舌をが奥へと逃げるのを追うように、伸ばし絡ませると、くちゅ、と水音を響かせながら口内を蹂躙するように、至る所を舐め上げていった。
「は、あ……っ、んんっ」
「ん……っ、ふ」
「んっ、も……くるし……っ」
「もう少し……」
苦しそうに、身をよじるポップを見ながら、ヒュンケルは自らの欲望が膨れ上がるのを感じた。このまま、肌を暴いて、至る所にキスを落とし、熱をねじ込みたい、そう思いながら、ヒュンケルは唇を離す。
はあはあ、と荒く息を吐くポップは、唇が唾液に濡れ赤くなり、潤んだ瞳をこちらへ向けた。
睨むように見つめるポップの、まぶたに唇を落とす。
「いきなり、盛るなよ……っ」
「いきなりではない」
「はあ?」
「ポップ、無防備に傍に寄るんじゃない、オレがどれだけ耐えてるか…分かるか?」
そう言えば、ポップは合点がいったのか、真っ赤になる。
ポップも、まさかそんな事で、襲われるとは思っていなかったのだろうと、ヒュンケルは思っていた。
だが。
「……あのさ」
「なんだ……?」
「わざと、って言ったら……?」
「……っ」
「ヒュンケルに触れて欲しいから、やってた……」
「ポップ……」
まさかのポップの発言に、ヒュンケルは目を見開く。
ポップが、恥ずかしそうに、俯きながら呟く姿に、ヒュンケルは、どうしようもなく身体が熱くなる。
そして、そのまま、ポップを抱きしめると、額にちゅ、と口付けた。
「なら、期待には答えなければな」
「うー……」
「して欲しかったのだろう?」
「そう、だよ!お前が欲しかったんだって……何回も言わせんな」
「ふ……」
真っ赤になるポップの可愛らしさに、ヒュンケルは笑みを浮かべると、そのまままた、ソファへと押し倒し、顔をちかづける。
「明日は、ゆっくりするか」
「ん……」
「今は、ポップが欲しい」
「おれも……ヒュンケルが欲しい…」
そう囁きあったのち、二人の影はひとつになったのだった。