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    miya_aore_

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    キスの日蒼玲

    #蒼玲
    blue-greenTingedWithGrey

    部活がオフの日、蒼斗は玲音の家に訪れていた。蒼斗に教えるがてら、2人で一緒にお昼ご飯を作って食べる。これはいつの間にか玲音の家に来た時の常になっていた。

    「ごちそうさまでした」
    「望月、大分上達したんじゃね?」
    「そうっすかね……そうだといいんすけど」
    「おう。……っふは」
    「玲音先輩?」
    「いや、最初のみじん切りのこと思い出してよ。あれはマジでびびったわ」
    「あれは……忘れてください」

    くっつりやで初めて見た蒼斗の調理技術のことを思い出して、玲音はつい思い出し笑いをしてしまう。蒼斗は悔しいが、当時の酷さは自分でも自覚しているため、なんとも言えない顔をしている。

    「悪い悪い。俺、飲み物入れてくるわ」
    「あ、俺やりますよ」
    「いーから客人は座ってろよ」

    少しバツが悪そうにしている蒼斗が可愛くて、玲音は立ち上がり蒼斗の横を通り過ぎるタイミングで、頬にキスを落とした。すぐに離れたが、振り向いた蒼斗と目が合った状態で無言の時間が経過していく。

    「っえ」
    「……あ」

    普段滅多にない玲音からのキスに驚く蒼斗と、慣れないことをして首まで赤く染まった玲音。
    先に動きだしたのは、我に返った玲音だった。
    逃げるように蒼斗から離れるが、そんなに広くもない家で、玲音よりもリーチがある蒼斗に捕まるのは、そんなに長い時間はいらなかった。

    「玲音先輩」
    「……んだよ」
    「俺、嬉しかったっす。先輩から、キスしてくれて」
    「そーかよ」
    「玲音先輩」
    「……なに」
    「こっち向いて」

    おずおずと蒼斗と向き合う玲音は恥ずかしさで下を向いてしまう。しかし、上からでも真っ赤に染った耳はしっかりと蒼斗の目に映った。
    蒼斗の大きな手で玲音の頬と耳に手を添え、ゆっくりと蒼斗と目が合うように上げていく。優しい笑顔で見つめる蒼斗に余裕を感じてしまい、ずりぃ、と言葉を漏らす。

    「何がっすか」
    「なんかお前だけ余裕そうで腹立つ」
    「先輩、手、貸してください」
    「あ?」

    玲音の手を取って、自身の胸に当てさせる。そこから感じる鼓動は、玲音の身体中から訴えてくるものとよく似ていて、蒼斗も自分と同じなのだと知った。

    「玲音先輩にあんなことされて、余裕ある訳ないじゃないですか」
    「望月……っん、ふ、ぁ」
    「は……先輩……」

    啄むように重ねていた口付けは、次第に深いものへと変わっていき、2人の鼓動をさらに早め、消えかけの余裕を奪っていく。混ざり合った唾液が、玲音の首筋をなぞっていった。

    「あの、玲音先輩」
    「なんだ」
    「次はこっちにも先輩からしてくれるともっと嬉しいっす」
    「……は!?」
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