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    【安ピク】
    『中指からアイ・ラブ・ユー♡』
    Day.1 3/5

    谷のしらべ2展示作品です。
    パスワードはピクリエオンリーイベント「谷のしらべ2」の「ムムリクエリア【C7】ももいろ♡ふぉーちゅん」のお品書きにて記載しております。

    #安ピク
    #安紙
    #安原スナ×紙芝居新スナ
    #谷のしらべ2
    #展示作品
    displayWorks
    #ピクリエ

    3戦目★君じゃなきゃダメなんだ総てのスナフキンの原点である原は云う――あの二人にとって小競り合いとは出会いの挨拶と同義なのだと。
    「あ、白髪」
    「いって?!」
    おはようよりも先に髪の毛を引き抜かれた頭皮から、ブチッと明らかに余計に抜かれた音がした。
    「ちょっと!いきなりなんなんだ!ていうか何本抜いた気だい?!」
    「悪い、白髪と思って抜いたら思いの他抜けちまった」
    「全然悪いと思ってないだろう?!」
    本命の白髪一本に対して犠牲になった髪は五本。一本の白い髪と五本の太陽色の髪は安原の指から離れひらひらと風に乗ってどこかへ行った。
    「白髪が目立ってたからな……歳か?」
    「ちがいますーどこかの誰かさんに突っかかられて心痛が溜まってるんですー」
    「ほぉ、そのどこかの誰かさんを待ちぼうけてたのは何処の誰だろうな?」
    「はーぁあ?誰が?誰を?別に待ってなんかないし!!」
    安原の見え透いた挑発に乗せられたピクは立ち上がり大きな瞳で安原をキッと睨みつける。
    ピクが容易く自分の挑発に乗った事に悦を感じているのか、余裕綽々と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる安原。
    二人の間で喧嘩を告げるコングが鳴る。先制攻撃をしかけた安原のリードで喧嘩の幕が切って落とされた。
    世界に満ちる空気と同等に日常に溶け込んだ二人の小競り合いを、原はローズウッド製の相棒の調整の片手間に様子を見ていた。
    様子を見ていた、というより嫌でも耳に入る、という方が正しいのだろう。これ以上まだ何を言う事があるのだろうかと原は純粋に思うのだった。
    「全く、ホントデリカシーのデの字もない男……」
    旧に呼ばれたからと去っていった安原の背中を忌々しげに睨みつけるピク。
    「原もそう思わないかい?!」
    「ボクに話を振らないでくれるかい?君達の小競り合いに巻き込まれるのは御免さ」
    ピクの巻き込み事故を華麗にかわした原の相棒は軽やかな音色を奏でる。よし、いつもの良い音に戻ったな。
    しれっと問いかけをかわされたピクはむっと眉をしかめる。分り易いにも程があるだろうと原は小さなため息をつく。
    「そもそも君達はどうして合えば喧嘩しかしないような相手にわざわざ会いに来ているんだい?それじゃあ自ら喧嘩を仕掛けている様なものじゃないか」
    「それは……、どうしてだろう。どうしてだと思う?」
    「ボクが分かる訳ないじゃないか、君達の小競り合いの理由なんて」
    本当に心当たりがないのだろう。質問を質問で返しこてんと小首を傾げたピクとは対照的に眉間に皺を刻み明らかに苛立っている原。
    「そんなに喧嘩をするならもう会わなければいいじゃないか。それなら意味の無い無駄な喧嘩もしなくて済む、君も安原も清々するだろう?」
    「それはダメ!」
    「どうして」
    「だって……」
    とっとと話を切り上げたい気満々の原の手っ取り早い正論を真正面から否定するピクだが、その理由を問われると途端に口を噤んでふいっと目を逸らす。
    原の言い分は真っ当な正論だ。だけど何故かそれは違うと思ってしまった。
    反論をしようにも原の言い分は至極正しい。ぐうの音も出ないピクは心もたない気持ちが指先に現れスカーフの端をきゅっと握る。
    何故安原じゃないといけないのか。他の人じゃ駄目なのか?――他の人じゃ駄目なんだ。
    ふと、あの悦を得た余裕綽々で不遜な笑みが脳裏に浮かぶ。
    ――答えは一番近くにあるじゃないか。
    「……だって好きなんだもん……っ」
    好きじゃなかったらわざわざ谷を渡って会いになんて行かない。好きじゃない人となんて喧嘩どころか口すら聞きたくない。
    言うべき本音ほど軽くかわし口にしようとしないピクのえらく素直な物言いに、一瞬目を見張った原はすぐに平然を装い相棒のフォルムを黒い指でなぞる。
    「喧嘩ばかりでも?」
    「……、喧嘩するのは安原じゃないとやだ……」
    長い睫毛の影を落とし、恋色に染る頬にきゅっと力を込めたピクの表情は初めて恋を恋と呼んだ乙女の様に甘酸っぱく、いじらしい。
    「それを本人に言えたら及第点なんだけどね」
    原の目線はピクの肩越しの向こう、旧から貰ったのだろうウグイの入ったバケツを手に耳まで真っ赤に染めたイカした羽付き帽の男に向け、やれやれと呆れ散らしたため息をつく。
    総てのスナフキンの原点である原は云う――この二人にとって小競り合いとは究極に曲解した超直にストレートな熱烈ラブコールなのである、と。

    本日の勝負、原のハッパかけサポートにつきピクの勝ち。
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