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    Starlit

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    ※6.0メイン前提。※雰囲気で楽しめる方がどうぞ。
    終末を越えてまもなくのエメ光♀。
    私の小説の中では口の悪い雄エメな方。

    「攻めの『嫌なら抵抗しろ』に対して3秒で制圧して『嫌なら最初からこうしてる、分かったか?」と威圧する受け』が書きたかったはず。

    ※エメ生存if

    光の容姿は、身長がエメよりいくらか低い。その他設定なし。

    #エメ光
    emeLight
    #FF14
    #エメトセルク
    emetoselk
    #暁月のフィナーレ
    dawnMoonFinale
    #熱気
    feverish

    熱気 自分の呻き声で目が覚めた。身じろぐと体のあちこちが痛んで涙が滲んでくる。どこかがジンジンと熱をもって痛み、脈を騒がせている。
     これが、星の終末に抗った痛みか。全快が保証されているだけでも幸運だ。仲間たちの応急処置のおかげもあるだろう。
     体勢を変えるのを諦めて力を抜くと、片手が何かを握っていることに気づいた。握り直すとそっと握り返される。そちらに目を向けると、月明かりの透けたカーテンの前に影があった。金の双眸が浮かんでいる。きらりと揺れてこちらを窺っている。
    「エメトセルク……?」
    スツールを寄せて影が近づいた。静かに息を吐く音が聞こえ、もうひとつの手が重なってきた。
    「いるの?」
    一瞬、彼は星海に還ったはずではと過った。わたしはまだ夢現ゆめうつつだったのかもしれない。
    「いる。わからないか?」
    ぎゅっと握る手に心配されたと感じる。ああ、一緒に帰ってきたんだったと思い出す。
    「これが、エメトセルクの手かぁ。大きくてあったかいね」
    死人だと名乗っていた手は体温があって、しっとりとしている。いや、自分の汗か。
     ただ感触を味わっていると、双眸は隠された。
    「散々呻いていたから来てやったのに、暢気な奴め」
    手は熱いほどに包まれる。
    「ありがとう。嬉しいよ」
    沈黙が返されて、何か確かめるように緩く手を握り合う。
    「どこか痛むんじゃないのか」
    「……どこがというか……掛布を取ってもらっていいかな。温まりすぎたみたい」
    エメトセルクの両手がそっと離れて、わたしの体を覆っていた布を足元へ下げた。籠っていた熱がふわりと上っていく。
    「ふうー。助かった。あ、ついでにカーテンを開けてくれる?」
    影が伸びて窓から月明かりが射し込み、黒い胴体の上に白い頭の男が正体を現す。こちらに振り向いた仏頂面がわたしの頼む通りに動いてくれたことを愉快に感じてしまった。
    「ありがとう」
    スツールに戻ったエメトセルクの顔は白い髪の輪郭の中へ隠されてしまった。
    「……こっちに来て」
    エメトセルクとは反対側の手でポンポンとマットレスを叩くと、項垂れて、重い腰を上げてベッドの反対へ移った。スツールの足をつく音がしてエメトセルクが座り直す。
     青白いくらいの顔がよく見える。光に包まれて消えてしまいそうにも。夢ではないのかと無性に不安になった。
     目の奥まで熱をもち、思わず顔をしかめてしまったのだろう、エメトセルクが少し目を瞪った。その金の目に見下ろされているのが居心地悪くなり、上体を起こそうと体に力を込める。機械仕掛けの歯車がギシギシと軋んで弾ける。そんな様を想像してしまいながら、肘をつき手をつき、ままならない体と痛みに耐えて起き上がった。肺が痛まないよう薄く息を吐くと、一筋涙が零れた。拭う腕を上げるまでの気力はなくて俯いていると、大きな手に目尻から顎まで撫でられ頬を包まれた。
     あたたかくて、優しくて、変に呼吸が苦しくなる。
     訳のわからない涙が込み上げてきた。痛いのか、つらいのか、嬉しいのか。
     言い訳もできないまま、ぼろぼろと零れだしてしまった。エメトセルクの指を遠慮なく濡らしていく。乱れる呼吸の痛みで、何と言葉を出せばいいのかわからない。
     びたりと額に掌を当てられる。
    「熱がある」
    熱か。熱のせいでおかしいのか。
     目の前に指を出され、焦点が合う前にパチンと鳴らされた。
     傍にいるから、大丈夫だ。
     そう聞こえたのは、夢に落ちた後だったろうか。


