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    4230Eri

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    4230Eri

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    被験者🍑と研究者❄️の話を書きたかったもの
    ※書きかけなので中途半端な所で終わってます
    序章を書いて満足しちゃいました笑
    設定メモも載せるので使いたい方いたらどうぞ

    音楽、それはいつの時代も人々を楽しませる娯楽の一つである。時代を追うごとに多種多様に変化していく中、音楽を生み出している音楽家たちはいかに自分達の作る曲を、歌を、より多くの人に知ってもらえるかという事に注力するようになっていった。そして自分達の曲を広める為に、自分の歌を歌ってくれる優れたシンガーを育てる事に、力を入れるようになっていった。

    ここは、そんな歌に特化した人材─シンガー─を育てるための施設だ。歌の才能を見出されてスカウトされた子達がこの場所に集められ、デビューするその日に向けて厳しいレッスンを受けている。僕は、この施設の職員として働いている。と言っても、僕に任されている仕事はシンガー達がレッスンやトレーニングで使う楽曲を作って提供する事がメインなので、彼らと直接話す事はほとんどない。ここの職員達は基本的に二人体制でチームを組んでおり、僕みたいな楽曲提供がメインの人員と、シンガー達と直接接する事がメインの人員がいる。チームにつき一人のシンガーを担当する事が基本で、僕も担当の子に提供する為の楽曲を作るために彼の事を知る機会はあるが、本当に軽い会話程度しかしたことが無いので、チームの相方と比べたらその頻度は少ない。今も僕の相方がうちの担当シンガーとトレーニングしているので、僕は僕で楽曲制作やトレーニング結果の分析などを行っている所だ。

    (今日中にやらなきゃいけない事は終わったし、そろそろ帰るか……)

    腕を上げて縮こまっていた身体を伸ばし、椅子を引いて立ち上がる。机の上に広げていた資料をまとめ、パソコンの電源を起こし部屋を出た。部屋の扉を開けて足を廊下に踏み出したその瞬間、人とぶつかる感覚がして足を止めた。ぶつかった方を見ると、そこには一人の小柄な男の子がいた。

    「あ、ごめんね。君、大丈夫?」

    声をかけると、彼は顔を上げて僕にこう言った。

    「……助けてっ……!」
    「……え?」
    「……オレ、このままだと……ここから追い出されちゃう……お願い……」

    消えそうな声で彼が呟く。服装をよく見てみると、彼はこの施設のシンガーに支給されるトレーニング用の衣装を着ていた。自分の担当以外の子の事はあまり覚えていないが、どうやらこの子もデビュー前のシンガーらしい。しかし、追い出されるとは一体どういうことなのだろうか。とりあえずはこの子の担当職員に連絡を取ろうと考え、手元にある端末を起動した。

    「君、番号は?」
    「えと、100です、けど」
    「100……えーと名前は……モモ、か。担当職員のアドレスは─」
    「……っ!ま、待って!」

    支給された端末に登録されたシンガーとその担当職員情報について調べていると、彼─モモ─が急に声を荒らげた。

    「ん?どうしたの?」
    「……あの人達に、連絡しないで」
    「え、だって君の担当職員だよ?君に何かあったら、対処するのはその人達じゃない」

    そう言って諭すも、彼は聞く耳を持たない。挙句の果てには僕の腕を掴んで、端末を取り上げようとさえしてきた。

    「オレ、逃げてきたんです、彼らから……」
    「……どうしてなのか、聞いてもいい?」
    「……あの人達の会話を、聞いてしまったからです。オレはもう歌えないから、使い物にならないから、いらないって……」
    「……」

    彼の話を聞いて、この子になんて声をかけたらいいか、分からなかった。僕も噂程度にしか聞いた事のない話だったが、ここでのトレーニングが厳しすぎてシンガー自身が疲弊してしまい、心身共に壊れてしまう事も少なくないのだそうだ。そういった場合、一時的に専門のケアセンターで療養してまた戻ってくるという選択肢もあるらしいが、実際その方法で復帰したシンガーがどれほど居たのか僕は知らない。僕自身は楽曲提供やトレーニング結果の分析がメインだから、シンガー達がどんなトレーニングをしているのかそこまで気にしていなかったが、モモの話を聞く限りやはりここは少々危険な組織のようだ。

