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    しおん

    @GOMI_shion

    クソほどつまらない小説をメインに載せてます

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    しおん

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    『逢魔時に花と散る。』#02

    ##逢魔時に花と散る。

    木春菊「綺月!外めちゃくちゃ大雪やで!」
    「ほんとやぁ!綺麗…!」
    姉さんと2人で並んで窓の外を見ている昔の自分の姿が見える。まだ幼い頃の私たちだ。
    「なぁ姉ちゃん、私お外で遊びたい!」
    「えぇ~?あかんよ、勝手に外出たら母さんに叱られるで?」
    「でも~…折角いっぱい雪降っとるのに…」
    自分でも変化が分かるくらい、今の私と昔の私は違う。あの頃の私は無邪気だったな。自分の欲に素直で、よく我儘を言って姉さんや両親に迷惑をかけていた。
    「も~綺月は我儘やなぁ。よぉし待っとって!姉ちゃん母さん達もう寝とるか確認して来るわ!」
    姉さんは自分も本当は外に出たいのを隠しきれていない表情で、足音を忍ばせながら母さんたちの寝室を覗きに行った。そうだ…この日のことは今でも鮮明に覚えている。この後確か、遊ぶとしても庭までにしよう、って言いながら道路の方まで出て…
    「綺月!███!貴方達なんで外に出てるの!?」
    懐かしい母さんの声だ。もう何年も聞いていなかったな。それに何故か…姉さんの名前だけが聞こえない。
    「あ…綺月、母さんにバレたわ…ごめん。へへへ」
    そう笑う姉さんの後ろには、今まで見た事の無かった大きな化け物が居た。この時感じた事や恐怖心は忘れることは無い。初めて会った時の椿姫のように、声を出すことも動くことも出来なかった。
    「んん?綺月どうしたん、そんな固まって。大丈夫や、一緒に謝れば怒られへんって」
    真後ろに化け物がいると言うのに姉さんは全く気づいていなかった。動かない私と化け物の存在に気付かない姉を助けるために、母さんはいつから持っていたのか銃を1発化け物に撃った。だが、全く効いていない。
    「███!綺月を連れて早く家に入ってきなさい!!!走って!」
    母さんの発砲でようやく背後の化け物の存在に気づいた姉さんは、私を無理矢理抱えて家の方に走った。しかし巨大な物体から細長い腕のようなものが伸びてきて、姉さんの足を掴む。
    「あ~、もう私は駄目やわ…。綺月、頼むから逃げてくれへん?」
    「嫌や!姉ちゃんも一緒やないと嫌や!」
    じりじりと足を引っ張られる姉さんの腕を必死に引っ張るが、幼く小さかった私は体重をかけることも出来ず一緒に引っ張られていく。それを見て母さんが必死にこっちへ向かってくる。家の外での異変にやっと気がついたのか、父さんも走って向かってきた。母さんが何とか化け物の腕を銃で撃ち落とした。逃げれる。そう思った時、また別の腕がこちらへ伸びてきて、今度は母さんの胴体を軽々と持ち上げて顔を見つめるかのように自分の顔に近付けている。手ぶらで駆けつけた父さんが、それを引き剥がそうと腕にぶら下がって化け物の胴体を蹴っている。何度か蹴りつけていると、その足に化け物の首が向き、父さんの足を噛みちぎった。片足が無くなったと言うのに、父さんは痛がる素振りを見せず腕を母さんから剥がそうと必死だった。
    「もう辞めて逃げてよ!私だけじゃなくて貴方まで居なくなったら███たちのことどうするのよ!」
    母さんは泣きながら父さんに訴えかけているが、父さんは何も言わない。姉さんも私もその様子を見ていることしか出来なかった。その後…私たちに両親を助けることなんて出来るわけもなく、正気に戻った姉さんが家の中に私を無理矢理入れた。家の中はいつも通りの空気で、外で悲惨なことが起きているなんて思えない。暫く経つと、外から大きな女性の叫び声が聞こえた。聞いたことのある…いや、聞きなれた、紛れもない母さんの声だった。本当は見たくなかったのに、無意識のうちに私は、外に出るまで雪景色を眺めていた窓の前に立っていた。外には白くて柔らかい雪と、父と母だったモノが落ちている。首だけが残った母さんは、確かにこっちを見ながら口を動かしていた。
    「ねぇ…ちゃん…」
    隣に立っている姉さんは無言で母さんの首を眺めている。
    「どうして、母さん…体ないの…?」
    震えながら幼い私は姉さんに何度も問うが、1度も答えを返してくれなかった。
    「ちがう…」
    やっと口を開いたが、今思うとあれは私に言ったのではなく自分に言い聞かせてたんだと分かる。
    「ちがう…あれは父さんと母さんじゃない…なあ…?えっと……」
    「…?姉ちゃん…?」
    「あんたと…私の名前って、なんやっけ…?」
    姉さんにそう言われて気がついた。私達は何故か、お互いの名前と自分の名前を忘れていた。今まで家族で過ごした日々や、学校での出来事、さっきまであった非日常的な事まで鮮明に覚えているのに、何故か名前だけを思い出せない。
    「名前…せや、学校の持ち物とか確認しよ!そしたら名前わかるはずや!」
    姉さんのその提案で、名前を確認した。そして私の名前は綺月だと言うことがわかった。だが、姉さんは持ち物に名前を書いていなかった。
    「姉ちゃん名前書いてへんよ、これじゃ姉ちゃんのことわからん…」
    「そういえば書くの面倒くさがって書いとらんかったなぁ…まあええやろ!綺月は私のこと“お姉ちゃん”って呼べるやろ?お互い認識できる呼び方があれば、私はええわ!」
    「…うん、姉ちゃんが良いなら私もそれで良い。」
    それから私たちは、その日のことを出来るだけ忘れるように、元から2人しかこの家には居なかったと思い込むようにしていた。