    ◆◇


     再び目を覚ました時には、憑き物でも落ちたようにすっかり体が軽くなっていた。すぐにでもベッドを飛び出して、土を踏みしめて外の空気を思い切り肺に満たしたいほど。体の方はさすがにそこまで復調してはいなかったものの、数日ぶりに病院の外へ出ることができた。
     針葉樹の林の向こうから吹く風に潮の香りが混じっている。オールド・シャーレアンに初めて訪れた時以上に、知の都が和やかに息づいているように思えた。
    「エメトセルク」
    姿はないけれど声にしてみた。風に葉が擦れ合う音がサワサワと漂う。心地良く耳を澄ませると、
    「お前の都合良く喚べると思うなよ」
    振り向けばローブの腕を組んで不服そうな顔がこちらを見ている。しかめられるほどにわたしは笑顔を見せた。
    「昨日はありがとう。寝付かせてくれて」
    それが言いたかったと伝える。エメトセルクは苦々しく目を細めた。
    「昨日じゃないぞ」
    あれっと声を上げる。彼は静かに息を吐いた。
    「お前は一日半ほど寝ていた。……最後に会ったのは一昨日だ」
    そうかと頭を掻く。それだけぐっすり眠れたおかげで体調がいいのか。
    「昨日もいろんな奴が来ていた。お前の代わりに花やら果物やら押しつけられた」
    そう言われればベッド周りの彩りが増えていたように思う。
    「ずっといてくれたの?」
    丸い目を向けられたエメトセルクはばつの悪そうに目を逸らした。
    「そんな訳ないだろう」
    見舞い客がじっと彼女の寝顔を眺めていくのを知り、番人を決め込んだとは口が裂けても言えない。


    「そんな顔をして見られていたら、お見舞いの人は皆怖気づいて帰っちゃうわ」
    夕方に訪れたアリゼーが、ベッド脇のテーブルに置いたたらいから、湯に浸らせたタオルを絞っている。
    「その程度で帰る奴なら、好都合だ」
    見舞い客が来れば一応彼女から離れ、壁に背をついて客を眺めている。今と同じく。アリゼーは彼女の寝間着から露出した肌を丁寧に拭う。裾から少し奥へと小さな手を挿し入れて、力無い体が拭われていく。ハアと感情を吐いて目を逸らした。
    「彼女が目を覚ましたら、あなたがずっといたのよってちゃんと教えてあげなくちゃ」
    ニヤニヤと向けられた目にエメトセルクも負けず笑みを見せた。
    「ほう。では数時間置きに小娘が来て、甲斐甲斐しく何かと世話を焼いていったと、私もちゃんと、伝えておこう」
    「なっ……」
    アリゼーは顔を赤らめる。
    「私は家にいるから、暇潰しにここに寄ってるだけで、汗をかいたままじゃ気持ち悪そうだし……!」
    いそいそと盥を持ち上げてドアへと向かう。
    「私も言わないから、そんなこと言わないでよね!」
    念を含めて睨まれたので、エメトセルクは両手を振って了と頷いた。

