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    tooi94

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    tooi94

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    qs5で出てるアクションゲーム

    #ロナドラ
    Rona x Dra

    ゴーストYヤーシンヨコ >capture 00

    常夜神社周辺で人体消失現象が発生していた。
    この街で起きる不可解なことは大体吸血鬼絡みだ。吸対と退治人ギルド合同で見回りが行われることになった。
    実は数年前にも似たような事件はあり、その時はとある退治人の活躍で、数日後に消えた人々も戻ってきたらしい。元気に。全裸で。

    当初、ドラルクはこの仕事への参加をひどく渋ったので、ロナルドは別についてこなくていいと言っておいた。
    所詮ただの見回りである。もし今日のうちに犯人または原因に繋がる何かが見つかったとしても、一旦持ち帰り対策を検討した上での対応となる。
    ついてきたところで役に立たないだろうし、ドラルクにも面白いことはないだろう。
    けれど事務所を出る直前になって、ドラルクはやっぱり行く、と言ってついてきた。しかもジョンは置いていくとか。
    「めんどくせえやつだな」
    「それが君には遠く及ばないんだよなあ」
    殺した。

    吸対はすでに現場に入って待機している。退治人たちもぼちぼち集まってきている。
    部下たちに指示出しをしていたらしい、ヒヨシとヒナイチがロナルドたちに気づく。
    挨拶でもしておこうと、そちらへ向かおうとしたロナルドの腕をドラルクが引いた。
    何だと振り返るより前に顕れる白煙。

    暗転


     >capture 01:常夜神社

    ロナルドが気がついたのは社から離れた境内の入り口だった。
    先ほどの白煙を思い出す。その後はわからない。爆発でも起きたのか。他のみんなは。
    慌てて起きあがろうとして、左胸にちくりと痛みが走る。ついで右腕に違和感。
    腕には黒い靄がまとわりついていた。
    「何だこれ」
    「ここを出るまでは我慢してくれ」
    耳元にドラルクの声が聞こえる。しかし姿はない。
    「お前、どこにいるんだよ?」
    「説明が難しいな。とりあえず君、一度死んだから。今は私の心臓を貸して動いている」
    「は?」
    ちくりと心臓が痛む。見下ろせば、左胸にも黒い靄がかかっている。
    「君だけではなく、ここにいるものは皆一度死んでいる。肉体から魂だけ引っこ抜かれて格納されているような。
    君は少しなんかよくわからん縁があったみたいで、肉体ごと引っ張り込まれたわけだが、相手がひどい乱暴者だったせいで損傷を考えてもらえなかったみたい。で、腕と胴体ズタズタにされたわけなんだけども具体的には切れない程度にねじられてやすりで肉を剥くみたいな」
    「やめろめちゃくちゃ痛ぇ」

    鳥居はいつの間にか朱色ではなく灰色に変色している。
    ロナルドたちが家に帰るためには、神社の奥に出てきたものをどうにかしなきゃいけない。しかし、神社の社殿付近には結界っぽいものがあってここから先にはいけない。
    どうしたら、となった時、ちょっと右手のひらを地面に当ててくれないかとドラルクが言うので、ロナルドはその通りにした。
    道に細く青白い線が走る。
    「何これ」
    「何だろうね。糸というか。常夜神社が起点になっていることは確かだ。これが張られている先を壊していこうか」