    なんで今更、あの日の夢を見るんだろう。

    目を覚ますと、まだ空が暗かった。時計の針は午前2時を示している。あんな夢を見たせいで今日はもう寝れないな…。もう今日はこのまま起きておくことにして、とりあえず時間を潰す為に本でも読むことにした。

    …………………………………

    何だか1階が騒がしい。色んな声が聞こえてくる。なんか聞いたことある気がするな…誰だろ。誰が居るのかなんとなく気になって、髪も整えず寝起きのまま1階にあるリビングへ向かった。
    「あ、椿姫さん。おはようございます。」
    「おはようございます…?えっと…」
    「涼です。」
    寝起きで回転が悪くなってる頭を何とか覚ます。この間見回りについて行かせてもらった時一緒にいた人だ。
    「この間は棕櫚様がご迷惑かけて申し訳なかったです。本日はそのお詫びを届けに来ただけなのでもう帰りたいのですが…」
    「まぁだ居ときぃ!!帰ってもまた仕事とかあるんやろぉ?こーゆー時に休んどかな!な!」
    綺月さんのお姉さんに止められてるって事か…。
    「姉さん、涼にまで迷惑かけるな。」
    机を拭きに綺月さんが来た。お姉さんに軽くデコピンをしてから机を拭き始めた。
    「何であかんの~!?」
    「涼も忙しいんだ。姉さんのような暇人に構っている時間は無い。」
    「綺月さん、私そこまで思ってないですよ」
    苦笑しながら涼さんはお詫びとして持ってきてくれた和菓子の箱を渡してきた。
    「ではこれは椿姫さんに渡したかったので、どうぞ。今後また棕櫚様がご迷惑掛けてしまうことがあると思いますが、その時は構わず私をお呼びください。お姉様のお気遣いも感謝致しますが、私は綺月さんの言う通り少し忙しいのでこの辺で帰らせて頂きますね。また機会があればお邪魔させてください。」
    そう言って涼さんは軽く頭を下げて玄関へ向かった。
    「次は色々話聞かせてもらうでなぁ!帰り道気ぃつけてな~!」
    「はい、お邪魔しました。」
    最後まで丁寧にこっちを向いたまま外に出て、扉を両手で閉めて帰っていった。
    「椿姫くん何もろたん?やっぱ棕櫚君に気に入られたんやなぁ、思った通りやわぁ!」
    「和菓子…?ですね、棕櫚さんってそういう人なんですか?」
    お姉さんは質問を聞いて少しニヤついた。
    「棕櫚君はな…所謂“ショタコン”ってやつやねん。」
    「ショタコンってなんですか」
    「簡単に言うと椿姫くんみたいな男の子が好物っちゅうことや!」
    よく分からないけどよく分かった。つまりやばい人なんだな。
    「なんか嫌だな…なんならもう嫌われたいです」
    「嫌われたいはおかしいやろw」
    そんな話をしながら、そういえば何時なんだろうと思い時計を見ると午後三時になっていた。…まって僕起きるの遅くね?あぁいつもか。
    「とりあえずご飯食べな!朝も昼も食べずに寝とったし腹も減っとるやろ。綺月は時間間に合いそう~?」
    「ああ、大丈夫だ。」
    綺月さんは今日も仕事なのかな?また前みたいに連れて行って欲しい…けど起きるの遅すぎちゃったし無理か。
    「綺月さん仕事ですか?」
    「いや、今日は違う。」
    「デート行くんやとよ~」
    「姉さん!違うから!!」
    綺月さんは珍しく顔を赤くした。失礼だけどそういう恋愛経験とか無さそうだよね綺月さんって。
    「デートですかぁ、楽しんでくださいねぇ!」
    「椿姫!君まで馬鹿にするのか!」
    「すみませんwなんか仕事以外で出かけるの珍しいですね!」
    「…ああ、今日のは…大事な約束だからな。」
    「「やっぱりデートだ!!」」
    「うるさい!」
    綺月さんは顔を更に赤くしながら机を拭いた布巾を片付けて自分の部屋に逃げるように駆けて行った。
    「綺月にも可愛いとこあるやろ~?」
    「ありますね~」