    「……ねぇ、君」
    「え、あ、はい」
    「さっき逃げてきたって言ってたけど、ここに居れなくなったら何か困る事でもあるの?普通の一般人に戻れるわけじゃないの?」
    「あー……オレ、ここの施設を出ても、一緒に暮らせる家族とか親族とか居ないんです。身寄りがなくて……だから、ここを追い出されちゃうと行く宛てがないんですよ。なのに逃げてきちゃって……はは……馬鹿だなぁオレ……」

    ここに連れてこられる子は、皆歌の才能を見出された優秀な人材ではあるが、その出自や過去についてはほとんど公開されていない。上層部であれば知る事も出来るかもしれないが、僕のような一般職員には難しい話だ。だから、彼みたいに身寄りのない子が居ても不思議ではない。でも、そんな子をまた一人にするなんて、身勝手にも程があるだろう。

    「そっか。じゃぁ君としてはこの施設に居られた方がいいのか……」
    「はい。でも、いらないって言われてるのに置いてくれなんて、そんな図々しい事、とてもじゃないけど言えなくて……」

    その言葉を聞いて、この子はなんて優しい子なんだ、と思った。僕だったら無理を言ってでも居座るのに。でも、そんな優しい彼だからこそ、何も言えずにこうして飛び出してきてしまったのかと思うと、ますますいたたまれない気持ちになった。そして、僕の中に一つの案が生まれた。

    「……あのさ」
    「はい」
    「行く宛てがないなら、うちに来なよ」
    「え……?」
    「だってもうこの施設は君を解放するって言ってるんだろ?なら、その後君がどうしようが君の自由だ。それに、ここまで話を聞いておいて、今更見捨てるなんて出来ない」
    「お兄さん……」
    「まぁでも、もちろん君が嫌じゃなければの話だよ。僕はここの職員の一人だし、もうこの施設との関係を完全に切りたいのであれば、それはそれでいいと思う。君は辛い思いをしたみたいだしね。だから、これはあくまでも僕の提案。選ぶのは君だよ」
    「……」

    僕の話を聞いて、少しの間彼は黙って考えていた。我ながら突拍子も無いことを言ってしまった気がする。だけど、このまま彼が一人外の世界に放り出されてしまう可能性を考えたら、もうこうするしか無かったのだ。それに、なんとなくだけどこの子の事をもう少し知りたいという気持ちも僕の中に芽生え始めていた。ほとんど話したことは無いし、恐らく歌声も聴いたことがない。それでも、心惹かれる何かがあるのは確かだった。

    「お兄さん。オレ、決めました」
    「そう。で、君はどうしたい?」
    「お兄さんに、あなたについて行きたいです。オレに何が出来るか分からないし、あなたに迷惑をかけるかもしれない。でも、それでも、今はあなたと一緒に居たいです」
    「分かった。じゃぁ、一緒に帰ろうか」
    「はい……!」

    こうして、僕らは一つ屋根の下で共同生活を始めることになった。



    モモと一緒に暮らす事を決めたのはいいが、あまりに突然の事だったので、お互いの自己紹介をほとんどしないまま彼を我が家まで連れてきてしまったことに今更ながら気付いた。何も知らない人からみれば、僕はただの誘拐犯と思われてもおかしくない状況だ。それはさすがにマズイので、一度モモとちゃんと自己紹介をすることにした。

    「……勢いのまま君を連れてきてしまったけど、そういえば僕自分の名前言ってなかったね。僕は折笠千斗。あの施設ではユキって名乗ってる」
    「ユキ、さん……綺麗な名前ですね」
    「ありがとう。君の事は、モモって呼んでもいいかな?」
    「はい、それで大丈夫です」
    「じゃぁ、改めてよろしくねモモ」
    「こちらこそよろしくお願いします、ユキさん」

    うちに来てから、モモは比較的穏やかな表情をしている。施設の廊下で会った時はかなり不安そうな顔をしていたので、ここに来たことで少しは安心してくれているのかと思うとなんだか嬉しかった。そしてなにより、この子はしぐさ一つ一つがとても愛らしかった。もう成人しているというのにとてもあどけない顔を見せてくれたり、控えめに甘えてくれたりする姿がたまらなく可愛いのだ。


