結婚スライムだけが住む王国がある。初めて訪れたヒュンケルは、そこらかしこで跳ね回るスライムを興味深げに眺めながら微笑んだ。子連れのスライム親子の中で一匹遅れている子スライムがいたので、つい手を貸して兄弟達の中に混ぜてやる。
「ピィ」
母親スライムにお辞儀をされて、ヒュンケルは軽く手をあげた。
「本当に住人はスライムしかいないのだな」
「ああ。スライムの国だからな。今からスライムの王に会いに行く。とても厳格な性格だから気をつけろよ」
ラーハルトの助言にコクリとヒュンケルは頷いた。
「ピキイ」
「ありがとう、王よ」
二人が丁重な態度で接したので、一番聞きたい情報をスライムの王はすぐに提供してくれた。
どうやら気に入られた様で、今日は泊まっていけと勧められたのでありがたく泊めてもらうことにする。お礼を言ってその場を去ろうとした時だった。王が二人の背中に問いかけてきた。
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