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    ケフィア

    @on_kefir

    吸死(ロナドラ)とツイステ(監督生夢)にて活動してます。ツイッタではほぼほぼ94ばっかです。主にえちちなのをアップしてます🤤

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    ケフィア

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    無自覚両片想いのロナドラです(ロナルドくんは、ドラルクに慰められた際に自覚してます)。

    ちょっと進んだので更新!!
    ここまで来て、この先🔞展開にするか迷って止まってしまった😓
    完成したら支部にあげる予定です。

    #ロナドラ
    lonadora

    ロナドラ小説『丸裸な愛』(仮題)「我が名は吸血鬼フルチン大好き!!!」
    「「「我が名は吸血鬼フルチン大好き?!?」」」

     いつも通り変態が湧いて、いつも通り退治人ズが面白い事になる、いつも通りの魔都シンヨコ。

     そんな頭の悪い名乗りを上げた吸血鬼に、脳みそに暴力と暴力を混ぜ込んだ石焼きビビンバみたいな行動原理しか詰め込まれていないロナルドくん、ムダ毛フェチさん、腕の人は真正面から馬鹿正直に突進し、その能力をまともに喰らってしまった。そしてアホ三人は見事往来の真ん中でフルチンとなった。確約されたフルチンである。略すと確チン。アホですね、分かります。ちなみに履いていたズボンやパンツは、三本のちんこが表にまろびでた途端に亜空間へと消え去り消滅したとの事。無駄に強力な能力である。
     勿論、各々慌てて上着等で隠そうとはしたらしいのだが、なんと厄介な事に腰に衣類を巻いた途端、地下鉄の通気口から舞い上がる風でスカートをたなびかせた往年の名女優の如く凄い勢いで吹き飛んだそうで。幾度と無く腰巻きチャレンジを試してみても無駄な足掻きとなり、三人はとりあえずそのまま下だけが生まれたままの姿で、吸血鬼フルチン大好きを殴り飛ばしたそうだ。

     ありったけの怒りとか羞恥心とか様々な感情を詰め込んだ拳(三人前)で気絶した吸血鬼が、到着したVRCに連行される最中に色々と試行錯誤した結果、帽子等の小物類だけは吹き飛ばしの判定から外れる事が判明し、ロナルドくんは自身の帽子で股間を隠す事に成功した。ビームを放つ兄貴との差別化の為に身に付けていた物が、思いも寄らない方法で役に立って感動した!!流石兄貴!!とはロナルドくんの言である。心底どうでもいい。
     腕の人は退治人としてのアイデンティティである鉄のアームで隠す事となり、涙を流し股間から鉄のちんちんを生やしたかの様なその哀れな姿に、鳴き声の如く愚物愚物と連呼するあのマッドサイエンティスト所長ですら『愚ぶっ……いや……うん、お疲れ様サテツくん…』と引き気味に労いの言葉を発した程だったそう。
     無駄に汚れ役を引き寄せてしまう星の元に産まれたらしいムダ毛フェチさんに至っては更に面白……可哀相な状況で、身につけた小物と言えばバンダナしか無く、そんなものでショットさんのショットさん全てを包み込む事など出来ない訳で……同情した心優しきマリア嬢が頭に被ったウインプルを貸してあげて、何とか事無きを得たそうだ。いや事は無くなってないし何も得て無いし、ターチャンちゃんからの絶対零度な視線が容易に想像出来ちゃうし。

     そして、そんな下半身の守備力が最弱の三馬鹿をそのまま帰すには忍びないとでも流石に思ったのか、珍しく……ほんっっっとうに珍しく!犬仮面所長が気を利かせ、捕縛した吸血鬼の護送ついでに三本のちんちんは各自宅へとピストン輸送された。ちんちんなだけに。

     ーーーーというのが今現在私の目の前で、文字通り五歳児の如くエグエグと泣いているロナルドくんから伝え聞いた、事の経緯の前半部分である。無論確チン(確定的なフルチンの略)。


     
     次号掲載予定のクソゲーコラムの打ち合わせの為、何時もなら大抵ついて行く退治業に同行出来ず事務所に残留していた私は、一仕事終えてから愛しきジョンとついでにロナルドくん為の夜食作りに勤しんでいた。
     味見のレベルを超えたジョンの摘まみ食いを制しつつも、主菜、副菜数品、おまけに私が睡眠中の朝食や昼食の分の作り置きを手際良く調理している所に、泣きながらフルチンでご帰宅なされた一応家主であるロナルドくんの面白愉快な姿に、当然ながら私は大爆笑しジョンはヌヒーってドン引きした。
     笑い死に砂となった私に容赦の無い拳を振り下ろし続ける若造だったが、何故か何時まで経っても着替えに取りに行く訳でも無く下半身丸出しで大泣きしていた為、

    「とっとと風呂にでも入って服を着ろゴリラ!!ちんちんを出して許されるのは五歳児までだと何度言えば分かるんだ五歳児!?!」

    と、ビシッと畏怖く指摘してやった。するとつっかえつっかえ説明されたのが先程の経緯の後半部分だった。なるほどね。なんか色々と盛り過ぎててて理解さんが追い付くどころか猛スピードで追い越して行った気もするけど、なるほどね。てかそんな楽しいことになってるなら、是非とも私を呼んで欲しかった。思い出を形(動画)に残せなかったではないか。大変悔しい。そうかこれが噂のくやびくってやつか(違う)。
     そう伝えたら念入りに10回位殺された。誠に遺憾。

     しかし待って欲しい。マイクロビキニやM字開脚が闊歩する、吸血鬼と人間と変態が共生しちゃってる街・新横浜に置いて、フルチン如き石の下の団子虫くらい珍しいものでは無い。そもそも常日頃から股間に花生やしたり、無駄に完成された筋肉美をシンヨコミドルガールズの皆様に御披露しやがってるではないか。なのに何故歯を食いしばり泣き散らかし続けているのか?そんなにしてまでどこかに行くのか???

    「……いい加減泣き止めゴリラ!!……事情は分かったし、同居人の暴れん坊将軍を鑑賞し続けねばならんのは不本意だが、今更ちんこ丸出し程度で何をそんなに……。」

     ギャン泣きしているんだ?……と言葉を続けようとした私に、ロナルドくんは渾身の一撃を喰らわせた後、再び語り始めた。その美しい花のかんばせから、涙、鼻水、涎、汗とあらゆる体液を垂れ流しながら。ちんちんを出しっ放しのまま。