    携帯は電波が通じなくなってしまっている。しばらく歩いて見つけるのは服飾品類ばかり。中身だけが消えたみたいに散乱している。
    人体消失現象だ。


      >>tutorial:対雑魚

    人のいない新横浜だが、人っぽい敵性の何かはいる。
    ドラルクはそれらをまとめて「怪異」と呼んだ。
    「ぱっと見で君が吸血鬼だと思うものは、いつもの君のやり方が有効だ。もともと生命の定義からずれているから、こちら側でもおそらくいつも通りだよ」
    その通りに陸クリオネとか殴れた。楽でいい。
    ロナルドの所有する武器は銃とナイフ、ハエタタキ。銀弾は現時点で数発。
    「問題は、吸血鬼じゃないもの。向こう側に命を持っていた、こちらには意識とか魂しかないもの。
    聞いた話だと、あまり死ぬことがないものにとって、死は恐ろしいんだろう?」
    これもその通りだった。顔がなかったり首がなかったりめちゃめちゃホラーテイストな人たちはロナルドの話を聞いてくれない。殴れば怯むけれど手応えがない。弾き飛ばしても何事もなかったかのようにロナルドに手を伸ばしてくる。若干のダメージは入るが崩れるまで蓄積度合いがわからない。
    「めっちゃ怖いめっちゃ怖い何あれ何あれ」
    「この辺歩いてるってことはご近所の人じゃないかなあ」
    ミツケタァ、とやけに長い黒髪のやたら背の高い女がロナルドに迫る。女は大きな鋏を手に持っている。
    「私に右手を貸せ!」
    まとわりつくだけだった黒い靄が右腕に重なる。瞬きのうちに、それはドラルクの腕になった。
    「きもっちわる!」
    「黙っとけ若造!」
    ドラルクが指先をやたら大きく細かく動かす。どこかで見たことがある、とロナルドが思ったときには女は弾き飛ばされていた。
    「それ」
    「九字。やだなあ、やっぱりこれ効いちゃうんだ」
    ドラルクが右手だけで印を結んで、青白い光が灯る。それにぶつかって女は消えた。
    「死んだ…?」
    元は人間だと聞いていたのでロナルドは戸惑う。
    「ここで浄化されたと言うことは、向こうへ戻ったんじゃないかな」
    「あ、だから前も」
    「そう。全裸で。女性になんてことするんだ痴漢ルドくん」
    「オオオオオごめんなさいおっかないお姉さんんん!! ドラ公はあとで殺す」


     >capture XX:ヴリンスホテル最上階 結界の鳥居 雨

    「厳密には、彼らを浄化しているのはロナルドくんだ。私は使い方を知っているから使っているに過ぎない。そもそも吸血鬼が悪霊退散とかやってたらこわい」
    「なんでお前使い方覚えちゃったんだよ」
    「対処策? なんにせよ役に立っているし、さすが私! 存分に畏怖してくれていいんだよ?」
    「あとで殺す。2度と使えねえ無駄技術」
    「そうあれかしだ。さてロナルドくん、糸の切断前にボス戦があるようだ。左手を空けておいてくれたまえ」


      >>tutorial:エリアボス(怪異)

    吸血鬼用の武器はほぼ無効。
    向かって来る怪異を左手でガードして、タイミング良く引くとオレンジ色に光る弦のような物が五指にくっつくのでそれを引っ張って核を抜き取る・巻きつけた状態で殴るが可能に。
    「殴るのは想定してなかった」
    「俺強いので」

    撃破後、青白い鳥居を破壊する。
    他、ぼちぼちドラルクが印の結び方教えてくれる。


      >>interval:ロナルド吸血鬼退治事務所

    見慣れた廊下は薄暗くひんやりとしている。けれど事務所にだけは灯りがついていた。
    「おや来客かな」
    「今?」
    ロナルドは訝しんだが、ドラルクは呑気に構えている。であるなら、本格的に悪いことはないような気はする。
    念のため警戒しながらロナルドはドアを開けた。
    「ロナルド! あれ、ドラルク? ドラルクだ! 無事でよかった!」
    「ヌーーーーー!!」
    「ビーーーーー!!」
    「ししょーーー!!」
    事務所にはヒナイチ(ただし透明)とジョン、メビヤツ、死のゲームがいた。ドラルクの実態がないからか、ジョンはメビヤツと一緒にロナルドの足元をぐるぐる回っている。かわいい。テーブルの上にはデメキン入りの金魚鉢もある。