    ………………………………

    まったく…何なんだあの二人は。姉さんはともかく椿姫にまであんなこと言われるとは。気を取り直して、出かける準備をしよう。
    『これ、綺月ちゃんに似合うと思って買っちゃった!いつか使ってよ♪』
    いつかの海宇(みそら)の言葉を思い出した。海宇は、星空のような髪が特徴的な、私の同期の中で一番仲良くしてくれている人だ。彼女の家庭では使用人の育成等もしており、一時期蘭賀家の雨月もそこに居たことがあるそうだ。たまに家にも遊びに来てくれる。そういえばあのプレゼントはどこに置いたっけ。私の為にわざわざブレスレットを買ってくれた。私はいつも出かけるのは仕事の時だけだったから、折角貰ったものを傷付けたくなくて1度もつけたことがなかった。
    (…あった!)
    貰った時のまま、紙袋の中に入れっぱなしだった。そういえばまだどんなデザインなのか見た事なかったな。紙袋の中から小箱を取り出し、蓋を開けてみると、緋色の石がついている可愛らしいが派手すぎない、私好みのデザインのブレスレットが出てきた。箱に付属されていた説明書のようなものをなんとなく見てみると、緋色の石は『パイロープ・ガーネット』という宝石だそう。宝石にも花のように石言葉があるそうだが、私はそういうのに詳しくないからどういう意味なのかは知らないが、見た目がとても好みなので気に入った。…これ付けていったら、使ってることを気付いてもらえるだろうか…?ほんの少しの期待をしながら、手首にブレスレットを付けて眺める。
    「…ふふ」
    思わず笑みが零れてしまう。私の為に…海宇が選んでくれたと言うだけで嬉しいのに、付けてることに気がついてくれたときの顔を想像すると顔が緩んでしまう。こんな所、姉さんと椿姫に見られたら絶対に馬鹿にされるから部屋を出るときは変な想像をしないようにしよう。時計を見ると午後三時十五分。もうちょうどいい時間だ。服装や髪型は大丈夫か鏡でさっさと適当に確認してカバンを手に取り玄関へ向かう。
    「綺月~もう行くん?」
    「なんだ、また馬鹿にしにきたのか」
    「ちゃうよさすがに~、行ってらっしゃいって言いに来ただけやで~」
    「…そうか、行ってきます」
    「うんうん!行ってらっしゃい~!」
    鬱陶しい馬鹿にしてくるような顔に見送られ、私は気持ちを切り替えて海宇の家に向かった。