     曰く、起床後に朝食を摂りながら見ていたテレビ番組の星座占いで、獅子座の今日の運勢が最下位だったのがケチの始まりで。予約されていた下等吸血鬼退治の為に指定された時間に指定された場所へと向かうと好好爺然とした依頼人が待ち構えていたのだが、これが見た目に反したなかなかの人物だったそうで。吸血鬼との共存共栄のモデル都市と勝手に化してしまった新横浜に居を構えていながらアンチ吸血鬼思想の持ち主だったらしく、吸血鬼とコンビを組んでいる事を自他共に公言しているロナルドくんをわざわざギルドを通して指名してきた人物だった。だもんで、彼が汗水漬くで軒下に湧いていたスラミドロを駆除している間、延々と根拠の無い吸血鬼に対する罵詈雑言や、吸血鬼と同居している彼に対して言いがかりに近い理不尽な批判を聞かされ続けたそうだ。詳しい内容を尋ねてみたが、若造は首を横に降るばかりでけして口にしなかった。余程酷い内容だったのだろう。
     ロナルドくんは我慢した。駆除作業に専念しつつも、角が立たない範囲で吸血鬼に対してのフォローも交えつつ、相手は客だと自身に何度も言い聞かせ、すんごくすんごく我慢した。だがその批判や罵倒がジョン(とついでに私)にまで及び始め、ドの付くお人好しでも流石に我慢の限界を迎えたロナルドくんが反論を口をしかけた瞬間、なんと突然吸血鬼化したオッサンアシダチョウの群れが襲いかかってきたのだ。
     ただでさえ吸血鬼化していなくても存在そのものが厄介なダチョウの大群に、さしものロナルドくんも依頼人を守るだけが精一杯だった。じわじわジリ貧になりかけ若造の隙を付いたダチョウの嘴が依頼人へと襲いかかったその時、偶々通りかかった野球拳大好きが咄嗟に結界を張って……その後、吸血鬼対策課が到着する迄の間、野球拳大好きと依頼人がジャンケンで白熱するのをバックに、ロナルドくんはダチョウを相手取りながら本来の駆除対象のスラミドロもしっかり処理していった。
     あちこち傷だらけとなった彼の姿に、現地に到着した吸血鬼対策課のヒナイチくんは依頼人共々後処理を引き受けてくれたそうで(後でクッキーをたくさん焼いてあげよう)、ロナルドくんは心身共に疲れて帰路へと着いた……のであれば、今ここで残念なフルチンルドになっていない訳で。
     先程の依頼人を危険に晒した事や、ジョンや(私含む)善良な吸血鬼をもっと上手にフォロー出来たんじゃないか等と、負の思考回路の赴くままグルグルしながら事務所へと重い足を向けているところに、マスターから突如出現した高等吸血鬼への退治以来の連絡が来て……後は推して知るべし。

     ーーーーどもりまくり噛みまくる聞き取り辛い彼の話に辛抱強く耳を傾け、四苦八苦しつつも要約するとこんな感じであった。無論その間も彼のちんこは股の間でブラブラと揺れていた。ブラチンである。



     私は長い長い溜め息を吐いた。そんな私の態度を恐らく悪い方に受け止めてしまったらしいロナルドくんが、ビクッと肩を震わせた後、分厚く大きな体を小さく縮こませた。ちんちんも縮んでる。縮こまっても尚デカいけど。
     彼をおちょくるのに二つ意味で命を懸けてる私ではあるが、ここまで酷く落ち込んだ同居人を揶揄うほど非道ではないし、慰めて元気づけてやろうと思える程度にはこの昼の子に対して絆されてるし情も有る。
     ヤレヤレと肩を竦めた私は、目の前でふわふわ揺れる銀色の髪をクシャクシャとかき混ぜ、涙と鼻水でベタベタになった頬をムニュっと両手で挟み、昔見た無名の絵画に描かれた真夏の空の突き抜けた青さをそのままコピーしたかの様な美しい瞳と視線を合わせた。

     そして、今の彼に一番相応しい言葉を口にした。

    「……お疲れ様、頑張ったねロナルドくん!」
    「え……。」

     双眸を見開いた、驚愕そのものの表情で私を見つめ返すロナルドくん。いや何だねその迷子かと思って声掛けたらリトルグレイだったみたいな、有り得ないものを見るみたいな表情は。『ゴリラはゴリラらしくチンチンも3センチになってセンシティブ対応しなさいよピッピロピー!』とでも言うと思ったのか?いやおもしろそうだし言いたいけどさ!!多分言ったらガチ凹みコース一択だろが貴様。
     内なる私が『言っちゃえ♡言っちゃえ♡』と唆してくるのを『くっ……今は貴様の出番では無い……分を弁えろ!』と畏怖く抑えこみ、ジョンにしか向けた事の無い柔らかな微笑みでロナルドくんを見つめ、言葉を続けた。

    「君は本当に頑張った!その身を盾に嫌な依頼人もしっかり守って!!……フルチンになっちゃったのだって、君達退治人が犠牲になったからこそ一般人には被害出なかったんだろう?」
    「……………うん。」
    「凄いじゃないか、偉い偉い!……君達のお陰で私やジョン、他のみんなもこの街で平和に暮らせてるんだよ?」
    「……………そう、かな……?」
    「勿論さ!………ありがとう、ロナルドくん。」

     日頃なかなか口に出来ない感謝の気持ちが、自分でも驚くくらいスルリと口から飛び出た。いつのものか分からない古いものから、今日出来たばかりの細かな傷と言う名の勲章で彩られたゴツゴツと厳つい大きな手を、私のシミ一つ無い嫋やかな手でギュッと握り締めると、ロナルドくんは男らしい眉毛をへにょりと下げた。いつの間にか彼の肩によじ登ったジョンが、日に焼けて少しぱさついた銀髪をヌシヌシと優しく撫でると、キラキラと輝く両の眼から再び水分が零れ落ちる。

    「……俺……ジョンとか……お前のこととか、上手く言えなくて……。」
    「なんだ、そんな事気にしてたの?」
    「だって………ジョンは可愛いし、すげぇし……てめーはムカつくけど作る飯めっちゃ旨いし……家はいつもキレイでピカピカだし……。」
    「うんうん。」
    「ヌンヌン!」
    「それなのに……何も知らねークセに……酷いこと言われて……でもっ!依頼人に文句なんて……。」

     ……まぁ、そんなとこだろうとは思った。人一倍世間体とかを気にしてる彼なら、さもありなんってとこだ。
     私は小さな子に言い聞かせる様に、一つ一つ言葉を選ぶ。

    「まったくお人好しルドめ。そういった時は我慢しなくていいんだぞ?客が店を選ぶ自由が有る様に、店の方にも客を選ぶ権利があるんだから。」
    「ヌン!!」
    「……で、でもっ、お客様は神様だって……。」
    「それは〝お客様を神様みたいに丁寧に接客しましょう〟ってお店側の心構えであって、客側が横暴にふんぞり返る為の言い訳ではないさ。」
    「知らなかった……。」
    「客の我儘を何でも聞いてたら、商売も退治業も成り立たんだろうが……じゃあもし今日の依頼人から『家に巣くってる下等吸血鬼を退治する為に、お前のとこのアルマジロを囮にしろ!』なんて言われたら……」
    「んなことする訳ねーだろ!!?」
    「ヌアーーー!!!」
    「……でしょ?」
    「あっ……。」

     絶対に有り得ない、そして許されざる例え話に瞬間的に怒りを露わにしたロナルドくんは、すぐに冷静になって言われた言葉の意味を噛み締めている。

    「うん……そうだな、ドラ公の言う通りだ……。」
    「どんな相手でも守りたいって君の心意気はとても尊いよ?でもね、その為に君自身や君の大切な人達を犠牲にする必要なんて無いのさ。」
    「そう……だな……。」
    「世間体とか炎上とか気にするな!……ロナルドくんの誠実な人柄は、周囲の人間は当然として今まで助けてきた人達だってちゃんと分かってるよ。」
    「………ジョンもドラ公も……?」
    「そんなもの言うまでも無い!!……ったく、もっと図々しくなりたまえ。ラーメンヘッドを見習ってみたらどうだ?アイツ、吸血鬼の弱点の代名詞であるニンニクを、ただの個人の好みだって押し付けてくるんだからな?」
    「ブーーーッ!!………ふは、ハハハ!全くだ!!」

