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    meepoJlo

    @meepoJlo

    呪術の狗🍙棘 夢小説をこそこそ書いています。

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    約束はしない「終わったぁ」

    と、小さく呟いて、屈んだままだった背を伸ばし腕を思い切り上げる。
    よく晴れた休日の午後だった。

    昨日は任務で、学校に戻ったのは夜の9時を過ぎた頃。部屋に戻ると、無事だけ伝えてメッセージも曖昧に疲れてすぐに眠ってしまった。

    朝は迎えに来てくれた棘とゆっくりして、午後は彼の部屋のローテーブルで明日提出の報告書を作成する。

    伸ばした腕を下ろして背にしていたベッドを振り向く。
    いつもなら、頑張ったねと何らかのおにぎりの具が降って来るのだけど、今日はやけに静かで。

    「……棘ー?」

    ベッドを見れば、スマホを片手にうつ伏せで目を閉じる棘。Tシャツに薄い上着を重ねて、黒のマスクを着けたまま、肩が規則的に動いていた。静かな寝息が唯の耳に届く。

    「任務で疲れた彼女を放置ですか」

    今日は休みだし任務もない。昨日も夜遅くまで起きていたのだろうか。口をへの字にして、呟いた言葉に反応はない。
    はぁ、と小さく溜息を落として、唯はベッドの縁に肘を付いた。

    白い肌に映える長い睫毛は顔に綺麗な影を落とし、さらさらの髪を枕に散らしている。見えない口元の黒いマスクはたぶん、ネックウォーマーの代わりだろう。唯しかいない空間だけど、唯のためだけに気を遣って口元を隠して着けてくれている。
    マスクやネックウォーマーを外して口元を見せてくれるのは、食事の時と……。


    ベッドの縁から腕を伸ばして、棘のスマホを持つ手にそっと触れた。スマホを退けて、そこに唯の手を滑り込ませる。
    重なった掌は、唯のそれよりもひと回り大きくて。白くて細長い棘の指先。でも、男性ならではの骨張ったゴツゴツとした手。

    指を絡ませてぎゅっと握って。
    もう一度、棘の顔を見た。閉じた瞳は固く瞑られたまま、静かに肩を揺らしていた。

    そのまま唯はベッドに登り、棘の横に転がる。シングルのベッドに2人はやはり小さくて、寝転べばすぐ目の前には棘の顔があった。遠慮がちに端に身体を預けたが、数センチで触れてしまう距離。
    握ったままの棘の手をやわやわと握り締めたり、離してみたりしてそれを確かめた。

    意外と大きいんだよね。
    腕も、肩も。手も。
    身長はあんまり変わらないのに。

    なんて…、冷静に考えれば、ほんのりと頬が熱くなる。

    「大好きだよ」

    小さく呟く。頬を緩ませて、唯ははにかんでゆっくりと目を閉じた。もう一度絡ませた指先を折って、ぎゅっと握り締める。
    瞬間、その手をぎゅっと握り返されて。

    「…………っ?!」

    ドクン、と鼓動が跳ねて、はたと目を覚ます。
    目の前には、紫の深い色の瞳。握った手に力を入れて、悪戯な顔が唯を覗く。

    「ツナマヨ」

    目を細めて笑う棘。

    「…いつから起きてたの…?」

    真っ赤になって問えば、棘からは適当な言葉が返ってきた。

    「すじこっ」

    棘は握った手を離して、もう一度握り直す。悪戯な笑顔が唯を覗き見た。

    「明太子〜」

    「…始めから起きてたってこと?」
    「しゃけ」

    体制を変えて唯に向き直り横向きになる棘。
    楽し気に笑うその瞳に耐え切れず、真っ赤になった顔を俯いて隠した。

    「たぬき」

    頬を膨らませて呟けば、軽い言葉が返ってくる。

    「こんぶ」

    ふっと、笑う声が聞こえて。

    「ツナー?」

    呼び掛けられてちらりと目線を上げると、優しく笑う棘と目が合った。
    棘は空いている反対の手でマスクをズラして、唯の手を持ち上げる。蛇目の呪印が入った口元。
    棘がマスクを外して口元を見せてくれるのは食事の時と、唯に触れる時ーー。


    棘は持ち上げた唯の手を、口元に運んだ。包み込まれるように握られた手の甲に、そっと口付ける。リップ音が辺りに響いて、唯の胸がまた大きく鳴り出した。

    「……棘…?」

    絡んだ指を離して、唯の指先を手に取る。ペロリと出した舌先には、普段はあまり見ることのない牙の印。

    「…………っ?」

    困ったように瞳を揺らす唯を見て、口の端を持ち上げ、微かに笑う。その指先に、優しく口付けた。

    ーーそれは、唯の左手の薬指。

    戸惑う唯の顔はみるみる赤く染まっていく。
    そんな唯に視線を送りながら、棘はゆっくりと唇を離していった。

    「高菜」

    呟いた棘は、満足そうに目を細めてニヤリと笑う。唯の薬指をツツと爪でなぞり、

    「おかか?」

    笑って唯を見る。

    答えは聞かずに、掌を合わせて唯の左手をぎゅっと握った。棘は唯の頬に顔を寄せる。

    「ツナマヨ」

    元より否定する答えは唯の中にはない。唯は小さく頷いて、棘の頬に口付ける。
    唯もまた、棘の手を握る。どちらともなく自然と指先が絡んで。















    いつの日か、
    そこに指輪しるしを刻む事が、叶う日が来るのならと。

    ただ願うだけ。



    End***






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    _aonof

    PROGRESS猿と見下した相手に恋という意味で心をおられる夏の話。完成。
    「価値があるから殺さないだけ」
    「あのこ、呪われてるんです」
    「呪われてる?」
    新しい相談者の言葉に、真摯に耳を傾けるふりをする。他の信者の伝手を辿りやってきたこの相談者には、金銭と言う意味で価値が見えた。
    新たな利用価値の高い信者を増やすために、面倒でもリアクションは重要だ。相手にとって気持ちいい反応をしてやれば、話はトントンと進む。猿の話はどれもこれも誰かのためと知って結局自分の本心や見栄や保身のためであり、正直反吐が出るが、糧になる相手なら差し引き少しマイナス程度。それくらいの労力は、いずれの呪術師の世界のためなら割いても苦じゃない。
    今回相談に来た白瀬一族は日本でも有数の富豪の一族であり、上手くいけばそれなりの資金を引き出せるだろう。会社経営すら娯楽といっても構わないほどの富を築き、その才能ゆえに富を増やすことこそあれ、衰える気配は今のところ見えない。
    「嘘をつくんです。ありもしないことを、本当のように滔々と」
    相談にやってきたのは、他の信者の紹介を受けた白瀬当主の夫人だ。一人娘が居るとは聞いていた。写真を見せられたが、表情のない写り具合は人形のようだ。何を言い出すか怖くて表に出せないという夫人が言う。ありも 8333