勉強は好きじゃない。でも、お前が興味を持ってくれるなら頑張ってみよう。そう、思ったのに。
壁とオレに挟まれた千冬は逃げ場を奪われたにもかかわらず見開いた目をきらきらと輝かせた。ガラスのように澄み切った昼間の空に星が散っている。強欲な怪盗が独り占めしたくなるような非現実的な絶景。見るなという方が無理だ。
千冬が唇を開く。そこからどんな言葉が出るだろう。今日こそは、と淡い期待を抱いて見つめる。
「か、カッケェ……」
ふるえる声で告げられた言葉に肩が落ちる。間違いなく褒め言葉ではあるけど、これはダメなやつだ。知ってる。何度も聞いた。その回数分ガッカリした。これで何連敗だ?わかんねぇ。もう数えるのもイヤだ。
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