     派手に吹き出し綻ぶ様に笑うロナルドくんに、私は密かにホッとした。この太陽みたいな朗らかな男に、あんな卑屈な涙は似合わない。ジョンも彼の笑顔を見て嬉しそうに、ヌヒヒと笑っている。

     ーーーーうん、これでいい。コイツの涙は、私や半田くんの悪戯やセロリ攻撃で流れる分だけで閉店ガラガラなんだから。

     今夜はロナルドくんを徹底的に甘やかす事に決めた私は、今更ながら自分の言動を顧みて赤面し出した彼の顔面に、ジョンの腹毛をソッと乗せて隠してやった。

    「ほれ!とっとと風呂に入れ、野生に帰りしゴリラ!!ジョンも一緒に入って、バカ造がちゃんとちんちんまで綺麗に洗えるかチェックして上げて!」

     可愛さと有能さを兼ね備えた愛しき○は私の意図をしっかり汲み取ると、ロナルドくんに腹毛天国で覆いつつ銀の頭の天辺をペシペシ叩いて浴室へと促す。ジョンの両側に見える真っ赤に染まった形の良い耳は見えない振りをしてあげた。

    「ううううるせー!!ちゃんと自分で洗えるわ?!って、ジョーン!!一緒にお風呂入ってくれるの?!」
    「ヌヌン♡」
    「ありがとなー!!ジョーン!!!」
    「ほらほら、傷の手当てもあるんだからカラスの行水で済ませず全身くまなく洗ってこい!!」
    「わーっとるわ!!しつけーな!?」

     照れ隠しの一撃で私を砂にしたロナルドくんはジョンを顔に乗せたまま、雄々しくチンチンを揺らし浴室へと向かって行った。部屋を出る直前に蚊の鳴くような声で「……ありがとよ、くそ雑魚砂おじさん……。」と、感謝なんだか罵倒なんだか分からない一言を残して。

    「………ったく、素直じゃない五歳児だこと。」

     強情っぱりだけど根は素直な昼の子に、思わず塵のまま苦笑する。思春期の息子を持つ母親とはこんな感じなのか?……いや、あんな大きなゴリラ産んだ覚えないけども。

     そして私は、ナスナスと再生させた鶏ガラみたいな肩を再びヤレヤレとすくませると、白米で提供する予定だったご飯をオムライスに変更するべくキッチンへ向かったのだった。





     翌日。ゴリルドくんの元気なゴリゴリラは、無事元鞘(クソダサ派手パンツ)へと収まり、真祖にして無敵の吸血鬼は胸を撫で下ろしました。目出度し目出度し……とはならないのが、ここシンヨコの恐ろしいところで。

     あの後、徹底的に甘やかすと宣言した通り風呂から上がったロナルドくんの傷の手当てを済ませてから、腹ペコゴリラの大好物オンパレードで迎え撃ち、洗い晒しの銀髪を丁寧にドライヤーで乾かし、歯磨きの仕上げから子守歌付の寝かしつけといった甘やかしのフルコースをお見舞いしてやった私は(子守歌はいらんと殺されたが)、ジョンとの共寝も五歳児に譲り、いつもより少し早めに棺桶に入り就寝した。
     QSG(クエストオブソウルゲート)のロナルドケツワープを超える最速クリアタイムを更新するといった偉大かつ畏怖い夢を楽しんでいると、胸毛を毟り取られたシルバーバックの断末魔みたいな悲鳴が部屋中に鳴り響き、吃驚死と共に目覚めた私は慌てて棺桶の蓋を跳ね上げ、足の小指を蓋の裏にぶつけてもっかい死んだ。
     急いで再生させた頭を声の出所に向けると、そこには無惨にもメリメリバーンとなった丸ごとバナナ柄のパンツを手に立ち尽くすゴリラと、その足元ではジョンが泣きながら転げ回っており……IQ2万のドラドラちゃんは、すぐに状況を察したのだった。てかそのパンツ何?どこに売ってるの??



    「………は?………最長で一週間!?!」

     オニューのパンツが!!と凹みまくるロナルドくんをジョンに任せ寝間着のままVRCに電話をすると、常ならばテレビ番組のCMからCMまでの間程度には取次に時間が掛かるマッドサイエンティストがすぐに電話口に出た。どうやら此方からの連絡を予測してた様で、直ぐに淡々と簡潔に現状についての説明が始まった。

     曰く、件の吸血鬼の能力は男性限定のもので、その分効果は強力かつ解除方法は時間経過のみであり、効果時間は完全にランダム。効果の持続時間に規則性は無く、最短で一時間程度。最長で一週間……との事だった。ちなみにこの吸血鬼フルチン大好き。能力に目覚めると同時に世界にフルチンの開放感を広めたいとの使命感にも目覚め、独りフルチン解放戦線を結成し今回の犯行に至ったらしい。心の底からどうでもいいし、フルチンの時点でチンチンは解放されている訳だが、そこから何を解き放つつもりだったのか小一時間問い詰めたい。

    「つまり……最悪、残り6日程度はフルチンで過ごさねばならん……らしい。」

     ヨモツザカとの通話を終えた私が伝え聞いた結果をそのまま目の前の男に伝えると、最後の一個のチョコバナナクッキーをクッキーモンスターに奪われてしまった時と同じ位の絶望の表情でロナルドくんは床ダンして打ちひしがれてしまった。チョコバナナクッキーとフルチンが同列なのはどうかしてると思う。

     そんな彼を横目に取り敢えず……と、私がギルドマスターへと連絡してみると、既に事態は伝わっていた様で「フルチン効果が切れるまでは自宅待機して下さい、これもまぁ体休めだと思って……ロナルドさんにお疲れ様とお伝え下さい」との申し送りを受けた。同様の被害者であるムダ毛フェチさんや腕の人も当面休業するそうだ。そりゃいくら全裸が日常的な街でも、ブラブラしながら退治する訳にもいかんしな。
     次にオータム書店の超絶有能編集であるフクマさんへと連絡をする。差し迫った締め切りは当分無かったと把握していたが、突発的な企画を持ち込まれる危険……可能性を考慮し、現状を伝える事にしたのだ。事情を伝えると「当面雑誌の取材や企画は予定されておりませんので、これも良い機会ですしゆっくり休まれて下さい」との労りのお言葉を賜った。
     続けてカメ谷くんにも連絡すると、「個人的にはロナルド専属記者魂が擽られるけど、内容的に公序良俗に引っかかりますし取材は諦めます!アイツにはお疲れ様って伝えといて下さい!」と、日頃半田くんと連んでロナルドくんを揶揄う事に全力でありながらも働き過ぎの友人を心配している一面を覗かせた、なんとも彼らしい答えが返ってきた。

     全員からの労りと気遣いの返答も、これら全て省略せずにキチンと伝える。この自己肯定感の低い若者に、どれだけ自分が周囲の人間に恵まれているのかを伝える為だ。

    「………って事だから………ジョン、悪いけど事務所のHPにも暫く休業する旨の告知をお願いできるかな?」
    「ヌン!ヌヌヌヌ!!」

     任せて!!とフワフワの白い胸毛をポンと叩き、頼もしき使い魔は尻尾をふりふりしながら、事務所へと向かって行く。私もそれに伴い、事務所入口のドアに休業プレートを掲示した。これで休業に関するやるべき事は全てやり終えた筈だ。
     事務所のPCの前に座るジョンに再度「宜しくね」と告げつつ自宅スペースへと戻ると、少し前まで使用していたタオルケットで腰回りを覆ったロナルドくんがソファーベットに、頭を抱えて座っていた。寝具を被る分には吹き飛ばし判定から外れるらしく、無事ちんちん周りは厚手の布の下に隠れていた。親切だか何だかよく分からん仕様である(腰回りに巻いて身に付けるとアウト判定)。

