#4 high fever「え……今日場地さん休みっすか」
「なんか昨日から調子悪いみたいでさぁ。悪いけど今日期限のプリント代わりに渡してもらっていい?この馬鹿、ギリギリにしか出さないから」
息子が体調不良だというのに、涼子がいたって変わらない様子で千冬を迎えた。自分で出迎えられないほど圭介の症状は重いのだろうか。色々聞きたいことはあるけれど、ゆっくりお喋りしている時間もない。あまり居座るのもよくないと思い、千冬は簡単な挨拶を交わして、一人きりで階段を降りた。
週明け月曜、誰もが学校や仕事に行くのに億劫になる呪いの曜日だが、無遅刻無欠席を貫いている圭介に限ってズル休みでないことは確かだろう。しかし、圭介、と病気、という二つの単語が千冬の中であまりにも結びつかない。以前、あまり風邪は引かない方なのだと圭介が言っていたのを思い出す。けどたまに熱が出ると酷く悪化して、丸二日ほど寝込んでしまうときもあるのだという。今回はその酷いとき、なんだろう。
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