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    c09ma2

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    キャット・インザデイで明かされた真道智明の過去の詳しい話。
    小渋琉偉に後日語る口調で書き殴りました。

    あの頃は俺も小さくて何も知らなかった。あいつらのことを・・・頭が固くて厳しい親と、ちょっと変わった兄だと思ってた。
    俺が五歳になるかならないかの時、親が俺にあるものを買ってきてくれて、それをすごく大切にしてたんだ。それは・・・その・・・あれだ・・・カブトムシだ・・・。笑うなよ普通のカブトムシじゃないんだぞ!ヘラクレスオオカブトだったんだ!!五歳の俺はそれがかっこよく思えて・・・好きだったんだ。大事にしてた。まぁ、今は虫とか嫌いだけどあの頃はそういうのも好奇心が刺激されて、好きだったんだ…。でも、一週間もしない間にその大切にしてたヘラクレスオオカブトが死んだんだ。親は俺が適切な世話しないからとか、逆に触り過ぎたから弱ったんだとか言ってた。俺はもちろん納得できなくて怒り散らしてたけどな!・・・でも、兄の聡巳は親とは違った。俺に「悲しいか?」って聞いて、俺が悲しいって答えると「悲しいのか、そうか・・・」って言って手を握ったんだ。…オエ…思い出しただけで反吐が出る…。・・・で、そのあと俺が癇癪をやめて泣き止むまで抱き寄せて慰めたり、くっそつまんねー毒草の図鑑を読んでくれたりした。あ、言っとくけど兄はそういう図鑑を読み聞かせると子供が喜ぶと思ってんだ。変だろ?実際死ぬほど変わってる。…まぁ、その時の俺は、もちろんあいつが俺の悲しみに寄り添って優しくしてくれてんだと思ってた。

    だけどな、問題はそのあとの話だよ。

    俺が小4の時、捨て猫を拾ったんだ。子猫だった。でも俺の親は、不潔だと言ってペットは絶対に許さなかった。俺はその拾った子猫をこっそり近くにある空き家の中で飼ってたんだ。名前は…絶ッッ対教えない。兎に角、俺は学校や家のPCのインターネットで猫の飼い方を調べて適切に飼ってた…つもりだ。まぁ、あの年のガキにしては上出来だったと思うけどな。でも、あいつは…聡巳は俺の異変に目ざとく気付いたんだ。〝何か隠してる〟って……多分な。今となってはそう思うって感じなだけ。確証はない。
    聡巳は、俺に猫は可愛くて好きだ、みたいなことを言ってあたかも俺と同じように猫に関心がある風に装った。まんまと騙された当時の俺は・・・・・ついに聡巳にすべてを話した。飼ってる空き家まで連れて行って、俺は得意げに隠れて飼ってる猫を紹介した。あの時のあいつは…笑顔だった。変だったのは、好きだと話していた割に、一切猫に触れようとしなかった。あいつは「小さくて、かわいいな」って言ってみてるだけだったんだ。俺だってその時は変に思った。でも、俺は、五歳も上の兄を…大人に近づくと、みんなこうなるんだと思って納得してた。大人って、なんか、好きなものに全力出せなくて、そういうのなんだって。

    ・・・・・。

    聡巳に会わせた二日後に、その猫は死んだ。
    あの日、くそつまんねー学校を抜け出して猫に会いに行ったら、先客がいた。…聡巳だった。俺はその時「兄ちゃんは本当に猫が好きなんだ」と思った。聡巳は俺が突然現れたのを見て驚いた顔をしてたが、急にどうでもよさそうな顔になってた。あきらめたような、仕方ないか、って顔。近づくと、動かなくなった子猫が聡巳の前に居た。
    俺がそれを見て、癇癪を起すギリギリ前にあいつがこう言った

    「来たら死んでたんだ。かわいそうになぁ。」

    って・・・。俺は意味わかんなくて、「死んでるわけないだろ!!」ってキレてた。いや、実際もう死んでたんだ。でも、動揺して、信じたくなくて。
    そうしたらあいつ「しんでるよ、死んだ。小さいとすぐ死ぬんだ。小さいほど簡単に死ぬんだ。」って言って、笑ってたんだ。ヤバいだろ?俺も瞬時にこいつは、ヤバいんだって、あの時直感した。オイ怖がるなよ?もっとひどいのはココからだからな。
    あいつは死んだその子猫の体を両手で救うように持ち上げてこういったんだ

    「智明、猫の死体ってどうやって骨になるんだろうな?キノコは…生えるだろうか?お兄ちゃんと、観察しよう」・・・って

    気が狂ってんだろ。頭おかしいんだよ。
    …まだわかんねぇようならはっきり教えてやる。カブトムシも猫も、聡巳が殺したんだ。あいつは俺のたいせつにしてる生き物を殺しておいて、俺が怒り散らしてる姿込みで楽しんでた。証拠はあるのか、って…?俺はなぁ…その時、聡巳に一つだけ教えなかったことがあるんだ。それは…俺があの空き家に猫の行動を見張る〝カメラ〟を設置してるってことだよ。そこに写ってたのは聡巳が猫に・・・・・・・んあ?お前にはちょっと過激すぎたか?じゃあここの話はカットする。


    俺はそれから生き物を飼うのは一切やめた。俺は賢かったから「聡巳に隠し通すのは無理だ」って理解したんだ。初めから飼わなければ隠すこともない…だろ?至極簡単なことだ。

    ってなわけで、俺がなぜあのくずの兄が嫌いか、ペットを飼わないかわかっただろ。

    俺があいつを嫌いな理由はこれだけじゃないけどな?
    まぁ、アイツの〝実験好き〟は狂ってた。実験対象はカブトムシ、猫に限らないってそのあとのちび智明は知るんだ。…つまり、俺とか、だな。

    まぁ、それを知った賢い智明くんは、あいつが二度と俺に〝なめたまね〟しないようにきついお灸をすえるんだけどな。でもこの話はまた今度。


    法でさえ守られないような小さい命は、いとも簡単にあいつに殺される。でも俺は、賢いから、ある一定の条件がそろえば殺される確率が低くなることを学んだ。

    この件があったからこそ、俺が人生で学んだ部分もある。自分がホントに大切にしたいものってのは、ちゃんと監視してきゃいけないんだ、ってこと。

    だれにも、触らせないように。
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