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    nmhm_genboku

    @nmhm_genboku

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    飯テロ

    ##飯テロ

    Hey嬢ちゃん!そんなことよりこれを食え!これを書くまでのあらすじ

    食べたくなったから書いた。
    ちなみに作者は甘いものを年に1回食べるか食べないかなので、これは私がめっちゃくちゃ美味しかったやつの記憶をフルに活用して書いた。

    お腹がすいたら読む話。

    甘さ控えのリンゴのフィリング
    口溶けなめらかなカスタード
    ざっくりとしたパイ生地
    ほのかに鼻から抜ける溶けたバター

    リンゴの種類だけで味に変化をもたらして、そこにアイスやチョコソースをかけるだけで一気に罪を重ねたような錯覚を引き起こす禁断のデザート、アップルパイ

    「お待たせしました」

    ここは“ポム・フォレスト”煌びやかなお姉様から、学生まで、背徳感を感じるために今日も店を開ける深川クリスの話である。

    その甘さに恋をしたのは小学生。しゃくりと皮ごと噛み付けば、じゅわりと広がる果肉の甘さ。じゅぅ、と溢れる果汁に吸い付けば、甘酸っぱさが舌の上に広がった。
    シャクシャクとした音は唯一無二の響きで口の中を楽しませる。
    中学生の頃、母親がアップルパイを作ってくれた。その甘さと、ふわりと鼻から抜けるバターの香り、冷たいアイスが口の中を幸せにしてくれた。
    甘みが強いものから、酸味の強いものまで、リンゴは幅広く存在する。農家さん凄い。俺は将来リンゴ農家に務めたい。そう思っていた矢先のこれである。俺は将来アップルパイ専門店を立ち上げると決意した。

    トロトロに煮詰めたアップルパイや、リンゴを丸ごと使ったアップルパイまで幅広く存在するけれど、俺は食感が残っているタイプが好きだ。リンゴの甘みとシナモンの香り、かためのカスタードが、ざっくりとしたパイ生地と一緒に噛む度に混ざり合い心地よいハーモニーを引き出していく。

    リンゴのフィリングはレンジで作れるらしい。それを聞いて最近の電子機器はすごいなって思ったけれど、私はお店で出す予定なのでそんなこと出来ないわ。しゃりしゃりとリンゴの皮をむいて食感が残る程度の大きさに切り、鍋の中に砂糖とレモン汁、バター、ラム酒にシナモンを加えて煮詰める。焦げないようにたまに混ぜながら、20分から30分。ちょうどいい塩梅になったらバットの上に乗せて粗熱をとる。これは味が染みてリンゴの奥まで浸透させるためだから絶対必要。煮物と一緒。

    フォークで穴を開けたパイ生地の上に冷ましたフィリングを敷き詰めて、網目状に飾り付けて、卵液を打つように塗り、180度のオーブンに入れて焼き上がりを待つ。ふんわりと香るパイ生地の香りが、この店を包んだ時からこの店のオープン準備を始める。

    華やかさ見せる為のバラのアップルパイや、美しいリンゴの皮を引き立てるオープンアップルパイ、可愛らしい形のショソン・オ・ポム、王道のアップルパイまで準備して、今日もお客さんをお迎えするのだ。

    「いらっしゃいませぇ。おや、ご新規さんだ」
    「ひぇ、まって、お兄さんめっちゃえっち!!!」
    「あはっ、よく言われるぅ〜」

    今日のおすすめはこのアップルパイだよ、なんて言えばそれでお願いします!って言った女の子2人。ん〜!可愛い〜!!

    「後ろの彼氏さんはぁ?」
    「えっ!?あっ、えっと…」
    「あー、オナジので…」
    「はぁい。あ、今テラス席空いてるからそこつかっていーよー」
    「ありがとうございます!」

    辮髪くんとリーゼントくんも同じのらしいから、女の子にはサービスしとこ。きゃらきゃらとした女の子特有の可愛らしさが凄くいいよね。彼氏って言った瞬間一人の女の子が顔真っ赤にしてたけど、まだ片思いかな〜。両思いって思ったんだけどな〜。

    「はぁい、お待たせ〜」
    「えっ、あっ、あの…」
    「可愛くデートしてる女の子にサービス。俺のおすすめのトッピングなんだァ〜」
    「あ、ありがとうゴザイマス…」
    「ごゆっくりぃ〜」

    は〜!可愛い!めっちゃ可愛い!!両片思い確信しちゃった!ほんとに可愛い!!いいないいな!!あの甘酸っぱい期間って学生のうちじゃん!はァ〜!!!