    Q.なぜここだけ無事なのか。
    A.ドラククキャッスルマークⅡだから。元々いた奴らはおそらく神社に出てきたやつに引っ張られているのでしょう。

    「俺の! 事務所!! 元々いた奴らとかいうなよこえーだろうが」
    「君そういうところに住んでたんだぞ八千円」
    「ちん」
    ヒナイチがしたり顔で腕なぞ組んで頷く。
    「そんでお前は何でここにいるんだ?」
    「知らん気がついたらここにいた」
    首を傾げるロナルドにヒナイチが応える。ドラルクが笑う気配。
    「さては、さっき私たちを見たとき、おやつのことを考えたな?」
    「それはそう! 昨日のマドレーヌもしっとり口当たり良くてバターとほんのりレモンの香りが一口目からふわって広がってしあわせになれて美味しかった! こんどレーズンバター挟んだのが食べたい!」
    「うーん100点満点。作ってあげたい。
    たぶん、思い入れが深い場所やその時考えていた場所に移動したんだろう」
    ジョンが負けじとおやつの感想をヌーヌー言っている。ドラルクもそれに「うん、ありがとう、きっと作るよ」と答えている。
    ちなみにロナルドはバナナを生地に練り込んだパンケーキがいい。
    「初めは混乱したのだが、ここにはジョンもメビヤツもデメキンも死のゲームもいるだろう。話していたら落ち着いた。ありがたいことだ。
    神社にも戻ろうと思ったんだ。だが、外に出るとどうにも意識がなくなるというか、形がなくなるような気がして、
    なあ、私は死んだのか」
    「そうだね」
    ドラルクは頷いてから、先ほどロナルドに話したことを繰り返した。
    ヒナイチはすでに覚悟していたのか落ち着いた様子で、むしろ戻れることに目を輝かせていた。
    「じゃあ私もロナルドかドラルクに消してもらえばいいのか!」
    「うわーやりづれえ」
    「そうだな、ちょっと後にしてほしい、先に詫びなければ」
    ロナルドが渋る声を上げると、ヒナイチはあっさり翻して事務所の奥の執務机に目を向けた。ノートPCが開かれた状態で置かれている。
    ヒエ、と抜けるような音がロナルドの口から漏れた。
    「緊急事態だったので拝借した。どこかと連絡がつかないものかと思って。私はこの通りさわれないから、死のゲームが操作してくれたので、個人情報と書きかけの話とか、綺麗なお姉さんが洗濯板でお洗濯してる動画とか見てないぞ!」
    「見てんじゃん!! お前それ他所で喋ったらペンギン棲家に突っ込むからな!!」
    「ちんー?! ちょっとしか見てない!! 画面切り替えの時にちょっとだけ!!」
    「ちなみにそのお姉さんはうなじきれいだった?」
    「メインは手元だったが、たまに首を傾げる仕草はうつったぞ、きっちりしないお団子ヘアだった」
    「ほう。今度かしてよむっつりド君」
    「見てんじゃん!! めっちゃ見てんじゃん!!」
    「何でそんなに怒るんだ!? 洗濯物の手洗い指南だろう!?」
    「それ黙っておけば動画のメインが洗濯のために薄着になったお姉さんのおっぱいや襟ぐりから見える鎖骨なの分からなかったのに」
    「ちっげえわメインは洗濯板の方だわ!!」
    ヒナイチは賢明なので察した。深掘りしてはいけないやつだ。
    「脱線したな、話を戻そう」
    「ロナルド君のせいで」
    「殺してえ」
    「戻そう。
    勝手ながらこのPCから情報収集ができないかを確認させてもらった。幸い、この現象が起きているのは新横浜周辺のみで、すでに神奈川県警が動いているそうだ。
    それで、吸血鬼対策本部に繋いでもらって、今、兄と通話中なんだが」
    「  」
    「ロナルド君がとうとう音声を発しなくなった」
    『久しぶりだな、退治人ロナルド、吸血鬼ドラルク。なお、本通話は録音され、のちの作戦会議等で共有される。市民の安全のためだ、ご協力感謝する』
    ノートPCから聞こえてきた本部長の声に、ロナルドは泣いた。