     アリゼーが帰ってから、扉を開けた者を正面に捉えるようにベッド傍に腰掛けて彼女の様子を見る。汗を拭きとられた顔は心無しかさっぱりと見えて、安らいでいる。前髪を額から除けてやると毛先は湿っていた。己の知らぬ間に他の男が同じようにしていやしないかと思うと無性に腹が騒いだ。
     無防備な女だ。普段からお人好しで頓着のない人間だが、無茶をして意識を手放すことも少なくない。戦いの場なら信用のおける者だけが傍にいるかもしれないが、病院では誰だって彼女に近づける。
     とっとと起きろと頭をはたきたくなる。
     こんなふうに、誰かがお前に近づいて、唇を寄せたら。
     生え際にキスを落とし、「馬鹿が」と呟いた。彼女は何も感知せずに寝息を立てるままだ。
     ドアを軽く叩く音。
    「……どうぞ」
    唇を離して席を立つ。
     姿を現したのはグ・ラハだった。クリスタルに変質していた頃とその体の年頃は変わらないはずだが、ずいぶんと若々しく見える。その赤い目は何か考えるようにこちらを見上げていたが、彼女の様子を見てひとりで頷いた。
    「彼女は、安定しているようだな」
    「ああ。……お蔭さまで」
    「英雄の傍には常に古代人か……」
    震えるように呟いたミコッテの目には異様な輝きが灯り、瞑ると恍惚と笑んだ。
    「なぜ誰も彼も、私が常にこいつの傍にいると思い込むんだ」
    鬱陶しいと声に含むと、グ・ラハは苦笑を見せた。
    「そりゃあ、彼女のために残って、実際こうして傍にいるのだから」
    そう言うと、おもむろにポケットから数枚の葉を掌に出した。
    「彼女なら外が恋しいだろうと思って、香りのする葉を摘んできたんだ」
    それをエメトセルクに差し出す。
    「向ける相手が違うだろ」
    「香りをひらくには叩くのがいいんだ。今音を立てる訳にもいかないだろう? 彼女が起きたら、好きに使ってくれ」
    腕を組んで黙殺の構えをしていると、グ・ラハは首を傾げて思案する様子を見せた後、つかつかとエメトセルクに近づき、赤い仮面の目の孔に葉を挿した。まるでポストに手紙を入れるように。
    「おい、ふざけるな」
    「それを顔につけていたら良かったな。オレも目までは刺さない」
    グ・ラハは悪戯小僧のように笑うと、踵を返し猫のように軽い身のこなしで部屋から去った。
     エメトセルクはドアが閉まるまで睨むと、がくりと頭を垂れて重々しく溜め息をついた。格別の権能を示した仮面から覗く葉を毟るように引き抜く。鼻に寄せてみれば、まだ瑞々しい爽やかな香りがした。
     忌々しく睨んでからそれを掌の中へ包み、彼女の傍に戻る。一枚を鼻の頭にそっと載せた。心なしか深く呼吸をしているように見えた。暇潰しに一枚ずつ慎重に葉を重ねていく。全部載せる前に少しだけ顔が動いて振り落とされてしまった。弛い顔に葉が散らばって、間抜けに見える。それでもどこか似合って見えるのは、案外こんな様が珍しくないからだろうか。ラケティカ大森林やヴァナスパティ樹海を駆けまわり、枝葉の纏わりついた彼女を思い出した。
     葉を取り上げて握り締めたまま、彼女の頬に指の背を寄せた。肌に滑らせながら、香りを嗅がせているだけだと理由をつけた。


    ◆◇


     全快した彼女の元には方々から戦勝祝賀会の誘いが来た。彼女も入院中の慎ましさはどこへやら、活力を取り返すかのようにあちらこちらの宴会へ顔を出している。
     その日はクガネのウルダハ商館に招待された。商館内の座敷で数人の商人と共に懐石料理を前にして並ぶ。
    「終末だなんて、辛気臭くて敵いマセ~ン。英雄サマが解決してくれて助かりマシタ。モチロン、我らが東アルデナード商会が食いっぱぐれるなんてことはありえませんがネ」
    ハンコックは真意を色眼鏡に隠してニヤニヤとわたしの猪口に酒を注いだ。胡散臭いとは思うも、方舟建造のために心強い尽力があったことは確かだ。苦薬でも飲み込むように一息に猪口を傾ける。ハンコックは顔を綻ばせて次を足した。
    「冒険者さんを口説いて商売しようとしても無駄でっすよ! 私がよーく注意してまっすからね!」
    隣に正座したタタルが目を光らせると、ハンコックは降参デ~スと両手を上げて大袈裟に怯えてみせた。タタルは悪い笑顔を浮かべて懐石料理を摘まむ。
     タタルがついてきてくれて助かった。酔っぱらってうっかり商談を受けてしまったら、「刀を言い値で買ったアルフィノさん」の二の舞になりかねない。
     玄人商人の2人がしのぎを削って繊細な駆け引きをしている様子を眺めながら、わたしは暢気に料理とお酒を楽しませてもらった。


