だいじなもの(トマ旬)「来てくれたか、ミスター水篠」
「……トーマス」
「ご覧の通りの有様でな、会えて嬉しいぞ」
「……何で……」
「俺はやりたいようにやる。ただそれだけだ」
「俺が…俺がもう少し早く来ていれば…こんなことには…」
「自分の事は自分が一番良く分かってる。お前のせいじゃない。それに悪い事ばかりでもない、こんな美人が、服も髪も乱してすっ飛んできたんだからな…」
「煩い…!ベル、治療を!」
「よせ、無駄だ。そうだ、世界は美しい。手に入らない物ほどな。一最後に見るのがお前でよかった……旬」
「いやだ、待ってくれ、逝くな!トーマス!!」
「...玉よ、回復完了…いえ、この男、軽症にございます…」
「は」
「すみません、水篠ハンター…。重症でしたがトーマスは頑丈ですので」
「この男、自力で治したようで…キェェェ!王がお怒りだ!!」(退散)
「もういい!!帰る!!!」
「ははは、悪かった、悪かったって、機嫌なおせ、な、旬」
「紛らわしい!しかもわざと名前なんか呼んで!俺は帰る!治ったなら素材集めでも何でもしてきたらいい!」
「…だから言いましたでしょう、マスター。ミスター水の機嫌を損ねるだけと」
「ふはは、だから良いんだ、旬の怒り顔はこの世で最も貴車で美しいものの一つだぞ。ほらもっとこっちへ来て顔を見せる。…ん?お前まさか、本気で泣いてるのか?」
「~!やめろ、離せ!あんたなんかもう知らない!勝手に野垂れ死ねばいい!来るんじゃなかった!」
「美人の泣き顔も国家権力が守らないといかんな・・・・この俺だが。ガハハハ」
「くそっ!乱雑!低能!ばか!体だけ取り柄のS級め!何でこんな時だけ硬いんだ!!」
「そりゃ、せっかく手に入れた至宝に逃げられちゃ困るからな。実はMAX力んでるぜ」
「ー!限界まで上げたこの筋力でーーー!!」(ビキビキ)
「待て待てマジで待て、逃げるな、腕を折るな、飯食って機嫌を直せ。な。良い店知ってる。だいじな旬、頼むから逃げるなよ、こうでもしなきゃ世界を飛び回るお前を俺が捕まえられないだろう?」
「…不躾を承知で申し上げますが、幻と呼ばれているその店に水篠ハンターと行くためにはどうしたらよいか、マスターは四六時中頭を悩ましており、昨日はニ時間程度しか寝ておりません」
「寝てるじゃん!」
「寝てないとは行ってないなぁ、ガハハ」
「ですので、お話はこのあたりで」