    「ほれ、着衣の概念を失ったゴリラ。聞いていた通り、当面は退治業も作家業も休業になったぞ?」
    「………勝手なことしやがって、コノヤロウ……。」
    「ほほう、そうくるか………で、本音は?」
    「………正直助かったわありがとうございます殺ス!!」
    「キレながら感謝するな馬鹿ルド?!」

     いつもの様に悪態をつき私を殴り砂にした男は、立ち上がった所為でずり落ちてしまったタオルケットを慌てて拾い上げると、憤慨しながらも結局私を殴ることはせずにそのままソファーに座り直した。そんな彼を胸から上半身だけを再生させ、頬杖をついて見上げる。

    「どうした?日頃から風呂上がりにちんちん振り回しながら牛乳直飲みしてる五歳児の癖に、今更なんでそんなにフルチン如き気にしてるんだ?」
    「振り回してねぇし?!」
    「アレを振り回していないと言うなら何と表現したらいいんだ………ちんちんくるくる……くるチン祭???」
    「かなまら祭りの亜種みたいに言うの止めろや?!………いや、その……別にテメェ相手にちんこ晒すのなんぞ気にしちゃいねぇわ……。」

     あーだのうーだのと尻つぼみとなった語尾とタオルケットの端を捏ね回すロナルドくんだったが、少しの間を置き渋々と言い辛そうに言葉を続けた。眉根は〝ハ〟の字に下がり、心底悔しそうな表情をしている。

    「………こんな馬鹿みたいな理由で………ハンターを休まなくちゃならない自分が……心底情けねぇ………。」
    「あー………なるほどね。」

     善性にステ全振りしてるんじゃないかと思えるほどの、実に彼らしい思考だった。昨晩、自己肯定感を爆上げさせる為に、あれだけ甘やかしてやったのだが……結果、これである。ほんと、どんだけ人が良いのか。
     私は、残りの下半身も再生させるとロナルドくんの前に立ち、形の良い鼻をムギュっと摘まみ顔を上げさせた。

    「ふぎゅっ!!……いきなりなんだよ?!!」
    「君は日頃から働き過ぎなんだから、偶の休み位のんびりしたまえよ。さっき伝えたマスターやフクマさん、カメ谷くんの言葉……ちゃんと聞いてた?」
    「………聞い……てたけど………でも………。」
    「昨夜も言ったが、今回の件は名誉の負傷ならぬ名誉のフルチンなんだからさ……怪我ならいくらワーカーホリックルドの君でもちゃんとお休みするだろう?それと同じさ!」
    「………名誉のフルチン………名誉なのかそれ?」
    「ブフッ!!………ププ………自分で言っといてなんだが、何というパワーワード………フヒヒ。」
    「ブハッ!!……止めろ馬鹿、笑ってんじゃねーよ……ブブブ。」

     自分の発言に思わず笑ってしまった私に釣られて、ロナルドくんも笑い出す。いやほんと、名誉のフルチンってなんだよ……それを言うならいつものマイクロビキニとか全裸にも〝名誉〟の冠を戴いちゃうじゃないのさ……ブフフフッ。

    「つーかそれなら、俺っていつも〝名誉のマイクロビキニ〟だし〝名誉の全裸〟になるじゃねーの?!」

     どうも同じ結論に至った若造は、それを口にし笑いを堪える様に肩を震わせだした。HPの更新を終え、いつの間にか私の隣で話を聞いていたジョンがヌヒヒヒヒと一緒になって笑っており、堪えられなくなった私とロナルドくんは同時に盛大に噴き出し、ゲタゲタと大笑いを始めた。

    「ブハハハハハハ!!……め、名誉のマイクロビキニ!?名誉のフルチン!!……ヒヒヒヒヒ!!!」
    「テメっ、笑うんじゃ………ブフゥッ!!フフフフフ……ハハハハハハ!!!名誉なんだかわかんねぇし!!!!」
    「ヌヌヌヌヌン!!ヌッヌヌ………ヌヒヒヒヒヒ!!!(ロナルドくん!!格好良………ヌヒヒヒヒヒ!!!)」

     目に涙を浮かべ、大爆笑する私と若造とジョン。肩で息をするほど大口を開けて笑うロナルドくんを見て『もう大丈夫そうだね、ジョン?』『ヌン!!』と、こっそり目配せし合う。

    「ったくもうこれだから名誉のフルチンル……ブフッ!!ププププププ!ヒヒヒヒヒヒ!!だ、ダメだ止まらん!!フヒヒヒヒヒ!!」
    「いつまで笑ってんだ雑魚砂!!名誉のフルチ………ブフフーッフフフ!!クソっ!!……プフゥッ!!ぐぅっ……ッフフフフフフ!!」

     〝名誉〟の〝め〟の字を口にするだけで噴き出してしまい、そんな互いの姿を見ては更にヒートアップする笑いの渦はロナルドくんとジョンの腹の虫が鳴るまで続き、その頃になると笑い過ぎて吹っ切れた若造はすっかりフルチンの事を忘れていた。良かった良かった。

     事務所は休業し当面ゆっくり骨休みをする事となったロナルド吸血鬼退治事務所所長は、その後ジョンと仲良く私の作り置いていた朝食をしっかりと完食し、変な時間に起こされてしまった私は安心して棺桶へと戻り、一つ欠伸をしたのち二度寝をキメこんだっだった。





     ーーーーさて、あれから五日程暦が進んだ。無論、能力の効果(フルチン)は切れていない。

     休みになっても足の爪を切る位しかやる事が思いつかないちんこ丸出し仕事馬鹿は、休業当初は何をしたらいいのか分からず意味も無く室内をウロウロしたり、チンチンをぶらぶらさせたりしていたが、人生(吸血鬼生)を謳歌するのに長けたこの私の協力の下、それなりに偶発的な休暇を満喫していた。
     優秀な遮光カーテンのお陰で夜型から少し昼寄りに生活リズムに移行してやった、慈悲深くも付き合いの良い私に合わせて、ロナルドくんも昼夜中間型から夜型寄りに寝起きする様になり、必然的に共に過ごす時間も増え、一緒に映画を見たりゲームを楽しんだり、ゲームでは当然の如く私に勝てずに拳とチンチンを振り回して八つ当たりしたりといった日々を過ごしている。
     ちなみにジョンは不在である。なんと偶然にも、休業となったその日からフットサル合宿が丁度一週間の日程で予定が組まれていた為だ。ジョンが帰宅する頃にはロナルドくんも衣類と言う名の文明を取り戻している筈である。
     あとデメキンさんは現在事務所側に引っ越し中だ。「人間の雄の生殖器を見続けるのきっつい……グプ。」などと私にコッソリ洩らした為だ。まぁわからんでもない。なので一時的に事務所スペースへと移動してもらっている。同様の理由で死のゲームは早々に『終わったら起こして下さいね、師匠!』と言ってスリープモードへ移行していた。ずるい。