    「可愛い!」

    リンゴのように真っ赤になって、もうお兄さん応援しちゃう!なんてにこにこ顔で居ればテラス席であの4人組にイチャモンつけてる不良がいたからもうね!お兄さん怒っちゃったよね!!!

    「オッラてめぇらなに人様の幸せの時間邪魔してんだ。そんな暇あんなら俺のアップルパイ食えや!!!」

    その瞬間、2人はとある唐揚げの店主を思い出した。

    「5名様ー!!アップルパイチャレンジ入りまぁす!!!」
    「はぁ!?だ、誰もそんなことしねぇよ!!この、はな…離…力強いな!?」
    「はぁい、とっとと座れやガキども!!!」

    ガコンっ!と音がなるほどにテラス席に5人を無理やり座らせて、スタッフが持ってきた20人前のアップルパイをゴドンッ!と置く。上にはアイスとチョコソース、はちみつシロップと薄くスライスしたアーモンドチップをふんだんにかけられたそれ。俺のおすすめのトッピングだよ、食えや!!!

    「残したら許さん」

    おら、30分で食え!!!
    フォークをバシンっとテーブルに置いて、無慈悲にスタッフがタイマーを押した。

    「すみません!すみません!!」
    「うっうぇっ…」
    「無理無理無理!!!!」
    「あと1口ずつだろーが食えや。ひっとーくち、ひっとーくち!!!」

    鬼か。なんて誰かが呟いて、その最後の1口を全員が食べて少ししたらタイマーがなった。すげぇな、ほんとに食いやがった。

    「おめでとうございます!はい、これ成功者特典のアップルジュースです!」
    「勘弁してくださいいいいっ!!!!」
    「俺もうリンゴ見たくない…」
    「おぇ…」

    だらしねぇな。

    ちなみに店内は大いに盛り上がった。

    ところでこれってなんの話だっけ?
    アップルパイの話



    4人は店主のその行動を見ながら、のんびりとアップルパイを口にしていた。すげぇな、普通に食でなんでも解決するって。脳筋の発想。つよ。的な。

    ざっくりとしたパイ生地に、とろりととろけるカスタード、しゃくりと歯触りの良いリンゴのフィリング。アイスを絡めてハニーシロップを追加すれば、途端に罪悪感が湧き上がる。

    「おいしー」
    「あのデカさはさすがに無理だけど、これぐらいはちょうどいいよな」
    「甘さ控えめで食べやすいですよね!」
    「もう他のお店のアップルパイ食べれない」

    分かる。
    こくりと全員頷いて、5人グループを煽りながらも食わせていく彼を見ながら、不思議な縁もあるもんだな、なんてドラケンは思った。

    「あの人、多分“青薔薇の騎士”だろ」
    「…へ?」
    「マイキーの兄貴のシンイチローくんたち黒龍と最後までやり合ってたチームの1人だと思う。さっきあいつら引きずる時に腕の刺青見えたけど、話聞いてたそれだったし」
    「えっ!!?じゃ、じゃああの時の唐揚げの人とか、一虎くん達が言ってたラーメンの人も?」
    「多分、ラーメンの人が“不死身の鷹”で、唐揚げの人が“不可視の虎”だろ。噂で改心したって聞いてたけど、こうしてみるとすげぇな」

    ぼんやりとそう言いながら最後のひと口を食べるドラケンを横目に見ながら、男はバレちゃってるわ〜!!なんて顔を覆いたかった。いやむしろ会いすぎ。普通はそんな頻繁に会わないから。

    「とりあえずあの馬鹿どもよんで飲み明かそ」

    うちのボスに会わないだけでもマシかなー、なんて思いながら、がり、と首裏をかいた。




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