海を思わせるほどの大きな川にはたくさんの船が行きかっている。貨物を運ぶ船、魚とりをする小型船、そして観光客を乗せたクルーズ船。
海ではなく、川を走るために作られたクルーズ船は、横に長い二階建てで、中はホテルのようにレストランやラウンジ、ベッドと簡単なデスクとチェアが備え付けられた、客室がずらりと並んでいる。どの部屋も川に面したバルコニーがつき、そこからは雄大な川の流れと岸に広がる街並みや自然を楽しめるようになっている。
青々とした常緑樹が生い茂る山、レンガつくりの建物、夕焼けの草原にはない景色だ。天を突くような円錐の屋根の巨大な建築物は、それなりに楽しく過ごしたあの校舎を思い出す。
あの頃から、何年も経った。まるで川を流れる落ち葉のように、いつの間にか消えていったものも数えきれないほどあるが、目の前のハイエナは変わらずそばにいる。
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