小さな仕返し「ラーハルトは可愛い」
「やめろ」
「オレを見つめる眼も、オレに触れる手も、オレを抱く時の余裕の無い表情も、全て可愛い」
「やめろと言っている」
「それだけじゃない。ダイに付き従う時の立ち居振舞いも、戦闘時の凛々しい顔も、必殺技を繰り出すその肉体も」
「…」
ラーハルトは困惑した。ヒュンケルが怒っている。それも他ならぬラーハルトに対して。昨日からずっとだ。
「…洗練された槍捌きも、野生のドラゴンを手懐ける手腕も」
「やめろ、頼むから」
「聞かん、まだまだある」
ヒュンケルはなおもしゃべり続けようとする。ラーハルトは戸惑いながらも過去に戻りたい、そして愚かな己の頭を思い切りはたいてやりたい、と思った。
その間も彼はラーハルトがいかに可愛いかを熱っぽく語っている。
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