     そんな訳で、いつも目まぐるしい毎日を送る当ロナルド吸血鬼退治事務所兼ドラルクキャッスルマーク2は、私と若造、デメキンさんや死のゲームとで、久しぶりにまったりとした息抜きを楽しんでいた………筈だった。


     ーーーー実は現在進行形で発生している問題が一つ。


     私はソファーに座りテレビに映し出された映像を見つつ、チラリと横に視線を向ける。そこには、寝具等を掛けて隠すといった気遣いなど既に羞恥の向こう側へと投げ捨ててしまったフルチンルドくんが隣に座っており、私がチョイスした某大国の根深い人種差別問題を絡ませた法廷スリラー映画を真剣な眼差しで見ていた。珍しくクソではない、実話を元にした名作である。私の方から『偶には頭を使う作品でも見て、中身だけでも人類に近付く努力をしろゴリラ』と勧めたのだ(そして殺された)。彼が産まれる前の重いテーマを取り扱った古い映画なので最初は見る事自体を渋っていたロナルドくんだったが、物語が進むにつれ緊迫感のある展開に次第と引き込まれていった様で、私が用意したキャラメルポップコーンを貪りながら無言でテレビ画面に集中していた。
     作家業を営む以上、古今東西のあらゆる書籍や映画に触れるべきだと(クソを含む)日頃から口酸っぱく言い聞かせている私としては今の彼の姿は誠に僥倖と言えるものではあるのだが……。

     ソッと溜め息をつく私の視線の先の解放された彼の股間の中心には、天を衝く勢いで聳え立つ汚れたバベルの塔が威風堂々と建設されていた……いや、童貞だから汚れてはいないのか???
     フルオープンとなった下半身のど真ん中の、それはもう御立派様な勃起ちんこ。他の雄の精液を掻き出す為の役割を持ったカリ首はしっかりとエラを張り、小柄な女性の腕ほどもある太さを備えた竿部分にはゴツゴツとした血管が張り巡らせており、その下にはたっぷりの子種が詰め込まれた丸々とした陰嚢がデロンとぶら下がっている。一番太いゴシック体で〝ズゴゴゴゴゴ〟とか〝ズドォォォォン〟などといった効果音が浮かんで見えるのは気のせいでは無いと思う。
     当の本人はそんなデカブツちんこを気にする様子も無く、時折手持ち無沙汰な体で根元に茂る銀毛をボリボリと掻いてるいるが、隣に座る私としては素知らぬフリをしようとしても否が応にも視界に飛び込んでくる為、気にせずにはいられない……私はロナルドくんの元気いっぱいなロナルドを横目に、一番初めのキッカケである休業日初日に思いを馳せる。



     休業を決定したその日の夜、目覚めた私とロナルドくんでフットサル合宿へと出掛けたジョンを見送り、若造が好むメニュー構成の夕食を振る舞い互いに入浴等を済ませた後、一段落ついた我々が共にソファーに腰を落ち着けたその時、それは起こった。そう、突然ロナルドくんが勃起したのだ。
     予想外の事態に流石の私も硬直し、勃起ルドくんは見ていて可哀想な位動揺した。『ヴァッパラビャーー!?ち、ちがっ!これはっ!!そのっ!!アバばババばーーーーっ!!!』と、奇声からの高周波を発生させ、慌てふためきちんこを握り締めながら床を転げ回った。
     そりゃまぁ日頃から通常形態のブツは幾度と無く目にしてはいたが、戦闘形態の状態を見ることも見せることも幾ら気心しれた男同士とは言えどもそうそう無い訳で……表面上は平静を装いつつも、コロコロと転がるロナルドくん本体に追従しメトロノームの針の如く左右に揺れるちんちんを尻目に、私は脳内でドラドラスーパーコンピューターをフル稼働させた。

     ………いやなんでいきなり勃起させた???つーかデカいな?!!ちんこって可愛く(可愛く?)呼ぶのを躊躇うレベルなんだが???……あーあーあーロナルドくん、ヤバい位うろたえとるし……うわーむっちゃ揶揄いたいし煽りたい……っ!『やーい!!使いどころが永遠未定の童貞雑魚ちんちん~!!無駄弾製造機~!!』とか言いたい!!私の中の悪魔がっっっ!!!

     ーーーーなどと厨二臭さ満点の葛藤を経て出した私の結論はと言うと……

    「………落ち着け若造、若いんだから仕方無いだろ?」

     大したこと無いといった感じであっさりと流してやる、慈愛に満ち溢れた華麗なスルーだった。成分の半分が優しさで出来た天使なドラドラちゃんに感謝しまくるが良い。

    「オビャ?!?!………し、ししし仕方ない?!?!」
    「あ?……仕方無いじゃないかこんなの、生理現象だし。だって今の君のソレって防御力0な紙装甲な訳でしょ?日頃パンツとかで保護されてるところが無防備になっちゃって、些細な刺激とかにも弱々な雑魚雑魚ちんちんデバフが掛かってる状態じゃん?」
    「俺のちんちん弱くないし?!!……てか、人の勃起ちんちんをゲームの状態異常みたいに言うなやクソゲーマー砂?!」
    「実際ポンチの所為で状態異常みたいなものじゃないか?……まぁ、誤作動みたいなもんだろ。こんなの。」
    「ご、ごごご誤作動???」
    「そう……誤作動なんだよロナルドくん、安心したまえ。先刻も言ったが、君、若いんだしその分精力も有り余ってるのは至極当然。退治とか筋トレで発散出来なかった分がちんちんからドバドバ漏れ出ちゃったんだろうね。」
    「性欲を尿漏れみたいな言うなボケ!?」
    「出てる出てる(性欲が)ジョバジョバ出てる。」
    「()内を端折んな!!別のもんが出てるのかと不安になるわ?!」
    「嬉ションか。」
    「尿は出てねぇし嬉しがってもねぇ?!!殺ス!!!」

     ちんちんと共に振りかざした拳で私に百裂拳をぶちかましたロナルドくんの頭からは、羞恥心とか全部吹き飛んだみたいで、『誤作動……うん、そうだ誤作動だよな!!うんうん!!誤作動誤作動!!』と、鬼気迫る顔で呪文の様に〝誤作動!!〟という単語を繰り返していた。
     一連の流れの中、何故か未だに萎える事なく勃ち続けているバベルの塔が少々引っかかったりもしたが……それも若さ故の過ちだろうと、私は早々に考えるのを止めてしまった。

     …………あの時点でロナルドくんのロナルドくんとキチンと向き合っていれば……私らしくピッピロピーと煽りまくっていれば……後の祭り、後悔先に立たず……正直この時の私をぶん殴ってやりたい。



     ーーーーいやでもさぁ……まさかあれからずっと〝勃てろボッキッキ!〟が連日開催されるとは思わないじゃん?!

     そう、ロナルドくんの腕白小僧はあれからずっと元気いっぱいな日々を過ごしていた。比喩でも無く、言葉通りの意味で……完全に予想外である。いくらIQ2億の優秀なブレインの持ち主である私でも、ほぼ毎日の様に勃起ちんちんを見せつけられるだなんて想定外どころの話じゃなく……流石は行き場の無い性欲を持て余す童貞王といったところなのだろうか……???
     最初の数回こそ勃起する度にアバアバと慌てていた若造も、私から言われた〝誤作動〟を免罪符とでも勘違いしているのか徐々に隠す事すらしなくなり……シリアスな映画を真剣に鑑賞しながらチンチンを勃起させている現在に至る訳である。完全に初手の対応間違えた。いやードラドラちゃんってばウッカリウッカリてへぺろりん♡……ってクソが!!