    ◆◇


     2人は何やら商談に花が咲き、こそこそと話し始めた。門外漢となったわたしは暇の声をかけて商館を出た。
     外気が酔った体にひやりと気持ち良い。ぐるりと辺りを見渡せば、素朴な松と芝の庭を囲み、堅牢な造りの大使館が建ち並んでいる。その中で、外灯ひとつ灯っていない建物に近づく。塀にはガレマルドの国章。鉄格子の門は閉じられている。格子を握って、館の玄関に掲げられた国章に目を凝らす。
     初めてドマへ渡ろうという時には、あまり近づかないようにしていた。あの頃は英雄と敵国でしかなかったが、今となっては、わたしの大切な人が創った国。彼が道具のように創った国だとしても、彼を敬愛してきた人たちの国。国民から見た彼は、いったいどんなものだったのだろう。
    「ソルさん、いますか~?」
    どこに届きもしない声で呟く。しんと静まり返った館がいつか明るく開かれる様を想像した。
     ガチャリと鎧が地を踏みしめて擦れる音。
    「酔っ払いの不届き者が。迷惑だ」
    鉄格子の向こう、闇の中から、鎧の上に羽織を着た大柄の帝国兵が目の前に歩み寄ってきた。
    「何より、初代皇帝陛下をそのように呼びつけるとは、無礼にも程がある。これだから蛮族は」
    格子を隔てて兜の奥から睨み下ろされる。
    「今この場で斬り伏せぬことを有り難く思え」
    知っている声に思わず笑った。
    「それはそれは……お許しください、ソル……初代皇帝陛下」
    帝国兵姿の男は門に手をかけて、ふわりと飛び越えた。降り立つと同時に変装がローブに戻る。
    「全く……本当に斬り伏せられてもおかしくないぞ。こっちは宿と逆方向じゃないか」
    「ちゃんと帰れますってば」
     わたしは鼻歌混じりに望海楼を目指して歩き出した。踊るような心地で足を運んでいると、片腕を捕らわれた。エメトセルクが肘を持ち上げている。
    「危なっかしいお前について歩くだけなど、格好が悪い」
    第一世界ではそうだったくせに。とは声にしなかった。
     酒宴の度に、足元が覚束ないと現れる。帰れないほど溺れてはいないと言ったこともあるけれど、結局は優しさに甘えている。
     腕を絡め直して歩く。恋人か何かのように。あるいはただ介抱される友人のように。
    「エメトセルクも酒宴に出たらいいのに」
    「見ず知らずの私が出るも何もない。あれこれ聞かれたくもないしな」
    それはそうかと頷いた。でも、エメトセルクとも楽しくお酒を飲んでみたい。
    「望海楼で飲み直そうよ!」
    「お前は充分酔ってる。いい加減にしろ」
    少し苛立った声に、反論は浮かばなかった。
     誘いを断られるのは大小含めて数えきれない。単純に一緒に楽しみたくて言っているのに。下心がないとも言い切れないけれど。エメトセルクにとっては楽しくないのなら、仕方がない。
     いつもはそっかと流せることが、なんだか心に刺さった。
     異国の夜の街の賑わいを通り抜ける。特有の楽器や客引きの響きが耳に残った。
    「花街とやらがあるんだって。男なら一度は行ってみてもいいんじゃない?」
    酔いに任せて軽薄なことを言ってしまった。自分の声に刺があるのを恥じた。それを上書きするように言葉を続ける。
    「明日は反物や飾りを見に行こうかな。繊細なつくりで、見るだけでも厭きないよ。エメトセルクも一緒にどう?」
    返事はなかった。彼を窺う勇気もなかった。