    道中、この間椿姫を連れて戦ったあの場所を通りかかった。あの時は気が付かなかったけど、ここは意外と海宇の家の近くだった。その場所からしばらく歩くと、住宅街の少し外れに白い外壁がよく目立つ立派な家があった。表札には『漆葉(うるしは)』と書かれている。一呼吸おいてインターフォンを鳴らした。

    …………………………

    「はーい」
    呼び出しが鳴り綺月ちゃんが来たことを確認して玄関まで迎えに行くと、珍しくオシャレして来てくれた綺月ちゃんが恥ずかしそうに立っていた。
    「…邪魔するぞ。」
    「ええ、どうぞ♪綺月ちゃんいつもより可愛らしいじゃない♪」
    「あ、ありがとう…」
    言われ慣れない言葉を言われて反応に困ってるように見えるけど、それもまた可愛らしい。髪を耳にかける手の手首には、私が昔プレゼントしたガーネットのブレスレットが付けられていた。
    「綺月ちゃん!そのブレスレット、使ってくれたんだ!」
    「ああ、折角海宇に会うから…その…気付いて欲しくて…」
    「もう~綺月ちゃんったら本当嬉しい事してくれるんだからっ!また何か欲しいものあったあげるから言ってね?」
    「貰ってばかりでは申し訳ない、私もたまには海宇に何か渡したい…!それで、あまりこういうの選んだことなかったんだが…気に入ってくれると嬉しい」
    そう言いながらカバンから手のひらサイズの小さな箱を取り出した。この大きさの箱はネックレスか指輪、もしくはピアスが入ってる大きさかな?
    「わあ…!嬉しい、綺月ちゃんが選んでくれたの!?開けてもいい?」
    「うん…姉さんにバレないように買いに行くのは大変だった。もし良かったらつけてみて欲しい。」
    箱を開けてみると、小さな『パパラチアサファイア』がはめられた女の子らしいネックレスだった。パパラチアサファイアの石言葉は“光の花”その他にも“あなたに出会って永遠の愛を見つけた”等、他にも愛に関する意味をいくつも持っている。しかもそれのネックレスを渡してくるなんて…。(※ネックレスをプレゼントするのは『あなたとずっと一緒にいたい』『あなたは私だけの物』という意味がある)
    まあ考えすぎかしら。この子がそんなこと知ってると思えないもの。
    「絶対高かったでしょ?」
    「まあ少し、いやだいぶ高かったな。だけど海宇に一番似合うと思ったのがこれで…どうしてもこれを渡したくていつの間にか買っていた。」
    財力えぐ~~。とりあえず、ずっと玄関で話しているのは申し訳ないので部屋まで連れていくことにした。

