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    kow_7726

    @kow_7726

    忘羨、曦澄に日々救われる。

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    kow_7726

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    下戸藍湛×バーテン魏嬰
    〜モヒート編〜

    #忘羨
    WangXian

    ノンアルコール・モヒート!(10)「もう一度……したい」
     そう言われて俺は思わず笑ってしまった。
    「これからいくらでも、何度だってしたい」
     そう答えると、藍湛は少し目を見開き驚いた顔をした。この顔が、たまらなく好きなんだよな。思わず頬に唇を寄せる。
    「藍湛……俺、藍湛が……んんっ…」
     『好きだ』という言葉は見事に呑み込まれた。唇が触れ合い、幾度となく啄まれる。顎を引いてしまう俺を、追い掛ける藍湛。
     触れたいと、思ってくれているのがわかる、優しい口付け。また、膝を擦り付けたくなるような…ムズムズと腰が揺れてしまうような。
    「ん……んっ……」
    「魏嬰……」
     囁きながら舌を差し込まれる。探るような舌の動きに、そっと絡ませる。舌と舌、普通は触れ合わない所が触れ合う感触にぞくぞくする。
     暫く味わうような口付けをしてから、ゆっくり離れる唇に、互いの息は上がっていた。藍湛は本当に初めてなのだろうか。そんな事を考えながらぼんやり唇を見ていると、その唇が動いた。
    「魏嬰……」
     名を呼ぶ声にはっと気付いて視線を上げる。表情は変わらないのに、琥珀色の瞳は蕩けるように甘い色を宿していた。
    「藍湛、…本当に初めてなのか…?」
     その言葉に、きょとりと首を傾げてから頷く。
    「俺も初めてだからわかんないけどさ…キスってこんなに気持ちいいものなんだな……」
     言いながら彼の肩に頬を付ける。人の体温は、苦手だったのに…藍湛の体温はこんなにも心地良い。
    「好きな人と触れ合うって、こんなに気持ちいいものなんだな…」
     ぽつりと零れた呟きに、藍湛が顔を覗き込んで来る。
    「私も……他人に触れられるのが嫌だった」
    「藍湛も?」
     こくりと頷く。お互いが初めての相手という事に歓喜した。
    「俺もさ……苦手だったんだ。他人に触られる事自体が。多分、今も藍湛以外は無理だ」
    「うん」
     そう言う俺の頭を優しく撫でる。きっと、藍湛も同じなのだろう。俺達は、似た者同士なのかもしれない。
    「俺、誰かを愛す事が出来ないんだと思ってた。けど、藍湛に初めて恋して、どうしていいのかわからなくて…」
    「……うん」
     トクントクントクントクン。
    「こうして藍湛の鼓動の音を聞いて、落ち着くのが夢みたいだ…」
     少し速い、鼓動の音。俺も同じくらい、いやそれ以上に速いのはきっと、バレてる。
    「藍湛、何でそんなにキスが上手いんだ?」
    「君に……触れたいままに触れているだけ」
     恥ずかしさを誤魔化すように、茶化すように問いかけると真剣な答えが返ってきた。要は、欲望のままにしてるって事か?
     思案していると、藍湛のスマホが鳴った。甘かった二人の空間に突然、現実が割り込んできた。そっと身を離すと電話の邪魔にならないようにカウンター内に向かう。
    「…兄上………はい……はい…………いえ、……………しかし………はい…ありがとうございます。お疲れ様です」
     電話を終えた藍湛に、俺は何か飲み物を用意しようとカウンターに手を付いて思案していた。この前のモヒートをもう一度、ノンアルコールでと作り始める。
    「今日は、確実に、100%ノンアルコールで作るからさ、飲んでってよ」
    「……『心の乾きを癒して』……」
     教えていないカクテル言葉。この前飲ませた後に、きっと調べたんだろう。こういう所、本当に可愛いと思う。
    「明日……休みになった」
     唐突の報告に首を傾げた。ノンアルコールのモヒートを出しながら、己の分はきちんとアルコール入りのモヒートに口を付ける。
    「君と………過ごしたい」
     ぶわっと顔が熱くなるのを感じた。確実に、アルコールのせいではない。藍湛の言葉一つで、こんなにも酔う。アルコールより、かなり危険だ。
    「………うち、来る?」
     何だか、とてつもなく恥ずかしい質問を投げかけた気がするんだ。そして、返事がどっちでも絶対にとてつもなく恥ずかしくなる。
    「いいの?」
     明らかに嬉しそうな藍湛を見て、恥ずかしさが込み上げてくる。
    「うん」
     カウンターから出て隣に並ぶ。照れ臭さを誤魔化すように肩で小突けば、その肩を抱き締められる。グラスを何度も掲げて、乾杯を繰り返す。
     時計を見れば、いつも藍湛が帰る頃。静かに店を、後にした。
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