      >>interval:閑話 神奈川県警察 吸血鬼対策本部

    通話を終え、カズサは椅子に深く座り直して息をついた。
    「妹さん、戻れるようでよかったですね」
    傍に控えていたミツキが言った。ああ、とカズサは頷いてからすぐに姿勢を戻しPCに映像を展開する。新横浜の結界内へ飛ばしたドローンの映像だ。
    「意義ある報告だった。うまく事を進められれば、新横浜の人命は無傷で戻る」
    ヒナイチやロナルドからの報告の通り、「人間」として成立しているものはいない。VRCの映像も確認したが、こちらも同様だ。つまり、吸血鬼たちも同様に、衣服だけを残して消えてしまっている。
    衣服だけがその場に残る様はある意味、
    「ちょっとエッチかな」
    「もしもしコンプライアンス委員会?」
    「やめてごめんなさい俺が悪かったです」
    通話も、ヒナイチからはこちらの姿が見えていたようだったが、カズサからは妹の声だけしか確認できなかった。
    私は死んで幽霊になってしまったのかもしれない、どうしよう、兄さん。
    そう、不安がる妹の声を聞くのに、カズサは県警から動けなかった。すでに新横浜の異変は一帯に周知されており、吸血鬼にまつわるそれであると仮定の上で捜査本部が立てられていた。父も参加している。
    所属のダンピールがこれ以上はダメだというところまで前線を接近させ、中の様子を探ったが結果は同じ。人体だけが忽然と消えたように、誰もいなくなっていた。警官が一人、無理に結界踏み込み、途端に白煙に巻かれるようにして消えた。正義感からの行動だったのだろう。あるいは中に彼の知己がいたのか。カズサはその報告を、映像付きで確認した。
    夜間で外出が少なかったのは幸運だった。車両事故の報告は少なく、火事もいくつかあるようだがドローンでの消火でどうにか治められている。近隣の都県に借りを作ったが、必要だった。調整しなくてはならない。
    新横浜を走り回るロナルドの存在は、結界内を望遠で監視する部隊からの連絡で、ヒナイチからの連絡より前に確認できていた。
    初めに見つけた時、彼は黒々とした靄を右腕にまとわせていたので、敵性の吸血鬼ではないかと疑われた。違うと気付けたのは、彼自身の顔と装いが目立つものだったからだ。
    彼が「何か」と対峙するとき、ロナルドが発する青白い、あるいは橙の光に照らされるようにして、その「何か」も確認できた。奇妙なことにその瞬間だけ映像にも映る。
    同時刻、結界のすぐ側で、人が全裸で倒れているとの通報があった。当初は別件として回されていたが、意識を戻した当人からの申告で、新横浜の住人であることが判明した。これが複数。
    当初から予想立てられていたが、ヒナイチからの報告により、彼らは退治人ロナルドとその相棒の吸血鬼により、脱出させられたことが確認できた。大収穫だ。懸念が一つ減る。
    市民は戻ってくる。妹も。
    妹は、ロナルドたちが仕事を終えるのを見届けてから帰ると言った。誇るべきだ。
    「5年前の消失事件と似ていますね。関連性はあるのでしょうか」
    「あー、いや、ない。あの時の犯人は」と、そこまで言いかけて、カズサは止めた。軽く頭を振る。記憶に靄がかかっている。何故だ。毎年の健康診断では身体ともに正常とされているはずなのに。
    あの時の犯人は、単純に血を取るために美人局で人を誘き寄せて拐かして、それに引っかかった退治人が捕まえたはずだ。別件だった気もする。なぜ吸血鬼がわざわざそんな面倒なことを? 真っ向から襲って返り討ちに合うことを恐れたからだ。退治人1人の腕を使い物にならなくするほどの咬合力があったのに? そいつらはそのあとどうした? 
    「いや。詳細が思い出せん。ヒヨシは」
    当時、事件に関わった退治人レッドバレットは、結界内のおそらく中心地にいる。


     >capture XX:キュービック

    カミヲクダサイ、カミヲクダサイと繰り返す怪異がいるのでトイレットペーパーを7個ほど渡すと勝手に昇天する。
    「どんだけケツにうんこつけてんだ…いやここにいるのは精神だけだから向こう側に戻ったらあいつ全裸で」
    「ロナルドくんシッ」

    そういう感じの親切で浄化されていくのもいる。


     >capture XX:住宅地 他

    結界らしきもので入り口や通り道が塞がれてる際に、解錠の印を右手で書いて開ける。

    初見成功時
    「ほう! 器用じゃないか!」
    「ヘア!? ナナナナニそりゃ俺はやればできる子ですから!」
    「褒められ慣れないなあ君、ゴリちゃん器用でちゅねって言った方が集中できる?」
    「殺してから集中する」

    しかし何度か解錠に失敗するとドラルクが「右手貸してくれるなら代ろうか?」と言ってくれる。
    ・初めてお願いする
    「ドラ公」(ちょっとイラッと)
    「ん〜? ゴリラの手元には難易度が高かったか」
    「うっせ」

    ・2回目以降お願いする
    「おいドラ公」(面倒臭そう)
    「お願いって口に出せんのかねキミ」
    「へいへい」

    ・2回目以降お願いする別ver
    「頼む」
    「良かろう、存分に畏怖したまえ!」
    「うっせ」

    ・別ver
    「無理やって」
    「いやちょっと頑張れよ」

    ・最後のクソ面倒くせえ錠前の時お願いする
    「…ドラ公」(悔しそう)
    「んふふ、いいよ」


     >capture XX:稲荷社 雨

    ヒトガタが手に入る。手紙が添えてある。
    『ここでこれを見つけたということは、そこらじゅうに人魂がウヨウヨしとる状況かと思う。このヒトガタは一時的にそいつらを保護しておけるらしい。できれば連れて行けるだけ連れて脱出して破ってくれ。それで保護した連中は戻る。
    常夜神社には近づくな。あれは手に負えない』
    ふむ、と感心してドラルクが頷く気配。
    「なるほどこれを依代にするのか。へえ、すごいなこれ、たくさん入りそう。
    …ロナルド君?」
    ロナルドは手紙の文字をじっと見つめていた。
    「兄貴の字だ」
    右手を借りるよ、とドラルクが言うと、ロナルドの右手は彼のものに変わる。青白い指先が手紙の文字をなぞった。赤い爪がこの暗がりには少し目に痛い気がして、ロナルドは目を眇めた。
    「前情報にあった、以前の消失事件に関わった退治人はヒヨシさんか。それで君、ここに縁ができていたのか」
    「…わかんねえ。そうなのかな。前のとき、は、家を出ようとしてて」
    兄貴とはあまり喋らなかった時期だ、とロナルドは呻くように息をついた。
    ここにいない兄に肩を叩いてもらったような安心感と、もっとちゃんと話しておけば対策も取れたのにという後悔が同時に喉元を塞ぐ。
    「なんだ一人反省会かね。やめとけ君が考えたって殴るタイミングくらいしか変わらないぞ」
    「殴りたい」
    「帰ったらお兄さんと擦り合わせて今後の対策に役立てたら良いだろめそルドくんめ」
    「背中にチャックねえわ。なあそれまだ通じるネタ?」

