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    👔安ピク(安原スナ×紙芝居新スナ)🌸
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    【安ピク】
    『中指からアイ・ラブ・ユー♡』
    Day.2 3/5

    谷のしらべ2展示作品です。
    パスワードはピクリエオンリーイベント「谷のしらべ2」の「ムムリクエリア【C7】ももいろ♡ふぉーちゅん」のお品書きにて記載しております。

    #安ピク
    #安紙
    #安原スナ×紙芝居新スナ
    #谷のしらべ2
    #展示作品
    displayWorks
    #ピクリエ

    8戦目★顔が良いにも程がある!人は外見よりも中身が大事だ、と世間は言う。
    だがどれだけ中身が良くても最初に惹かれていくきっかけというのは大体が顔だという事実が覆る事は無い。
    「〜〜♪」
    柔らかい日差しに照らされ煌めく森に、ピクの上機嫌な鼻歌がよく馴染む。
    暑過ぎず曇り過ぎず、草花もご機嫌なお散歩日和となれば鼻歌が弾むのも頷ける。ピクは軽い足取りで森の小道を散歩していた。
    森の小道を抜けていくとその先では小川が流れ、その近くに見慣れたテントの頭が見える。その見慣れたテントを前にピクが軽い足取りをピタリと止めた。
    見慣れたテント――安原のテントを前に、ピクは鼻歌も忍ばせるといそいそと木の影に隠れる。
    ――どうせなら驚かせてやろう。
    驚かせた時の安原の間抜け面が見物だとニヤリと笑うピクが足音を忍ばせながら安原のテントに忍び寄る。
    そろり、そろりと獲物を狙う肉食獣の如く、慎重に近付くピク。そろそろ近付いただろうと、低木の茂みからちらっと様子を伺ってみた。
    安原発見っ、何をしているのだろうとピクはそのまま安原の様子をじっと伺う。
    どうやら小刀で木を削っている様だ。ギターのネックの形に見える木を細かく削る安原の目は真剣そのものだった。
    「……っ」
    相棒の整形に向き合う安原の横顔に、ピクは小さく息を飲む。
    形の良い眉を薄く皺寄せ、相棒に向き合う一途な眼差しから目を逸らすなど誰が出来るだろうか。
    横顔の曲線は雄々しさと神秘を兼ね備えた一級品の彫刻の様だ。
    きつく結ばれた大きな口はピク限定の挑発と怒号が放たれると信じられない、そんな口から小さな吐息が溢れる様を、ピクが見逃す筈が無かった。
    無意識に少し丸められた広い背中、相棒となる木材と小刀を握るその手には血管が浮き出し、その手元だけで野性的な雄々しさをまざまざと感じた。
    「かっこいいな……」
    スプーンから零れたミルクの様にそれはごく自然と口から溢れていた。
    男らしいのに嫌悪感を感じない、理想の男の体現と言ってもいい安原の男らしさにピクは心まで奪われていだ。
    かっこいい。と自分の口から溢れたその言葉の意味に気付いた途端、ピクは慌てて口元を手で抑える。
    今更口を抑えた所で出てしまったものはどうにも揉み消せない。この距離ではピクの本音が届かなかった事がせめてもの救いだと、ピクは肩を撫で下ろす。
    それにしても本当に良い顔立ちをしているな……黙っていれば今話題の歌劇団のスター俳優も目もなく霞んでしまうと頷くピク。
    ――そう、安原は黙っていればかなりの男前なのだ。黙っていれば。
    「……で、そこでなにしてるんだ?」
    「ひえっ」
    腰を上げうんと背伸びをしながら背後のピクに話しかける安原に、ピクは薄い肩をびっくりと跳ねさせる。
    「な、なにもしてないよぉ。たまたま通りすがりだっただけだよぉ」
    「お前こういう時の嘘本当に下手だな」
    観念したのか茂みからこそっと顔を出し、そろっと目を逸らししらばっくれようとするピクの顔には正直堂々と嘘だと見事に書かれている。
    見え見えな嘘にはぁ、と小さくため息をついた安原はずんずんと茂みに潜むピクの元へと歩み寄った。
    「隠れてコソコソと、一体次は何を企んでやがる?」
    「たっ企んでないしっ?!」
    「ふーん……」
    ピクのなにか隠している素振りに首を捻る休みだが、ひとつ閃いたという顔をした安原の表情は見る見る内に得意げになり、もしかして、と目を逸らすピクの視界に入ろうとずいっと顔を近ずけた。
    「俺に見とれてた、とか」
    「はぁ?!!」
    どこからきたのかその確信はと、今回は妙に自信たっぷりの安原の言葉は正解のど真ん中を見事に打ち当て、ピクは大きな瞳を更に大きくして驚いた。
    「そんな自信っ、どこ、から……っ」
    図星をつかれ余計にキャンキャンと言い返そうとしたピクの反抗的な語尾が徐々に消えていく。
    野性的でありながら紳士的なダンディズムを帯びた二つの瞳に囚われたピクの顔は瞬間的に熱くなる。
    今、ピクの視界は超絶好みの顔面に独占ジャックされているのだ。
    「本当の事を当てられて返す言葉もないのか?」
    「……っ……〜〜っ」
    ピクのあからさまな反応を前に気を良くしたのか調子をこいた顔付きでピクに迫る安原。
    得意げで自信に満ち溢れた時に行う片眉をくいっと上げる癖が好き。ニヒルに口角を上げる大きな口元が好き。少し目を細め、挑発の中でも愛しさを垣間見せる目元が好き――好きが詰まった安原の顔面を前に、ピクの安原限定天邪鬼測定器の針がついに振り切れた。
    「……っっそうだよ見とれてたよっ!!」
    林檎の様に真っ赤に染ったピクが放った間距離十センチの直球ストレート告白に、安原はさっきまでの得意げで自信満々なドヤ顔をキョトンと崩した。
    「おい、ピク……?」
    「仕方ないだろう?!だって君の顔が世界一好みなんだもん!!」
    天邪鬼もメーター振り切れば一周回って素直になる。普段なら逆立ちをしても言ってやらない小恥ずかしい素直な好きを至近距離からぶつけていくピク。
    もうどうにでもなれ!!と半ばやけくそなピクの素直過ぎる好きの爆弾を浴び、余裕綽々のドヤ顔がしなしなとなし崩しにヘタレ顔へと変貌していく。
    穴があったら入りたい、いや、穴に入る前にコイツの頭を蹴りあげて記憶を消すと心に決めたピクがキッと目の前の安原を睨みつける。
    距離にして十数センチ、自信満々で調子をこいた精悍な良い男の顔はどこへやら、そこにはキョトンとヘニョンを足して二で割ってあんぐりを足した様な、それは情けない男の顔があった。
    そのヘタレ様は生まれ持った顔の良さをここまで無下にする才能をよくも持っているなと逆に感心してしまう程だ。
    「そ、そう……なのか???」
    「そこでなんでヘタレるのかな?!」
    これだから安原は!!!と怒りを顕にしたピクが安原の顔面を掴み腕が伸びる限界までその情けなさ真骨頂な顔面を思い切り引き離した。
    ――僕が世界一好きな顔を情けないヘタレ顔にしないでくれるかい?!
    とは言いつつ、ピクに好きと言われた途端狼狽えるその情けないヘタレ顔も嫌いな訳ではない、と対立した解釈違いを起こすピクなのであった。