    「わたし、温泉入る! ここまでありがとう。おやすみ!」
    腕をほどいて望海泉正面の階段を上がる。ぽかぽかして寝てしまえば、明日は気分が変わるはすだ。
     階段を上がりきったところで腕を止められた。
    「馬鹿か。酔ってるのに温泉なんか入るな」
    「心配してくれるなら、エメトセルクも入ったらいいよ」
    拗ねるような物言いになってしまった。頭を軽く叩かれた。
    「大馬鹿者め」
    ぐっと腕を引かれて更に階段を上がり、望海楼の玄関を潜る。口を挟む間もなく部屋へと連行された。


    ◆◇


    「どれだけ煽れば気が済むんだ?」
    エメトセルクは腕を掴まえたまま畳を歩み、寝台の上でわたしを突き放した。尻餅をついて見上げると、肩を押されて閉じ込めるようにエメトセルクが上から覆い被さる。金の瞳に射竦められて、唇が重なる。
    「んっ……」
    驚いて漏れた声には甘い上擦りの響きがあった。
    「私が戻った理由は、私にもまだ執着があるから……、お前が傍にいてと願ったからだ」
    「うん……」
    紙一枚ほどに離れた唇は言葉を紡ぐと掠め合う。
    「そんな私の前でお前は、泣くわ、寝るわ、酔っ払うわ……。それだけなら可愛いものだが、誰の前でも意に介さずじゃないか。どうも女の自覚が足りない」
    両掌を絡めて布団に沈められる。エメトセルクの言葉が胸に狂おしく響く。
    「挙げ句の果てに、花街へ行け、温泉に入ろうだと? どれだけ私を弄ぶつもりだ?」
    「そんな、つもりは」
    声を飲み込んでしまうように唇に塞がれた。エメトセルクの唇の中にわたしの声も舌もエーテルも心も吸いとられていくよう。
    「んっ……んん」
    言葉でも体でも弁解の余地なく拘束されている。
     今更ながら、わたしたちはどうして、言葉で確かめようとしなかったのだろう?
     どこかが繋がっているとわかっていたから? それが思い込みだと知るのが怖かったから?
     熱く貪る唇から、同じ気持ちだと気づかされるのに。
    「嫌なら抵抗しろ。あばすれめ」
    その瞬間エメトセルクの舌を軽く噛む。自分の膝を互いのお腹の間に潜り込ませる。エメトセルクの脇腹を挟むようにしてぐっと横に振った。仰向けに倒れた彼の双肩を布団に押しつけて馬乗りになる。エメトセルクは呆気にとられた丸い目を見せた。
    「嫌ならこうしてる。エメトセルク様は魔法はお得意でしょうが、体術はわたしの方が上手うわてのようですね」
    にんまりと笑うとエメトセルクは苦々しく少し眉を寄せた。愛しくその頬を撫でる。
    「エメトセルクが好きだから、あなたが好きにして構わない。花街だって……男はそういうものでしょ?」
    唇を近づけようとして、頬を包んで止められた。瞳が合わされ、エメトセルクはふと笑う。
    「この状態で、そんなしおらしい台詞を吐かれてもな。私ならそんな生易しい台詞は言わない」
    じゃあ何をと唇を尖らせると、エメトセルクはじっと金色の瞳を輝かせた。
    「私だけを見ろ。それなら、こうして組み敷かれても悪くはない」
    思わず喉を鳴らすとそっと唇が合わされる。
    「何が花街だ。私はお前しかいらない」
     街の賑わいも届かない部屋で、言葉の代わりに互いを求める音と熱だけを感じた。



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