チルい午後正しくChillという状況でヴォックスとミスタはソファに体重を預けていた。ヴォックスの長ーい腕はミスタの頭を超えて肩に添えられていて、ミスタはそれが当たり前のようにヴォックスの肩に頭を預けてスマホをいじっている。
穏やかな昼下がりだった。アンティークショップで購入した書見台は一目惚れの割に上手く機能している。ヴォックスは空いた方の手でペラリとページをめくった。シェイクスピアは何度読んでも色褪せずじんわり染み込む言葉が心地よくて愛読していた。
ねぇ、daddyと声をかけてきたのはどれほどそうしていた後だったかな。ヴォックスはうん、と短く返事をして本の真ん中ほどに栞を挟んだ。思ったよりも進んでいるからそこそこ時間が経っていたのだろう。今気がついたがミスタの頭を支え続けていた方がじんわりしびれている。
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