    ――後日、とある畔にて。
    安原は木の影に身を潜め、水辺の畔をじっと見ていた。
    水辺の畔に細い人影がひとつ、穏やかな日差しが反射して太陽色の明るい髪が水面と共にキラキラと煌めく。
    長いまつ毛を羽の様に瞬かせ、大きな瞳が水面を飛び回る小鳥達を追っていると、ピンクの花冠に引き寄せられた小鳥が差し出した細い指に止まり、こてんと小首を傾げた。
    小鳥と一体何を話しているのだろう。この距離では彼らの声は聞こえないが、楽しそうに動くつぶらな唇は愛らしく弧を描いている。
    まるで絵画に描かれた楽園の妖精の様だ。これは幻覚だと目を擦ろうとするが、その幻想的な姿に釘付けとなった目は逸らす事を拒む。
    ――綺麗だ。
    少女の様に可憐で、淑女の様に艶めかしい。触れてはならない幻想の花の様なその姿に、安原はつい感嘆の息をつく。
    ――俺に気付くな。口を開くな……頼むからしゃべらないでくれ!
    「……で、安原クンはそこでなにをしてるのかなぁ?」
    「ぬぁっ?!」
    安原の切なる願いは叶う事は無く、さっきまでの幻想的な雰囲気はどこへやら、先手を取れたと小悪魔的に笑う小癪な喧嘩相手は得意げに安原を見下ろすのだった。
    ――結局はお互い、お互いの顔が世界一好みなのだ。

    本日の勝負、正直者に勝利の女神は微笑んだ、ピクの勝ち。
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