目を逸らさないでダーリン、こっち向いてハニー全く、今日は散々な日だ。
竈門炭治郎は苛立っていた。
朝は寝坊してしまって、先に出勤した恋人の顔が見られなかったし、お弁当が用意できなかったからとコンビニで買おうとした商品は目の前で別の人に取られるし、普通に歩いていただけなのにパンプスのヒールは折れるし、前を歩いていた女性集団のキツい香水の臭いにあてられて気分が悪いし、お腹の奥は鈍く痛い。
最後のひとつは女として生きる上で避けられないものなので仕方ないにしても、他はどうだ。ついてない日はとことんついてないものだと言うが、何故良くない事とは次々起こるのだろう。
辛うじて仕事はあまり大きなミスをすることも無く終えることが出来たのだが、些細な事でも苛ついてしまうし小さなミスで必要以上に落ち込んでしまう。
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