     過去の過ちを悔いても目の前の問題(勃起ちんこ)は消えてくれない。ならば考えるべきはこれからの対応である……既に五日程経過しといて今更?!って感じかもしれんが、なかなかにデリケートな問題だから同性としてはツッコミ難かったんだよ!仕方無いじゃん!?フルチンウィークが終わるまで我慢しようとしてたんだよこれでも!!でもね!!気が付いちゃったの!!ロナルドくんのエレクト☆タイミングの法則に!!

     流石の性欲増し増しな童帝でも24時間イイ気分状態を保っている訳では無い。そんな事したら下半身に血液集まりすぎて、いくら若造でも多分貧血起こして倒れる。
     例えば風呂上がりとか(抜いてきてる?)、トイレから出た直後とか(確定で抜いてる)、ご飯を食べてる時とか寝てる時とか(残りの三大欲求が優先されてる)……そんな時なんかには、ロナルドくんの股間も人里離れた隠れ集落みたいに静まり返っている。そんな隠れ集落の裏山から封印されし山の主的大蛇が出現するのは、決まっていつもこの時間……つまり、互いに一息つきリラックスしている時……もっと具体的に言うなら、私が彼の隣に座っているそのタイミングで、ヤツはいつもちんこを勃たせるのだ。
     最初にその事実に気が付いた時はかなり衝撃的だったし、なんならショックで死んだ。脈絡もなく突如砂となった私を見て『えっ?!俺なんかした?!』とかゴリラが喚いていた。ある意味お前の所為だボケ。
     ちなみに、コレの原因についてはすぐ結論がでた。シンプルに人寂しかったのだろうと。何せ四六時中フルチンなのだ。いつもの賑やかしメンバーにもその経緯は伝わっている為、わざわざデッカチンを拝みに来訪する物好きはいない。必然的に彼の身近にいる人型生物は私くらいしかおらず、オマケにいつもよりも生活リズムを互いに寄せてる為、一緒に過ごす時間が増えている状況が重なった結果なのだろうと思う。コミュニケーションを直接取れる相手が私しかいないのだ。ブブオ達に何だかんだと文句を言いつつも実は寂しがり屋なロナルドくんにとって、現状はかなり堪えているのだろう。

     とは言え。私+ロナルドくん=勃起という謎の方程式が確立してしまった以上、早急に何とかせねばと遅蒔きながら焦り始めた私。携帯電話の基地局じゃないのよ。近付くだけでアンテナみたいにチンチン勃たせられたら、幾ら私でも居たたまれないんですわ。

     そんな移動式ボッ基地局な私が、とりま思いついた範囲で出来る対策は3つだ。

    ①残りの二日間、現状を維持する。
    ②今すぐ指摘し、ついでに揶揄って殺される事で若造に羞恥の心を取り戻させる。
    ③逆の発想で一人きりの時間を作ってやる。

     ①に関しては対策と呼ぶには微妙だけれど、下手こくとドン底まで落ち込みブラジルに突き抜けかねないロナルドくん相手と考えれば妥当な選択肢と言える。でもこれは選ばない。だって何も解決しないじゃない。
     個人的に好みなのは②となるが、享楽主義者である私であっても選ぶことが出来ない選択肢だ。これまで散々善意のフォローをしといて今更煽り散らかすってのは、余りにも手の平クルックル過ぎる。却下でお願いします。

     ……となると、残された選択肢ただ一つ。③である。

     前述にもある通り休業してからの五日間、寝ている時以外はほぼずっと一緒に居るのだ。風呂だのトイレだのでコソコソと自家発電には勤しんでいる様だが、AのつくV等を用いた本格的な活動には私が側に居る為なかなか踏み込めないのだろう。
     つまり私が今起こすべき行動とは……適当な理由を付けて外出し、彼に一人になれる時間を捻出してやる事である。食材の買い置きは十二分あるが、細々とした調味料関係が切れかけているし、外出理由としては丁度良いだろう。

     テレビ画面には主人公の弁護士が依頼人の無罪判決を勝ち取るべく陪審員に対し熱弁を振るう、この映画一番の見所が映し出されている。ロナルドくんは、それを固唾を飲んで見守っていた。
     私は静かにソファーから立ち上がると、彼の鑑賞を邪魔せぬ様に出来るだけ物音をたてずにクローゼットからいつもの衣服一式を取り出し棺桶を上に置いた。このまま手早く着替えて、パパッと出掛けてしまおう。
     さて着替えるか…とネグリジェの裾を持ち上げた私だったが、すぐにこちらを注視する蒼い瞳に気が付いた。いつの間にかロナルドくんが画面から視線を外し私をガン見していたのだ。

    「ど、ドラ公……もしかして出掛ける……のか?」
    「ん?……まぁ、そうだね。ちょっと買い物に出ようかと思って。おい、今が一番良いシーンだぞ。見なくて良いのか?」
    「んえ?……ああ、んなの別にいい。それより何で出掛けんだよ?食いもんとか足りてるんだろ?」
    「食材に関しては腹ぺこゴリラゴリラゴリラが満腹な日々を送れる位のストックはキープしてるけど、スパイスとかがそろそろ切れかけててね……。」
    「誰が空腹を抱えたニシローランドゴリラだ殺すわ……じゃなくて!!……出かけなくてもいーだろ、テメーならあるもんでウメー飯作れるだろが……。」
    「そりゃドラドラちゃんの一流料理スキルをもってすればその程度容易いが………なんだ、若造。もしかして寂しいのか?一人でお留守番できまちぇんか五歳児???」

     舌をべーっと出しピッピロピーと揶揄ってみれば、即座に飛んでくる拳に私はあっさりと砂となった。

    「本当のこと言われて殺しにかかるな野蛮人め!!」
    「うっせーターコ!!煽ってくるオメーが悪い!!!」

     ソファーから降りたロナルドくんは、再生しようと蠢く私の側に座り込むと塵にボスボスと両手を振り下ろす。私は何とか顔と手だけを再生させるが、必然的にしゃがんだ若造の股関と床近くに再生された私の顔面が急接近してしまい……

    「ギャーーー!!デケェの近づけんじゃねーー!?!」
    「オワーーー?!し、ししし仕方無ぇーだろクソ砂!!」   

     目の前にゴリルドくんのゴリゴリラがコンニチハするといった、最悪の体勢となってしまった。慌てて互いに身を引くと同時に私はナスナスと体を再生させる。いや間近で見ると迫力あり過ぎだろ、ロナチンくん。間近じゃなくてもド迫力だけども!
     私は立ち上がりながら棺桶の上の衣装を手にする。それを見たロナルドくんは私の外出への意志が固まっている事を察した様で、べしょっとした悲しげな表情で母親のスカートを握りしめる幼児の如く弱々しくマントの裾を引っ張った。

    「…………すぐ、帰ってくるんだよな……?」
    「あー…………いや、久しぶりのお出掛けだし、他に足りないものとか無いか見て回りたいし……ついでにクソゲーでも漁って来ようかと……。」

