ヒュンケルは先生からピクニックに誘われた。もうあなた以外からは全員オッケーもらってます。とのことだった。
それはカールにあるアバンの書斎へ、定例の書類を届けに上がった際のことであった。少しお茶を飲みましょうと応接ソファに誘われ、ローテーブル越しに向かい合わせて座り、飲み物が並んだところで切り出されたのだ。
暇を享受しに出かけるなどという贅沢は己に相応しくないと遠慮をしたが、皆があなたに会いたがっていると説得された末に参加を了承した。当日はどこかの森なり川なりに、アバンの使徒が五人、勢揃いすることとなろう。
大魔王との決戦の日に再会してよりこちら、師とは、仕事上の事務的な付き合いはあるが、幼いころ共に旅をしていたようなプライベートな関わりはない。距離を置いたこの関係は、もうよい大人であるからでもあるし、また過去の裏切りの後ろめたさからでもある。
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