奇病と研究員ｰ奇病ｰ
春馬と叶汰が行き着いた世界では、現実では有り得ないような病が何種類も流行していた。病の数は数え切れないほどあり、研究員により確認され、一般に公表されている病は「獣化病､虹彩発光症､花咲病､花吐病､エルフ病､身体ドール化症」のたった6種類だけ。だが、この6種類が変異したような物も存在する。その変異した物は人工的に変異させられたと考えられている。

どの病も治療法、治療薬が見つかっていない。治療法を見つけることのできた研究員には多額の報酬が与えられるため、研究員になる者が年々増加している。

獣化病…(特定の菌を持った動物に噛まれると感染し発症する。)身体の一部からだんだん動物のようになってしまう病。獣の耳だけが生える者も居れば尻尾が生える者、全身獣のようになる者まで様々な症状がある。基本的に害は無いが、発症すると人間ではなくなってしまうためそれなりの覚悟が必要。変化する動物の種類によって食べ物の好みが変わることが稀にある。

虹彩発光症…(発症原因不明。)目が不定期に光ってしまう病。光の強さは人によって異なるが、光が強すぎて失明してしまうことが多い。いつ光るか、何をしたら光るかは特に決まっていなく突然光る。制御は出来ない。

花咲病…(ウイルスを持った花の花粉を少量吸い込むと発症。)身体の至る所から花等の植物が生えてくる病。皮膚を植物が無理矢理破って生えてくるためかなり強い痛みが生じる。皮膚を破られる時血は出ないが、生えてきた周りの肌にはひび割れたかのような傷跡が出来る。生えてくる植物にも痛覚があり、ちぎると少しチクッとした痛みを感じる。

花吐病…(花咲病と同様、ウイルスを持った花の花粉を少量吸い込むと発症。)突然花を吐き出してしまう病。花咲病と同時に発症することが多い。吐き出される花の種類はその時の気分や体調によって変わる。上手く吐き出せず、窒息してしまうことがある。

エルフ病…(発症原因不明。)耳がエルフのようになる病。特に害がなく、ほぼ見た目が変わるだけ。耳だけでなく本物のエルフのように実年齢より見た目が若くなる。

身体ドール化症…(発症原因不明)身体がだんだん人形のようになってしまう病。一見可愛らしいが、この病を発症してしまうと空腹状態になっても食べ物が喉を通らなくなったり、自力で動くことも喋ることも出来なくなり最終的には本物の人形のようになってしまう。
(完全に人形になった時はほぼ死亡している)
この病は若ければ若いほど進行がはやい。

ｰ薬剤研究員ｰ
上記で多少ふれたように、多額の報酬目的で研究員になる者が年々増加している。
研究には、出来上がった薬が効くか試すために実験体が必要だが、奇病は何故か人間以外に感染しないため、人間の実験体が必要になる。実験体は死刑囚等の死んでも構わない犯罪者を使用するが、買い取るには金がかかるため、金の無い研究員は自らの体を使って実験を行うしかない。自分の体に奇病のウイルスを何度も入れることによって精神崩壊し、狂気に陥る研究員は少なくない。何億人の研究員が居ても、未だ治療法や治療薬は1つも見つかっていない。