     すぐ帰宅しちゃったら、お前がワッショイ天国出来ないだろうが馬鹿め!……とは口にしない。買い出ししたい、クソゲー探しの旅をしたいってのも勿論本音だけれど、外出する本来の目的は、ロナルドくんを一人にしてあげて心置きなく自家発電に勤しんで頂く為なのだから。でもそれを馬鹿正直に伝えてしまえば、恥ずかしゴリラは羞恥心からの反抗期が始まってしまい素直にオナニー出来なくなるだろうし。いや素直にオナニーって何なの。

    「………………ズルい!!」
    「はぁ?」
    「お前ばっかりお出掛けとかズルい!!」

     ーーーーしかしながらそんな私の気遣いなど五歳児には上手く伝わらなかった様で。ロナルドくんはズルい!ズルい!と顔を真っ赤にして両手を振り回し始めた。

    「ズルいって、君ね……。」
    「だってズルいじゃん!?俺は外に出られないのに!!」
    「そりゃフルチンでお外にお出掛け出来るのは五歳児までが限界なんだから仕方無いだろ?!」
    「好き好んでフルチンしてる訳じゃねーもん?!!」
    「大人なんだから理不尽を飲み込む努力をしろ馬…」
    「ウルセーーー!!!!!」
    「ブエーーーー!!!!!」

     正論で言いくるめかけたロナルドくんは、殴って砂にした私をコネコネと捏ね回して着替えを阻止するといった力業を行使してきた。ズルいズルいって、ズルズルズルズルうるせーわ!こちとら貴様のずる剥けちんこの為を思って気を使ってやっとんのじゃ!!?

     情けの深さがマリアナ海溝レベルの私でも流石にこの仕打ちには怒り心頭ではあるが、ここで怒り散らかせば数日間の努力や我慢が無駄となってしまう。
     私は体内の怒りを長い溜め息と共に吐き出した。そんな私の様子から滲み出る畏怖畏怖しい怒気が伝わったのかロナルドの手が一瞬止まったので、その隙に素早く体を再生させつつ目の前の男と距離を置こうとした……が!!フィジカルでは遠く及ばない私のスピードではすぐに壁際へと追い込まれたかと思うと再生中の塵の中に手を突っ込まれ、なんと驚いた事にその中から私の下着だけをより分け、ロナルドくんは高々と頭上に掲げ上げたのだ。

    「取ったどーーーーー!!!!!」

     その姿はドラクロワの名画〝民衆を導く自由の女神〟にて国旗を掲げるマリアンヌの如く……はためいてるのはトリコロールではなくグレーのボクサーパンツなのだが。

    「何してくれとるんじゃ追い剥ぎルドーーー?!?!」
    「へーーーんだ!!取れるもんなら取ってみやがれ!!バーカバーカ!!!」

     慌てて体を再生させパンツを取り返そうとするが、片足爪先立ちですらピクリとも体幹が揺るがない若造に頭の上でブンブンと振り回されてしまえば、僅かばかり身長の低い私では手も足も出ない。ネグリジェのお陰で隠れてはいるものの、あまり飛び跳ねてしまうと裾が乱れて私の優美なちんちんまでポロリしそうだ。
     得意気に人のパンツを握りしめ、さり気なくクローゼット前に移動し新しい下着を取り出すのすらも防ごうとしているゴリラに、このままモチャモチャしてても奴の思惑通り何時まで経っても外出出来ないと悟った私は、パンツを潔く諦め無駄な覚悟を決めた。

    「………もういい!!」

     私はロナルドくんから離れ、ハンガーに掛けたまま置きっぱなしにしていた衣類の中からトラウザーズを抜き取ると、パンパンと軽く振って皺を延ばしそのまま片足をずぼりと突っ込んだ。

    「おまっ!!まさか!?!」
    「まさかも何も……貴様に渡す気が無いなら致し方なかろう?」
    「のっノノノノノーパンじゃねーか!?!」
    「好き好んでノーパンしてる訳ではないが?」

     ロナルドくんの言葉を嫌味を込めそのまま返すと、ブーメランを喰らった若造はウグッと呻いて二の句は繋げなかった。

    「別にパンツなんぞヴァミマで買ってトイレで履けば良いだけだもんね!!アーホ!!ボーケ!!浅はかルドー!!」

     ロナルドくんに対しくるりと背を向け、両足を通したトラウザーズを上まで引き上げチャックを閉める。パンツに比べれば柔らかさの足りない生地が直接陰部にあたる不快感に軽く耳先が砂になるが、ここはぐっと我慢する。そして、引き続き着替えを実行すべくネグリジェに手を掛けたその時。

    「………ヒグッ!!……ヴヴっ……ぐすっ……うぇっ……ジュルジュルズズズっ……。」

     背後から聞こえてきたなんとも粘着いた水音に思わず振り返ると、なんとロナルドくんが五歳児の如く涙を流し、冷たい床にへたり込んでいた。

    「……………は?」

     大きな空色の瞳から止め処なく溢れる水晶の様な雨粒が頬を伝い、形の良い鼻から垂れてきた鼻水と混じり合い顎から滴り落ち、萎びたちんちんにポタポタと降り注いでいる。凛々しい眉を限界まで下げすすり上げ痛ましく泣く姿に、私は唖然とするしかなかった。たかが同居人のオッサンが少しの間お出掛けするというだけで、こんな風に泣かれるとは思いも寄らなかったのだ。

    「な、なんでそんな………。」

     意図せず成人男性をガチ泣きさせてしまった事実に動揺を隠しきれないまま、私はロナルドくんの側にしゃがみ込むとその肩におずおずと手を置いた。

    「ど、どうした~?若造~~??………ヒッ?!」

     ぽふぽふと撫でるように肩を叩くその手が突然ガシリと掴まれ、驚いた私は思わず小さな悲鳴を洩らす。鷲掴まれた手首から先がさらさらと崩れ落ちた。

    「ぐずっ!……ズルルッ………お、のごど……になっだんだろぉ?…………ずびびっ!」
    「はい?」
    「こ、こんな………っどもぇ、レのぞば、いるの……あ、飽ぎだ……んだろ……?」
    「なんて?」

     まさかの自己肯定ド底辺モードである。持ち直しなんでも無い様に過ごしていたここ数日間、この男は私が考えていた以上に内心では凹みまくっていたのを我慢していたらしい。そんな時に私が頑なにお出掛けしようとした事実が、その我慢を決壊させてしまった様だった。

     ……ってなんでだよ?!私ちゃんと慰めたしフォローだって十分過ぎる位頑張ってたよな?!数時間程同居人のオジサン吸血鬼が不在になる程度で、なんでこんなにマイナス思考に突き進むんだよ?!そもそもそのお出掛けだって、君(のちんちん)を気遣って……いやもう、それはどうでもいい!取り敢えず今はこの落ち込みルドを何とかせねば……

    「………別に君の事が飽きたとか嫌になったとか、そんな理由でお出掛けしようとした訳じゃないよ?」

     ロナルドくんは手にしていた私のパンツをハンカチ代わりに顔を埋めている……お前それ私のパンツだからな??排泄殆どしないから汚くはないけど?オッサンの股間とか尻を包み込んでたパンツなんだからな???