    晩御飯とお風呂を終え、もうあとは寝るだけとなったのでリビングで待ってくれていたモモを呼びに行くと、疲れが出たのか彼はソファーに座りながら船を漕いでいた。

    「モモ」
    「ん……あ、ユキさん。お風呂上がったんですね」
    「うん。待っててくれてありがとう。もう寝ようか」
    「はい」

    モモも僕もいい大人だし、彼の為の部屋も用意したので当たり前のようにそれぞれの部屋で寝ると思っていた。だけどその話をすると少しだけ悲しそうな顔をするので、一緒に寝ようかと提案すると表情が明るくなった。この子は意外と寂しがり屋なのかもしれない。

    「モモ、おいで」

    ベッドの隅で緊張しているモモを呼んで、安心させるように腕の中に抱き込んでおやすみのキスをする。子供扱いしすぎているような気はするが、頼れる人が誰もいない彼の事を思うと甘やかさずにはいられなかった。

    「おやすみ、モモ」
    「おやすみなさい、ユキさん」

    子供体温で温かいモモを抱きしめながら、その日は二人で眠りについた。


    モモと二人で生活することになったが、僕は僕で仕事があるし、モモもずっと部屋にいるだけでは流石に退屈だろう。もちろんしばらくは療養の為に休んでてもらいたいが、元気になったら何かやりたいことが出てくるかもしれない。だけど僕は所謂カウンセリング的な事は専門じゃないので、あの施設でシンガー達と一緒にトレーニングをしていた元同僚から助力を得る事にした。

    「久しぶりにお前から連絡が来て何かと思えば、シンガーの子と暮らし始めたなんて……最初はドッキリかと思ったよ」

    モモに笑いかけながら、元同僚であるバンが僕に悪態をつく。バンと僕はかつてペアを組んでいたのだが、ある時急に施設から独立して今は別の組織で人材育成の仕事に関わっているらしい。僕に何も言わずバンが急にいなくなった時は本当に驚いたし、仲が良かったというのも相まって少しだけ寂しかった。だけど、今でもこうして交流が続いているのだから、バンも僕に後ろめたい気持ちがあった訳では無いのだと後から知って安心した。

    「ドッキリって……酷いなバンは」
    「あははっ、悪い悪い。ユキがプライベートで誰かの面倒を見るなんて、ちょっと想像出来なかったからさ」

    バンとペアを組んでいた頃、僕はずっとバンにベッタリだった。バンが元々世話焼きなのもあって、僕がまともに食事を摂らずに研究室に篭っていたりすると夜食を用意してくれたし、僕が作る楽曲についてもアドバイスをくれた。だから、バンと仕事をするのは凄くやりがいがあって、楽しかった。別に今のペア相手に不満がある訳では無いけど、やっぱりバンと居ると心地いいと思う気持ちは今でも変わらない。

    ───────ここから設定メモ───────────
    モモ誕のカードから派生した何かを書きたい
    ・モモが被検体なのはほぼ確定
    ・ユキが研修者的な人なのも同じく
    ・ちょっとだけ年齢差欲しいかも
    モモマイナス5歳ぐらい?
    逆にユキプラス5歳とか?

    ・歌に特化した人材を育成する為の施設にモモはいて、モモはその施設の記念すべき100人目のシンガー(ゆえに期待値が高く、色んなレッスンやトレーニングを試すことに)
    ▶︎だけど過酷なレッスンにより上手く歌えなくなり、もう使い物にならないと施設から追い出されそうになっていたところをユキに拾われてユキの家で一緒に暮らすようになる
    ・ユキは施設の研究員の1人 自分で曲も作るし歌うことも出来るが、世に公開するほどのレベルではない、もっと上手く自分の気持ちを表現できるようになりたいとずっと悩んでいた
    ・モモと暮らす事になったが自分も一緒に施設から逃げてきた(辞めてきた)ので、この先どうしようかと思っていた所元同僚のバンの事が頭をよぎる
    ・バンはユキと同期で、よく一緒に仕事をしていた モモの事も知っている あの施設がヤバいということにユキより先に気付いていた
    ・バンはユキより先に独立し、当時担当してた子を連れて今も彼らの音楽活動のサポートをしている

    ・最終的にはユキとモモで楽しく歌う生活が送れるようにするエンディングにしたいんだけどそこまでにどういう展開を入れるかが悩ましくなってしまって未完のまま…………挫折しました…………
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