宵の一時 藤堂が羅刹となり戦いに身を置いている最中藤堂はばったりと坂本と出くわしてしまった。とはいえ千鶴も他の新選組隊士もいない…夜の街中でのことだった。死んだと思っていた藤堂がいたものだから驚いたような顔を坂本はさせた。
「おまん…」
「坂本さん、俺…もう、人間じゃねえんだ」
同門であり師とも呼ぶべき坂本に隠し事をしたくなかった藤堂は全て打ち明ける。これまであったことを、全て。黙って聞いていた坂本がぐっと握り拳を強く握り込んだ。怒られるかと藤堂は思ったがその逆、悲しそうなけれど慈しむような目を坂本はさせた。
「…そうか、」
たった一言だった。けれどその言葉に藤堂は泣いてしまいそうになってしまい必死に堪えた。
「俺はやるべきことがある。だが、それが終わったら人の世には関わらないつもりだ…だから、」
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