    「う゛……う゛ぞだぁ………ぐじゅじゅっ!スビッ!チーン!!」
    「人のパンツで鼻噛むな馬鹿野郎!!?」
    「……う゛ぅ~~いい匂いずる……ずびばっ!ずびずび……。」
    「匂い嗅ぐの止めて!?………あ~もうっ!ちょーっとお出掛して買い物してくるだけだからっ!!君に美味しいご飯作る為の買い物なんだよ?!」
    「ひぐっ!……で、でもざっぎ……クソゲーも探しにいぐっで……じゅじゅっ!ぶびーっ!!」
    「だからパンツで鼻噛むなって!!……分かった!分かったから!?必要なもの買ったらすぐ帰ってくるから!!」
    「ほ……ほんとぉ………???」

     涙だの鼻水だのが染み込んで色の濃くなったグレーの布地から、ロナルドくんは上目遣いでこちらを探る様に伺う。もうこのパンツ履けないじゃん……洗濯機に直行するやつじゃん……。

    「ほんとほんと!!……だから、ねっ?イイ子だからちょーっとの間だけ、お留守番してて?」
    「ブビューっ!……じ、じゃあ……買い物に行ってもからぁ……がっでぎだ……お前も、ど同じ……ノーパンになっでぐ……?」
    「…………はぁ?」

     何言ってんだコイツ???脳味噌がフルチンウィルスにでも汚染されたの???……いやまて、まだ聞き違いの可能性もワンチャン……

    「………私も君と同じフルチンで過ごせ………ってこと?」
    「ヴんっ!!!!!」

     元気の良いお返事に、私の意識は遙か彼方宇宙まで飛んでいった………待て待て待て、色んなの差し引いたとしても、それはおかしいだろ???

    「あー……取り敢えず理由を聞いてもよい?」
    「だって………お前、雑魚砂だけど……一応俺の相棒、だろう?……だったらお前もフルチンになるのは当たり前じゃん???」
    「何も当たり前じゃないが???」

     泣いたカラスがもう笑ったとばかりに涙を引っ込めニコニコと得意気に笑うロナルドくんは、ぐちゃぐちゃになったパンツで顔を拭いて立ち上がると、背後のクローゼットから私の下着を取り出し「んっ!!」っと差し出してきた。

    「ほれ!新しいパンツ!!ちょっとくらい寄り道してきてもいーけど、ちゃんと真っ直ぐ帰って来いよ!……もし誰かと会ったりとか行動一緒にする事とかになったら、電話絶対寄越せよ?帰ってこなかったらお前の名前叫びながら街中探し回るからな!!!」

     ……フルチンのまま街中で私の名前を呼ばわるとか、こちらにも甚大な被害を被るやつじゃん……いやその程度の奇行、このシンヨコなら一般の方々も生暖かい目で見守ってくれるだろうけども!?

     満面の笑みでまるで束縛系彼氏みたいな事を宣うロナルドくんに、私は何も言えずに押し付けられたパンツを手に取る。何故こうなったのか?とか、どこで対応間違ったのか?などと浮かんでは消える疑念や後悔を胸に、私は再び思考を太陽系の外まで飛ばしたのだった……。





     ………………ポンチの能力を喰らった訳でも無いのに、何故私はノーパンで過ごさねばならないんだろう………?

     何度見たのか数えるのも忘れてしまった程度には再生されまくったロナルドくんお気に入りのヘルシングのDVDを、ソファーの上に座る私の長すぎる足の間を背に陣取り床に胡座をかき、気の利く私が買ってきたお土産である丸ごとバナナを貪りながら視聴しているゴリラの旋毛を私はぼんやりと見つめる。何度も見たにも関わらず飽きもせずに瞳をキラキラと輝かせ、頬にクリームを付けたまま観賞するその姿は、特撮系に熱中する幼子そのもので……なんかここ数日でガチ五歳児化が進行した気がするのは気のせいだろうか?……少々甘やかしすぎたかもしれない。

     無論、ネグリジェの下はノーパンである。

     宣言した通り外出し必要なものを購入した後、待ちくたびれた若造が先に就寝してしまう事を期待しちょっとだけ周辺を散策してから帰宅してみたが、残念な事に玄関先には何故かカバディポーズのロナルドくんが待ち構えており、抵抗する間も無くあれよあれよとトラウザーズごとパンツを剥ぎ取られてしまった……何で自宅なのに追い剥ぎがいるんだよ。そのままだとパンツ専属の追い剥ぎと同じフルチンで過ごす羽目になるのを避けたかった私は、すぐさま下半身が隠れるネグリジェに着替えた。いや本当はトラウザーズだけでも履こうとしてみたんだけどね!なんか下半身に纏う衣類全般に対してゴリラからNG判定が出ましてね?!……全部破かれかねない勢いで強奪されたんで諦めました……。
     せめてもの抵抗でと選んだのがこのネグリジェで。ロナルドくんはそんな私の姿にやや不満げに頬を膨らませたものの、剥ぎ取られたり引き裂かれたり等の暴挙に出ることは無かった。いやオッサンがちんこ隠しただけで文句言われても困るんだけど。

     ………まぁこの奇々怪々な行動は色々な要因が重なった結果、おかしくなった情緒からくる脱稿ルドに近い状況なのだろうと思う。一度寝て起きて冷静になれば、ロナルドくんも自分のやらかした一連の流れを省み反省する事が出来る筈である。きっと!多分!!

     眼下にあるロナルドくんの頭が、こくりこくりと船を漕ぎ始めた。厚手の遮光カーテンの向こう側からは、朝の気配がじわりじわりと近付いて来ているのを感じる。私はふわりと欠伸をした。

    「おい、ロナ造………もう朝になるし、私はそろそろ棺桶に入るぞ?」

     私の言葉にロナルドくんはンー?とぼやけた生返事をすると、背筋を伸ばそうと右手をググーッと上げ背伸びをした。

     ーーーーさて、ここで一つ質問です。ロナルドくんは現在どの様な体勢でどこに座っていたでしょうか?

    「ぬわーーっっ!!」
    「んえっ?!何大ごぇ………ばヴぇらっビャーーっ?!?!」

     正解はそう!!ネグリジェを来たノーパンの私の脚の間でしたーーー!!!

     そんな場所でそんな行動をしてしまえば若造の右手が私のネグリジェの裾を畏怖練のマントの如く捲り上げてしまうのは当然の事で………床に座るロナルドくんの目の前に一糸纏わぬ私のちんちんが曝け出されてしまった訳で。

    「ばばばばば馬鹿造!!何やってんだ?!!とうとう本当に未就学児にでもなったのか?!」
    「ウルセェ誰が五歳児だ?!てかワザとじゃねぇし!!?」

     ガキ大将にスカートめくりされた女児の様にネグリジェを押さえる私とは逆に、慌て過ぎなのか裾を握り締め手を上げ続けたままのロナルドくん。

    「つかなんで裾掴んだままなんだよ!!?いい加減手を……」

     離せ!!……と続けようとした言葉を、私は思わず留めた。何故ならロナルドくんの動きが、声が、発条の切れたブリキのロボットみたいにピタリと止まったからだ。

    「…………ロナ……ルド、くん………?」

     ヒラヒラと揺らめくネグリジェの生地が視界を遮り、ロナルドくんの表情は窺えない。それでも、高々と胸元辺りまで捲られてしまったお陰で剥き出しとなった私のガリガリ裸体に、若造の強い視線が向けられているのはどうしてか分かった。

    「うわっ!!ちょっ!!?」

     捲られたネグリジェの中に頭を突っ込んだロナルドくんに、いきなりソファーへと押し倒された。
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