    ヒトガタは他に塞の神のとこでも見つかる。人魂を詰められるだけ詰めてヒナイチに預けておくとドローン定期便で外に出してくれる。


     >capture XX:アリーナ通り 雨

    「お前って、今俺の考えてることとかわかんの?」
    「どうして?」
    「お前の心臓、ここにあるじゃん」
    「なるほど? しかし流石にそれはないな。何のためにいちいち会話していると思ってる」
    「そっか」
    よかったと息をつく。雨音。


     >capture XX:VRC

    いくつか青白鳥居を壊した後に行くとドラルクと分断され奪われる。
    分断したのも奪ったのも、人の形をして人の認識がある怪異だった。
    「■■■■■様が、こいつを連れて行けば助けてくださるとおっしゃったんだ」「許してくださいロナルドさん、でもいいでしょう」「吸血鬼だもの」「この吸血鬼を捧げれば許してくださると■■■■■様が」「たった一人を捧げるだけで」「ロナルドさん」「助けてくれるでしょう」「同じ人間を」
    「人間を」
    「吸血鬼を」
    「バケモノから」
    「助けてくれるでしょう、退治人ロナルド!」

    ロナルドは彼らに応答しない。

    心臓はロナルドの胸にある。
    時間はかかるものの、ロナルドだってそれを倒せる。
    ロナルドは彼らをヒトガタには入れず、拳で殴りつけて消して還した。

    暗渠を出て、見晴らしの良くなった道にロナルドは立つ。右腕に黒い塵はない。
    それでも、右腕の使い方は心得ていた。
    片膝をついて右の手のひらを地面に当てる。
    ドラルク。呼べば応じるように、青く光る線が地面を走った。


      >>interval:ロナルド吸血鬼退治事務所

    「おかえり!」
    ドアを開けて迎えてくれた声は、しかしロナルドに馴染んで望んだものではなかった。
    ヌー、とどこか儚い声が足元から聞こえる。ジョンがロナルドの脚にぴたりとくっついてきた。反対側にメビヤツが寄り添う。
    「ロナルド、大丈夫か? 顔色が良くない」
    「ヒナイチ、預けていたヒトガタは?」
    心配して声をかけるヒナイチの問いかけには答えず、ロナルドは問い返した。
    「兄さん、本部と連絡をとって、ドローンを寄越してもらってそこに入れて外へ出した」
    「それってまたくるのか」
    「ああ、連絡を入れればすぐに。
     ロナルド、大丈夫か? …ドラルクは?」
    「神社のやつに盗られた」いっそ淡々と、ロナルドは言った。「取り返してくる。多分それで最後だ。ヒナイチも次で外に出ろ」
    ヒナイチは少し言葉を詰まらせてから、頷いた。
    「ジョン達も」
    「ぐぶ…いや、我輩達はこのままで構わん。同胞は冗談で隠したが、ここはもはや竜の巣だ。結界の中にあったところで変質もしない。娘は、外で影響を受けてからここへ訪れたからな、他のものと同じ手順で戻る方がよかろうが」
    「そうか」
    PCのスリープを外して、吸対本部へ連絡を入れる。
    小さな小箱を抱えたドローンが、本当にすぐに事務所の外に来た。ジョンが慣れた様子で窓を開けて迎え入れる。何度目かの作業なのだろう。
    手持ちのヒトガタはちょうど最後の一枚だ。
    「ロナルド」
    ヒトガタに触れる直前に、ヒナイチが呼んだ。
    「ドラルク、大丈夫だ。今の私は死んでるだろう。だから見えるものがいつもとちょっと違うみたいで、私にはずっとドラルクは薄く青く光っているようだった。ロナルドの心臓のところも、はんぶん同じ光に見える」
    だからきっと大丈夫だ、とヒナイチは笑った。

