本日もろふまお日和で。 収録日。神妙な面持ちで三人は顔を見合わせていた。
普段の収録日とは打って変わって、辺りは比較的静かで騒がしさとは程遠い。慌ただしく行き交うスタッフの姿も見られない。
「ッスー……、……そんなことあります?」
やや重苦しい空気の中、最初に口を開いたのは加賀美だった。
低く響いた声が静寂を裂いたことにより、ようやく発言の場が得られたと、すぐさま反応を見せたのはこれまで気まずそうに俯き気味だった甲斐田だ。
「いや、本当っすよ〜! 全員が勘違いするとか、有り得んって普通〜」
「流石に染み付いてたなぁ、収録の習慣みたいなの。俺ガチで今日勘違いしとったもん」
後頭部で両腕を組み重心を椅子の後ろに掛けた不破は至って通常運転。先程までの神妙な面持ちは何処へやら。加賀美の切り出しにより、リラックスした状態で呑気に言葉を紡いだ。
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