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    ワンタン

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    ラーヒュンワンドロワンライお題「荷物」

    20分オーバーしてます。

    #ラーヒュン
    rahun

    「おれの存在がお前の負担になってはいないだろうか?」

    ラーハルトがふとした瞬間に見せた表情か。ヒュンケル自身が抱いていた後ろめたさか。それとも、旅の途中に訪ねた街や出会った人々か。今となっては、もはや何がきっかけだったかわからない。ふいに、ヒュンケルの胸中で燻っていた不安が口をついて出てしまった。

    「何故そんなことをきく?」

    訝しげにラーハルトが聞き返す。ラーハルトの表情は焦燥の気配が漂っていた。ヒュンケルの胸の中で、血溜まりのように後悔が広がっていった。今思い出しても、本当に愚かな質問だったと思う。

    「おれは、もう戦えない。そのせいで「そうならば初めからおまえと旅に出たりはしない」」

    ヒュンケルの言葉に被せるように発せられたラーハルトの言葉は、これ以上の感傷などお互いに不要であると語っていた。

    「ラーハルト。しかし、おれを守りながらでは、思うようにダイの捜索もできないだろう」

    「あいにくと、おれはおまえよりも強いからな。全く問題がない」

    そう言ったラーハルトの表情は、もはや焦燥も怒りの気配も無かった。ヒュンケルは、そんなラーハルトに救われた気持ちを抱いた。ラーハルトはいつでも、ややもすれば現実を無視して不安になりがちなヒュンケルを、こうして現実に引き戻してくれる。

    「だが、そうだな。もしおれの為におまえが何かしたいのならば、これを預かってもらおうか?」

    そう言うとヒュンケルの手に、ラーハルトは彼の道具袋を持たせた。旅の道中で使うであろうものが入った、ふたりが共有して使っている道具袋とは違う。ラーハルトが個人的に持ち歩いていたものだ。

    「ラーハルト?」

    「それは、おれのとても大切なものだ」

    「だったら、おまえが持ち歩いた方が良いんじゃないか?」

    「大切だからこそ、おまえに持っていてほしい。おまえが、おれから預かったものをどれ程大切にするか。それはおれがよくわかっている」

    「ラーハルト……おれは」

    「頼まれてくれるな?」

    頷いたヒュンケルの胸中には、もはやなんの不安も無かった。
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