    はんぶんか、とロナルドは息を零すように言った。全部でもよかったのに。


     >chapter XX:常夜神社 神楽舞台

    舞台上に一個の箱がある。
    黒い表面に青い線が走り何かの紋様を描いているそれを、ロナルドは殴って壊した。
    砕けて落ちる黒片の合間から、目に馴染んだ、けれどやけに久々に見る気がする貧相な輪郭が除く。
    ロナルドとほとんど同じ目線で立つ吸血鬼は、なるほど、青く白く薄い光を伴っていた。
    実体もないくせに一仕事終えたみたいに息を吐いて、ロナルドを見て片方だけ口角を持ち上げる。
    「やあ、遅かったね」
    「うっせ。素直に助けてくれてありがとう言えねえのか200歳児」
    「自己紹介かな5歳児〜? まず下男めの命を助けてくださってありがとうございますドラルク様が先だろ〜?」
    「ハア〜? そういやそーでしたねありがとうございますここ出たらお前は89回殺しますゥ〜」
    「何その回数」
    「ここにきてからの俺がお前に殺意を抱いた回数」
    「数えてるのかこわ。
     しかしまあ確かに、言える時には言っておこうか。ありがとう。ロナルドくん。ここまできてくれてとても嬉しい」
    ぶわ、と青色が眼前に迫って、ドラルクは初めにここにきた時と同じように、ロナルドに重なる。
    「…見えなくなった。声しか聞こえねえの腹立つわ」
    「我慢しろ」
    腹立つ、と言いながら何処か拗ねたような声音になった。発したロナルド本人はそれに気づかなかったので、笑うようなドラルクの気配を怪訝に想った。

    二人が揃うのを待っていたかのように、本殿前の霧が濃くなる。
    「この騒ぎを起こしているヤツは、たくさんのいのちと、吸血鬼の器が欲しいらしい」
    「命って、街の人たちか」
    「そう。ロナルドくんがみんな解放してしまっただろう。だから彼あるいは彼女はせめて、強い吸血鬼の器が欲しい。私自身は弱いけれど、奪って作り変えて仕舞えばどうとでもなると思っていた。
    それなのに、君が私の心臓を持っていて、私だけ捕まえたのでは完成しなかったから、あれはたいそうおかんむりだ」
    「ざまみろとしか思えねえ。
     あのさドラ公、帰ったら俺、お前に言うことあんだけど」
    「なんで今そういうこと言うの?」


     >chapter XX 常夜神社 本殿 ASHURA CLOCK

     レッドバレット戦

    ・容姿はあん時のレッドバレット
    ・たくさんの手が纏わりついて動かしている状態なので動きが緩慢
    ・たくさん纏わりついて一緒に動いているのでこっち当たり判定がでかくダメージもでかい
    ・遠距離攻撃
    ・なので初動準備中に核をワイヤーで引っ張り出すのが有効


     >ending

    「ヴァーーーー兄貴殴っちゃった…!!」
    「しかも全裸で帰すなんてひどい弟だな君」
    「ゴメン兄貴ーーー!! ドラ公93回!!」
    「待て今のが1回だとして3回心当たりがないんだが」
    「これは兄貴の分、これはヒマリの分、そしてこれが俺の分だ」
    「君のぶん重複してるじゃないか」

    神社の鳥居に色が戻る。
    「さてそろそろ戻らないと」
    「俺らが戻る時もやっぱあれなのか、全裸」
    「君は死んでないから多分そのままで大丈夫だよ」
    鳥居の向こうが明るい。それを潜れば戻るのだろう。それはわかる。
    「…お前は?」
    鳥居をくぐる直前に、ふと足を止めてロナルドが行った。
    「私の心臓、そこにあるからね」
    それは肉声のように聞こえた。
    ロナルドが振り返るより先に、とん、と背中を押される。
    2歩、前へよろけた時には、もうそこは見慣れた事務所の入り口だった。
    慌てて背後を振り返る。
    そこには閉ざされたドアがあるだけだ。
    「……は?」
    ヌヌヌヌヌン、と悲しげな声が足元から聞こえる。ジョンがロナルドの脚にぴたりとくっついてきた。反対側にメビヤツが寄り添う。
    明け方でまだ薄暗い事務所の来客用のテーブルの上にはデメキン入りの金魚鉢と死のゲーム。
    それだけ。
    ロナルドの左胸にはもう黒い靄はなく、青い光もない。
    生活スペースへ続くドアを開ける。
    遮光カーテンを引いた窓から朝日は入らず、事務所以上に暗いそこに、ソファと並んで置かれた棺がある。
    ロナルドは靴を、きっと後でドラルクに小言を言われると思いながら適当に脱いで、部屋に上がった。
    棺の傍に膝をつく。出掛けに明けっぱなしにされた蓋の隙間から、見慣れたドラルクの塵があった。
    ヌー、とロナルドの隣にやってきたジョンが、棺に縋り付くようにして泣く。ヌヌヌヌヌヌ。ドラルク様。
    「…ドラルク?」



