渋谷は華やいでいた。喧騒は常とは違い、どこかあたたかい響きを持っているように感じるのは、クリスマスであるという先入観故なのか。その賑わいは日が暮れてからも変わらない。
「チッ。人が多すぎるな」
苛立ちから舌打ちするKKを暁人が宥める。
「仕方ないよ。クリスマスだし」
「それが理解できねーんだよ。浮かれてはしゃぐ意味がわからん」
「お祭りみたいなものだろ? 誰も、深く考えてないよ」
祓いの仕事の帰り道、二人連れ立って歩いている。寒いからと最短コースを選んだが、急がば回れというやつか、この人混みならば駅前を避けた経路にすべきだったとKKは後悔していた。
渋谷の駅前はイルミネーションで着飾られ、いつも以上に賑やかで華やいでいた。その中を歩く人々は男女の二人連れが多い様子。
1633