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    calmdestorm2

    @calmdestorm2

    二次創作ファンアート置き場 ↑20
    イラスト、マンガ、小説ごっちゃごちゃ
    基本アナログシャーペンで落描き、たまにペン入れしたりデジタルだったり

    メインジャンル:フーファン・ダメプリ・94・ロマサガ
    他にも気になったものはなんでもモグモグします

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    ロマサガ2R
    厄介な時代に皇帝となった宮廷魔術師(男)と、その友人のシティシーフ(男)のお話(シリーズ化予定)
    歴代の皇帝の記憶を受け継ぐ事による弊害が出ています

    名前
    宮廷魔術師はサジタリウス
    シティシーフはクロウ
    順番としては2番目の子の名前だけれど、8人越えた2周目の彼らです
    (つまり10番目)

    #ロマサガ2R
    #宮廷魔術師(男)
    #シティシーフ(男)
    #サジタリウス
    #クロウ
    crow

    深夜、アバロン帝国。
    先日継承の儀を受け新たな皇帝となった宮廷魔術師のサジタリウスは、自室となった皇帝の部屋で大量の資料に目を通していた。
    かつての皇帝達が成し得なかった、ある不祥事を解決する為の糸口を探す為だ。
    今までは臣下として帝国に貢献していたが、まさか自分が民を導く立場になるとは夢にも思っていなかった。
    だが、皇帝となった事で、出来る事が増えたのは確かである。

    (少しでも、この状況を変えていかないと……)

    よしっと声を出し気合いを入れ分厚い本を広げるが、身体は限界に近いのか不意に出るあくび。
    時計に目をやれば、時刻は日にちをとうの昔に跨いでいた。
    明日は……否、今日も早く起床し公務をこなさればならない。

    (もう少しだけ……)

    本に目を向けるも、脳は眠る準備を始めたのか紙面に広がる文字を模様にしか認識できない。

    (……ちょっと外に行こう)

    軽く散歩すれば目が覚めるかも、そう思いサジタリウスは席を立った。






    バルコニーに移動し、腰壁に手をつき夜風に当たるサジタリウス。
    ふと頭上を見上げれば、そこには何処までも広がる夜空。

    (そういえば……)

    ぼんやりとした頭で、幼い頃に星の海を見て手を伸ばしたら取れるのでは?なんて考えた事を思い出す。

    (今なら……)

    寝ぼけた頭が思考を混濁させる。
    遮る物は無く、何にも縛られず、風を切り広い広い空を自由に飛び回った『当時の』記憶が甦る。

    (飛べる今なら、届くだろうか)

    そんな事を考えていると、彼の身体は無意識に動き、腰壁のスリットから身を乗り出し……

    「何やってんだお前はー!!」

    飛び出す寸前、ガシッと背後から抱きつかれ引き寄せられ、サジタリウスは後ろ向きに倒れた。
    床に打ちつけられたはずだがその衝撃は無く、しばらくキョトンとしていたのだが、声の主がクッション代わりになってくれたのだと気づいたサジタリウスは、慌てて起き上がり手を貸す。

    「クロウ、大丈夫ですか!?」
    「痛ってて……大丈夫なわけないだろうが」

    背中をさすりながらサジタリウスの手を取り、シティシーフのクロウはしかめっ面をしながら身を起こす。
    彼は帝国大学で知り合って以来交流を深めている、サジタリウスの昔からの友人である。

    「見回りしていて正解だったぜ……
    どんくさいお前が受け身を取れるわけもないし、出来てもこの高さじゃ無事でいれるわけがない。
    何でこんな危ない事をしたんだよ」
    「その……眠気覚ましに少し飛んでみようかと思って」
    「は?」

    サジタリウスの言葉に、心底わけがわからないといった表情を浮かべる。
    昔から天然が入っている友人の性格を知っているクロウは、頭を抱えため息をつく。

    「あのなぁ……ウィンディ先帝ならまだしも、
    あんたは羽が生えてないんだぞ!!
    受け継いだのは記憶だけで身体特徴までもらったわけじゃないんだ、飛べるわけないだろ!!」

    寝ぼけてんじゃねぇよ!!と説教され、サジタリウスは目をぱちくりさせる。

    「先……帝……」

    サジタリウスは呟き、首を動かして確認できる範囲で自分の背中を見る。
    当然、イーリス族ではない彼のそこには何もない。

    「私は……」

    羽が無くとも飛行を可能にする術はこの世に存在しない。
    飛べるはずがない、道具も無く人の身で空を飛べるはずがないのだ。

    「私は……人間でしたね……」

    まるでつい先日体験したばかりの様な、鮮明に浮かんだあの光景は、かつての皇帝のもの。
    自分のものではなかった。

    「……あんた、疲れているんだよ。
    皇帝引き継いでから今までロクに休んでないだろ?
    もう今日は寝ちまえ、部屋まで送るからさ」

    黙り込んでしまった友人に言葉をかけるべきかと考えたが、何も言わない方が良いと判断し、クロウはぼんやりしているサジタリウスの手を取り城内に戻る。
    室内へ戻ると、クロウは彼の衣服を剥ぎ取り着替えさせ寝台に放り込み、そのまま近くにあった椅子を引き寄せどっかりと座る。
    どうやらサジタリウスが眠るまで、見張るつもりの様だ。

    「あの……大丈夫です、ちゃんと寝ますから……」
    「こーいう事に関してのお前は信用出来ねぇ。
    ぐーすかイビキかくまで、絶対に動かないからな」

    そう宣言すると、クロウは懐からナイフと小さな木材を取り出し加工し始めた。
    最近はまったという、木彫り細工だろう。

    「俺の事は無視して、寝ろ」
    「すみません、すごく気になります」
    「話しかけんな、寝ろ」
    「クロウも明日早いですし、部屋に……」
    「寝・ろ。」
    「………………」

    とりつく島もない友人に、仕方ないと諦めサジタリウスは床に着く。
    ものの数分で寝息が聞こえ、クロウはやれやれと肩をすくめた。

    「一人で頑張り過ぎなんだよ、馬鹿。
    少しは臣下達を頼れっての」
    (まぁ頼れる相手は限定されるけどな……)

    そう独りごちて、クロウは道具を仕舞って立ち上がり寝台の側へ移動し、サジタリウスの顔を覗き込む。
    その綺麗な顔に疲れが色濃く出ていて、色男が台無しだなとため息をつく。

    「おやすみ、サジー。
    ちゃんと起こしてやるから、今はしっかり睡眠取れよ」

    夢の世界に旅立っている相手に聞こえていない事はわかっていたが、そう言ってクロウひらひらと手を振り部屋を後にした。
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