忘羨ワンドロワンライ【おままごと】「忘機の様子はどうだ?」
藍啓仁は忙しなく髭を撫でつけながら、目の前で一礼した藍曦臣に問いかけた。
「私の部屋で寝かせています。熱が高いので薬湯を飲ませました。熱が出たのは風邪のせいですが、医師はむしろ膝の裂傷の方が心配だと。薬膏を毎日塗り直し、しばらくは膝を酷使させぬ方が良いそうです」
藍啓仁は顔を顰める。雪の中、冷たい石畳の上に長く跪いていたのだ、幼い膝はどれほど痛んだだろうか。迎えに行った頃は既に痛みを通り越し、何も感じなくなっていたに違いない。
「しばらくは私の目の届くところに置いておこうと思っておりますが、よろしいでしょうか」
藍啓仁はしばし熟考する。藍曦臣は結丹したとは言え、まだ少年の域を出ない。座学は自室で行うこともできるが、剣技については兄弟子に混じっての修練が必要だ。だが、藍忘機が無理せぬように目を配るとなると、他の門弟に任せるというわけにもいかない。
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