緋色の今を紡ぐ「叔父さん!!!」
「おぉ、ファル!元気だったか」
大きな骨張った手が、その胸に飛び付いた私の髪を綯い交ぜにする。
気付かれては、いけない。
「久しぶりだな」
父との会話を、その身体に引っ付いたまま聴いた。
出来ればこの体温に一生包まれていたいなと思いながら。
3年振りに会った彼は、前会ったときと少しも変わっていない。
強いて言うならば、またその身に纏った雰囲気に深みが増した気がする。
頭に置かれたままだった手が、何とはなくまた撫でた。
それだけのことで、心臓が酷い音を鳴らす。
深い呼吸をする。落ち着け私の心臓。
僅かに顔の角度をずらして、彼の顔を窺い見た。
その瞬間、この世のものとは思えないほど美しい瞳がこちらを向いた。
4977