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    ぎぃ。

    @gigigigiiiii
    ぎぃ。だよ!!!
    ポケモン絵と創作絵と過去絵とかもなんかアップ出来たら見やすいんじゃないでしょうか?

    二次創作SSもおいてるよ。ラッシャイ!!

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    ぎぃ。

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    怪異の宇佐美と門倉さんの話。

    猫の配膳ロボットがいるレストランの話。

    しずく、しずか、しずむ【四】最近は猫がメニューを運んできてくれる。

    正確には、猫の配膳ロボットだ。
    24時間の営業もなくなった。時代かね。

    まあ、そういうチェーン店のレストラン。人がまばらな時間帯に、俺とウサミはやって来た。
    混んでいないからか、料理は次々に運ばれてきて、テーブルはあっという間に皿で埋まった。

    「──で、それ全部食うのか?」
    「はい。門倉さんも一緒に食べましょう」
    「いや、俺は」
    「どうぞ」

    遮るように差し出されたフォークの上に、ハンバーグがひと口分。

    渋ってこぼすのも悪い気がして、そのまま食べた。

    「どうですか」
    「ああ、美味いよ」
    「もっと食べますか?」
    「いや、いいよ。おまえが食べて。俺に遠慮しなくていいから」
    「そうですか」

    それきり、ウサミは黙々と食べ進めていった。

    ひと皿、またひと皿。
    空になっていく皿の山を、俺はコーヒーをすすりながら見ていた。

    食べっぷりがいいとか、見ていて気持ちいいとか言う表現はあるけど、それらも超えると──まあ気味が悪いよな。

    俺は、見ているだけでおなかがいっぱいになった。

    最後のひと口を飲み込んだウサミは、空の皿に視線を落としていた。

    「足りなかったか?」
    「はい」
    「もっと頼むか?」
    「いいえ」
    「今日、一番美味しかったものは?」
    「……」
    「好きなもんとか、なかったか?」

    少しの沈黙のあと、

    「門倉さん」

    伏せられていた視線がゆっくり上がり、俺を捉える。

    「──が、いちばん美味しいと思います」

    その目は俺の指を、鎖骨を、そして喉元をなぞるように見て、最後に目が合った。

    ウサミが人間の料理なんかで満足できないと分かっていた。
    それでも、何か少しでも足しになれば。
    “満たせてやれたら”なんて、そんなふうに思って連れてきた。

    「……そう、か」

    俺は、ウサミに対してなんて答えればいいのか分からない。
    何が正解なのか──わからない。

    「ああ、でも」

    と、ふと思い出したようにウサミが言った。

    視線の先には、最初に食べたハンバーグ。
    今は空になって、鉄板もすっかり冷えている。

    「これは美味しかったです」

    肉だからか?と、勝手に連想してた考えは

    「門倉さんが、美味しいって言ったから」

    その言葉で、簡単に崩された。

    「これが門倉さんの好きな味なんですよね?」

    じわり、と
    口の端からこぼれたコーヒーが
    シャツに垂れて、ゆっくりとシミになった。
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