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    rvR2EtMic

    雑多

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    デュラハンとスケルトンなイデケイの話

    輝石の国にある、とある家の者は揃って戦々恐々としていた。
    一年前、この家の前に黒黒とした闇に紛れるような馬に乗った首のない騎士が家の前に現れて『一年後、この家の者の魂をひとつ貰い受ける』と告げていった。
    その予告から一年が経とうとしているからだ。



    「…次は、この家か……何でこんな時代遅れなやり方で魂回収しないといけないんだか…もっとシステム化してよ…」

    鎧を身に付けて蒼く長い髪を揺らす男は、闇を切り裂くように何も無い空中から姿を現して地面に降り立った。しんと静まりかえった夜、鎧を纏う身体が動く度に金属音が響く。



    「蒼い、髪……?」
    「ヒィっ!!…あ、君この家の、人……え?」
    家の前に立っていた男は、暗闇に似つかわしくない晴れた日の夕焼けのような髪色をしていた。声をかけられた鎧の男は大袈裟に肩を揺らして驚いたが、振り向けば分かった。
    声をかけてきた彼は既に人ではないこと。

    「…この家の人の魂回収しに来たんだよね?君、“首なし騎士”でしょ?てゆーか何で首あるの?」
    「あ、あれは、伝説に合わせた演出と言いますか…いや待って、君こそもう人間じゃないでしょ?何してるの…?」

    全身の骨が所々透けた男の顔は帽子とベールで覆われていて、表情が読み取れない。胸に咲く暗赤色の薔薇は何を誓っているのだろうか。

    「元々はオレもこの家の人間だったんだよ。こんな家早く出たいと思っててうっかり死んじゃったんだけど、死んでも離れられないの。どうしたらここから逃げられるかなって思ってたら、一年前に君が来た」
    淡々と語り出した彼の口振りも感情が乗っていない、血が通っていないのだから珍しくは無いけれど。こんな真夜中に人の形をした誰かに会うなんて思っていなかった鎧の男は、冷や汗をかきながらも初手で掴み損ねた彼の意図を探り耳を澄ませた。

    「…でさ、一年待ってたらこんな風になっちゃったんだよね〜!この家の人の魂、取りに来たんでしょ?オレの魂を連れて行ってくれない?」
    「は?こっちだってボランティアじゃないんですけど…」
    目的を暴露した男に鎧の男の顔が歪む。
    伝説に則り魂を回収し続けてはいるが、それが自分達のこの世界での仕事であって生き延びる為の手段であるからだ。時代遅れだなどと愚痴を漏らせど、余計な感情を入れ込んでいたら自分達の存在に支障が出る。いのちのような、光り輝くモノは鎧の男にももう無いのだけれど。



    「連れて行く魂があれば良いんだよね?まだ、残ってるから。連れて行ってよ」
    そう言って骨が透けた指で胸の薔薇を握り締めた男、その手中の暗赤色の一つに火が灯った。その目は向かい合う男の息を詰まらせる程に冷たい。

    ———ひとりで来た日に限って何でこんなややこしい事になるんだよ。
    普段魂の回収を共に遂行している弟を、今日は連れて来ていなかった。彼を連れて来ていれば特殊な魔法を使って、彷徨える魂を消滅させられたのに。
    瞼を伏せて長い溜め息を漏らした鎧の男は観念したようにおいで、と吐き捨てた。




    「ねぇ、君の名前は〜?」
    「……シュラウド」
    「ファミリーネームじゃなくて!」
    「…イデア・シュラウド」
    「オレはケイト・ダイヤモンド。イデアくん、ありがとね!」
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