    「適当に座ってもいいよ」
    「すまない、ありがとう」
    綺月ちゃんを座らせて、さっき貰ったネックレスを付けてみる。うん、めちゃくちゃ可愛い。ピンク色の宝石のアクセサリーは今まで持っていなかったから似合うか自信無かったけど、意外と私なんでも似合うかも??
    「綺月ちゃん見て!つけてみたよ、似合う?」「とても似合ってる。いつも青か黒のネックレスを付けていたからそっちの方が良かったかもと思ってたが…」
    「ぜぇんぜん!可愛いしすごい気に入ったよ」
    そう褒めると、何故か綺月ちゃんは何か言いにくそうに下を向いた。やっぱり似合わなかったかな…?
    「綺月ちゃん?」
    「ああ、すまない。そういう色を君が身につけると…漆葉先輩に似てるな…」
    “漆葉先輩”というのは私、漆葉 海宇(うるしは みそら)の姉であり、昔妖怪狩りの正式な戦闘部隊に綺月ちゃんが入った時に組んでいた元パートナー。今はもう、彼女はこの世に居ない。死因も不明で、妖怪に殺された訳でもない。うちでも数少ない近接武器を扱ってた。厨二病大歓喜の妖刀使いだった。
    「…私は姉様みたいにかっこよくないよ。それに、他の人と私を照らし合わせないでよね!」
    「え?あぁすまない。つい、さすが姉妹だなと思ってしまってな。」
    もういないからと言って、せっかく2人きりなのに他の人のこと言われるのは好きじゃない。
    「綺月ちゃん、私の事“海宇”として見てる?私は姉様じゃないんだよ“漆葉先輩”じゃないの」
    綺月ちゃんのこと大好きだし、綺月ちゃんも私に好意を向けてくれているのは分かる。だけどたまに思ってしまう。彼女が私に向けてくれる好意は、姉様に似ている私を姉様の代わりにされてるだけなんじゃないかって。
    「もちろん分かっている。漆葉先輩は確かに私の憧れだったが好きの意味が違う。海宇は、それ以上に好いているし、その事もちゃんと伝えているつもりだ…。」
    「ふぅん?まあ好きでいてくれるなら別に何でも良いけど~?そんなことより、今日泊まるよね!」
    綺月ちゃんが本気で困ってるような気がしたので話題を無理矢理変えてみた。話を振った身ではあるけど、私自身もこういう話をして喧嘩はしたくない。少しでも明るい話にしよう。
    「ああ、その約束のはずだからな。泊まるの楽しみにしてたんだ」
    「ちゃんと着替えとか色々持ってきた?」
    「もちろん。だが足りないものがあったら貸してほしい」
    「しょうがないなぁ」
    それから色々持ち物に手落ちが無いか確認したり、一緒に映画を見たり、ご飯を作って一緒に食べたり、それからいっぱい色んな事をして、気付いたら2人して眠りについていた。

    ………………………………

    「1人行動にしちゃダメー?」

    「絶対あかん。アンタが死んだら俺が責められるんやで。」

    「んぇ〜?ミーくんケチぃ~!」

    「うっさいガキやなぁ!うちの弟子を見習え!」

    「なんでアタシがまだ正式に戦ったこともない奴を見習わないとダメなのよ」

    「行動を見習えって言うてんねん。」

    「やーだね!」

    「あーそうかそうか、じゃあもう知らんわ置いてくわ」

    「あ!!ちょっと待ちなさいよー!!」

    ………………………………

    綺月さんが出かけた翌日。
    「はぁ…」
    僕は今、お姉さんの使いっ走りで買い物に来ている。未成年にお酒頼むなよ…買えないって。とりあえず、自分が食べたいものや綺月さんがよく食べてるチョコと咲三華に頼まれたお菓子とジュース、お姉さんに頼まれたお酒のつまみを大量に買った。お酒買ってこなかったことに文句言われなければいいけど。思ったより荷物が多くて重たい…。店から家まではそう遠くないのが救いだな。なんとか歩きで頑張ろう。

    家に着くと、誰かまた客が来ているようで、見慣れない靴が玄関に置いてあった。
    「ただいまー」
    いつも必ず出迎えてくれる咲三華が来ない。寝てるのかな?と色々考えながらリビングに向かうと、咲三華が急いで駆け寄ってきた。
    「お兄ちゃんお迎えできなかったぁぁぁ!!」
    「あはは!別にいいよ、わざわざ来てくれてありがと!」
    迎えに来たかったようで、ちょっと悲しそうな顔をしている。次から家のちょっと前くらいに着いたら連絡しようかな?
    「そうだ!わたしね、あたらしい友達ができたの!来て!」
    「友達?誰だろう」
    そういえば誰が来客してたような。その人と仲良くなったのかな。適当に予想をしながら咲三華に引っ張られて2階にある僕と咲三華の部屋に入った。
    「ただいま!この人だよ!」
    「え、まって咲三華、マジで言ってる?」
    「うん!」
    え?仲良くなったの?この人と?
    「やあやあ椿姫くん!おかえりなさい!!」
    まじでなんで棕櫚さんと咲三華が仲良くなってんの???
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