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    maru8sh

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    maru8sh

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    「ん」の限界に挑戦した温周の会話。二人がただイチャイチャしてるだけの話ともいう。唐突に始まり唐突に終わる。

    「ちょっと待ってよ、あしゅっ」
    「やめろ老温…腕を掴むな、馬鹿力め」
    「今朝の約束は?」
    「さてな…一体なんの話だ」
    「ん」
    「おまえ…口を突き出して何の真似だ」
    「目を閉じたほうがいいかなと思って」
    「でれでれした顔で何を言ってるんだ?」
    「蕩けた顔と言ってくれ」
    「うん…?」

    こてん、と俺が首を傾げると。
    何故か老温は自慢げに胸を張る。

    「これは恋する男の顔だぞ」
    「は?」
    「阿絮からの口づけを心待ちにしてる男の顔でもあるがな」
    「…威張って言うことか、それは」
    「今朝、私はいい子に待てをしただろう?」
    「……」
    「ご褒美をくれる約束を忘れたとは言わせない」
    「お前が勝手に言ってた気がするが」
    「わかったわかったって言ったのは阿絮だよ」
    「百歩譲ってそうだとしても」
    「事実だけどね」
    「だとしても、褒美の内容は聞いてない」
    「ご褒美だぞ?私が喜ぶことに決まってる」
    「で?」
    「口づけして、阿絮」
    「直球だな」
    「そして今朝の続きをしよう」
    「おい、要求が増えてるぞ」

    呆れて俺は眉を顰めたが。
    構わず老温は目を閉じて唇をきゅっと結ぶ。

    「ん」
    「…老温。俺はするとは言ってない」
    「ん」
    「…しつこい」
    「ん」
    「…ふっ…」
    「ん?」
    「すまない…唇を突き出したお前の顔がなかなか愉快で」
    「んっ」
    「ねばるな、老温」
    「んー」
    「…俺が口づけするまで続ける気か?」
    「ん」
    「くくっ…わかったよ、俺の負けだ」
    「ん…ぁ」
    「ふ……」
    「…あしゅ」
    「続き…するか?」
    「いいの…?」
    「いい子に待てをするお前がかわいかったからな」

    だからいいぞ、と続けるはずだった俺の言葉は老温の口に喰われて消えて。待てを終えた男は獰猛な笑みを浮かべたのだった。



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