     >happyend

    さらさらと塵が動いた。
    それはロナルドの左胸に向かう。心臓のある場所だ。
    ロナルドの腕の中に、吸血鬼の形と重さが戻る。
    呼吸が戻る。
    「ドラ公」
    「うん、おかえりロナルドくん」
    「お前がおかえり言うのかよ」
    「だって私はここにいたからなあ」
    ふふ、とドラルクが笑う。気配だけでなく、それはロナルドの肩にくっつく彼の頬骨や呼気から振動になって伝わる。
    顔が見たいと思って、回していた腕を緩めて隙間を作ると、ちょうどよくジョンが潜り込んできた。
    ジョンは嬉しそうにヌーヌーと主人に話しかけて、ドラルクもそれに優しい返事をする。普段ならそれを隣か少し離れたところで眺めているけれど、一人と一匹はロナルドの腕の中だ。
    ロナルドは少し首を傾けて、ドラルクの額に自分のそれをくっつけた。ついでに鼻先も掠る。
    「ドラルク」
    「なんだ」
    「今すごくチューしたいんですけど」
    「なんで」
    なんで。なんでだ。逆になんでこんなに近くにいるのにしちゃだめなんだ。
    ロナルドがうらめしくドラルクを見ると、彼は揶揄うように口端を上げる。
    「君、私にまだ言ってないことがあるぞ」
    「愛してる」
    「ん?」
    まるきり予想していなかったように、ドラルクが目を丸くした。どうせ好きとかそのくらいの言葉がくると思ってたんだろう。なんなら吃るくらいに考えていたかもしれない。それで5歳児とか言って馬鹿にする気だったに違いないうわー腹立つ。
    なのでロナルドはドラルクの口の端をべろりと舐めた。血色の悪い顔がうっすら赤くなったように見えた。ロナルドは自分の顔だってきっと真っ赤になっていることくらいわかっているので開き直った。
    ヌヤンとジョンが目を覆う。
    ドラルク、と、ロナルドはもう一度彼の名前を丁寧に呼んだ。


     >normalend

    呼びかけても塵は塵のまま。
    ヌーヌーと嘆くジョンの隣で、「常夜神社」とロナルドは呟いた。
    きっとまだドラルクはそこにいる。なんだよ人のこと押し出しといて自分で戻ってこれないのかよ。おまえの心臓ここにあるのに。
    早く迎えに行ってやらないと。

    →浄化イベントをこなしきれない時に発生するエンド。
     続編とかに続くルート


     >happyend?

    ドラルクを盗られたのがトラウマでドラルクをおんもに出さなくなっちゃうロナルドのエンド。
    怪異も人間も吸血鬼もドラルクを盗るからダメ。全部許さない。買い物は俺がしてくるしネットもあるし、俺とジョン達がいればいいよな。
    ドラルクの復活までhappyendと同じ進み方をするやつ。
    ギルドの人たちや半田くんカメ谷くんとのエンカウントがドラルクとの分断後だとこうなるらしい。
    初見は大体このエンドになる。


     >bad end(happy?及びnormal分岐前提)

    神楽舞台の箱をそのままに、本殿を開けてラスボス戦強制進行。
    ドラルクのサポートがないためか核を引っ張り出すワイヤーが強度負けする。地道に削るしかない。つまり、ロナルドは延々兄を攻撃し続けなくてはならない。

    神社の鳥居が朱に戻る。鳥居の向こうは明るい。これを潜れば戻れるだろう。
    しかしロナルドはまだ奪われた相棒を取り戻していない。
    踵を返し境内へ戻ろうとした彼を、どん、と鳥居の向こうへ突き飛ばす何かがあった。
    「招ぶなよ」
    久しぶりに、肉声のように聞こえた。
    はたと気が付けばそこは見慣れた事務所の入り口、閉ざされたドアがあるだけだ。
    「……は?」
    ヌヌヌヌヌン、と悲しげな声が足元から聞こえる。ジョンがロナルドの脚にぴたりとくっついてきた。反対側にメビヤツが寄り添う。
    ぐるりと首を動かして見回す。明け方でまだ薄暗い事務所の来客用のテーブルの上にはデメキン入りの金魚鉢と死のゲーム。
    それだけ。
    ロナルドの左胸にはもう黒い靄はなく、青い光もない。
    生活スペースへ続くドアを開ける。
    遮光カーテンを引いた窓から朝日は入らず、事務所以上に暗いそこに、ソファと並んで置かれた棺がある。
    ロナルドは靴を、きっと後でドラルクに小言を言われると思いながら適当に脱いで、部屋に上がった。
    棺の傍に膝をつく。出掛けに明けっぱなしにされた蓋の隙間から、見慣れたドラルクの塵があった。
    ヌー、とロナルドの隣にやってきたジョンが、棺に縋り付くようにして泣く。ヌヌヌヌヌヌ。ドラルク様。
    「…ドラルク?」
    ぞろりと、棺の中の塵が動いた。
    それはロナルドの左胸に向かう。心臓のある場所だ。
    けれどその重みは、形は、彼の吸血鬼に似て、全く異なる、悍ましいものだ。
    ヌーー!とジョンが悲鳴をあげた。
    「くっそ、逃げろジョン!」
    慌てて手の形になりはじめた黒い塵を振り払い、ごめんジョン、と思いながら事務所の方に放り投げ、ドアを閉める。
    それはもうザラザラと表面を崩しながら立ち上がり始めていた。
    ふざけんな。勝手に使ってんじゃねえぞ。
    振り払われて人の形をとることを諦めたのか、じわじわと広がってロナルドの視界を覆っていく塵は、元はドラルクを構成するためのものだ。
    返せとがなる声は呑み込まれる。

    それは外に出た。


     >bad end(happyend分岐前提、初回のendでは本殿の扉は開かず2回目以降に解放)

    神楽舞台の箱をそのままに、本殿を開けてラスボス戦強制進行。
    ドラルクのサポートがないためか核を引っ張り出すワイヤーが強度負けする。地道に削るしかない。つまり、ロナルドは延々兄を攻撃し続けなくてはならない。

    神社の鳥居が朱に戻る。鳥居の向こうは明るい。これを潜れば戻れるだろう。
    「…ドラ公」
    しかしロナルドはまだ奪われた相棒を取り戻していない。
    踵を返して境内に戻る。上着を引っ張られるような感覚があった。帽子を取られたが無視した。
    神楽舞台の上にあった箱は割れて散らばっている。その破片に埋もれて横たわる吸血鬼の姿を見つけて、ロナルドは舞台に上がった。つま先にぶつかった破片はサラサラと崩れ消えていく。
    棺に眠るような綺麗な姿勢だ。
    ロナルドは彼の傍に膝をついた。顔にかかる破片を避けていく。なるほど、吸血鬼は確かに青く白く薄く光るように見えた。
    ふと、薄い瞼が持ち上がる。ドラルクはロナルドを見つけて、少し驚いたようだった。すぐに笑う。
    「やあ、おつかれさま」
    「…うん」
    単純な労いの言葉に、頷くロナルドの声が揺れた。
    「…兄貴殴っちゃった」
    「しかも全裸で帰すなんてひどい弟だな、君」
    「…うっせ」と呻いて、ロナルドはドラルクの肩に頭を乗せた。
    「でも、お兄さんはちゃんと帰った」ドラルクの細い指がふわふわとロナルドの髪に触れる感触がある。「頑張ったねえ」
    ん、と頷いて、ロナルドは腕を差し入れた。起こすのではなく、ドラルクの隣に横になって抱き寄せる。樟脳みたいな懐かしい香りがして、ロナルドは安堵に息をついた。
    「…眠くなっちゃったかな」
    「…そうかも」
    すげえしんどかった、兄貴はちっともこっちの言うことを聞いてくれないし、でもちゃんとヒナイチは外に出したし、事務所も大丈夫そうだった。めちゃくちゃ甘やかされたい。
    ロナルドが少しだけ抱え込む腕の力を強くした。
    ドラルクが肩に手を回して、ぽたぽたとあやすように叩いてくれる。それがなんだか眠るにはちょうどいいリズムで、ロナルドはうとうと目を閉じた。
    「ごめん」と、珍しく神妙にドラルクが囁く。抱き込んだせいで、彼の声が近くに聞こえてくすぐったいとロナルドは思った。「帰り道が閉じてしまった。君を還せない」
    「君をってなんだよ、一緒にいるだろ」
    ドラルクの言い方が他人事のように聞こえてロナルドは抗議した。少し拗ねたような声になったのは認める。
    そうだね、とドラルクが呟く。ドラルクが呟く。
    「あのさドラ公、起きたら俺、お前に言うことあんだけど」
    「なんで今そういうこと言うかなあ」
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