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    ぐみ助(フグミ)

    @hunyasuma

    できた文をなんでも載せる倉庫。
    書くジャンルはそのときの旬で。
    小説風なものを多く置く予定です(セリフのみとか、メモ程度)
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    ぐみ助(フグミ)

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    ガンマズが恋とか愛とか何ぞやって疑問に思うのかなぁという妄想。CCでガンマズと博士がお世話になってる設定。特にCPっぽい感じはないはず。少しベジブル要素有り。
    個人的にリハビリも兼ねてます。なので話題未回収、描写サボり有りのため供養。
    9/21 ベジブルが結婚していなかったのを有識者様のコメントを見て思い出しました。大変失礼致しました。となると設定が破綻しております。本当の供養です……。

    ##DB

     いつもの平和。いつものサタンシティ。
    カプセルコーポレーションの研究室でガンマ達は暇を持て余していた。正確にいえば2号だけが。ゲーミングチェアに背を預け、足をだらしなく伸ばしている。それに対し、1号は壁に背を預け、立ったまま読書中である。

    「ねぇひまだよぉいちごー」
    「もうすぐ博士が帰ってくるはずだ。大人しくしてろ」
    「そーだけどさぁ〜構ってくれてもいいじゃん」
    「……見てわからないか? 本を読んでるときに話しかけるな。気が散る」

     またポーズでも考えてろ、と言うが、もう考えたし1人じゃつまんないと返す2号。それからは1号の本を捲る音だけが規則正しく響いていた。
     5分ほど経った頃、2号の我慢の限界がきた(これでも持った方)。ガンマ達の視界はヘド博士のコンピュータから覗くことが可能で、ガンマ達側もそれぞれの視覚を共有することができる。なのでこのように……

    (1号の本、覗き見しちゃおーっと。どうせおかたーくて、こむずかしーいの読んでるんでしょ)

     次第に2号から見える景色が変わっていく。研究室の灰色の壁から、煌びやかな服を纏った男と女が姿を表す。その隣には——シンデレラを見た王子様は、まっすぐ彼女の方へ向かい、ダンスのお誘いをしました。「なんて美しい方だ。私と一緒に踊っていただけませんか?」「ええ、喜んで」。

    「えっ意外なんですけど!?」
    「うぉっ!?」

     あまりの衝撃に2号の口から率直な感想が飛び出す。それに続いて唐突な大声に1号が驚く。

    「なになにどういう心境の変化!? うっひゃぁ〜」
    「今すぐその口を閉じろ2号」

     静かにキレた1号は銃を2号の目の前に突きつける。すぐさま謝る2号が、さすがにここでぶっ放すのまずいよ、とえらくまともな事を言うので、銃をしまうことにした。
     この本は孫悟飯の娘のパンちゃんのものだと、1号は説明した。今度、シンデレラの劇をやるのだと。どんな話か気になった1号に貸してくれたのだ。

    「だが読んでて不可解なところがある」
    「なになに?」
    「この……一目惚れ、というものをして結婚に至る流れが」
    「えー好きだから結婚? したんじゃないの」
    「そういうものなのか……?」
    「……ごめんボクもわかんない」

     またも沈黙の空気が漂う。2人ともデータとして知識はあるが、よくわからない。生まれてまだ1年。知らないことが多くて当然だ。

    「はぁ〜ごめんごめん。お待たせ2人とも。お菓子買ってきたよ」

     息を切らして戻ってきたヘド博士。両手にいつものお菓子をいっぱい抱え、満面の笑みを浮かべている。するとすぐさま、帰ってきたご主人を迎える忠犬のごとく、ガンマ達が駆け寄る。

    「はーい博士はいはーーい! 教えていただきたいことがあります!」
    「うわっな、なに?」
    「レンアイ、について教えてください!」
    「……レンアイ? あぁ、恋愛のことね。恋愛っていうのは……え??」
    「博士、私からもお願いいたします! 恋愛と、可能であればなぜ子供、という存在が産まれるのか仕組みを……」
    「へ!? えぇええ!!?」

     我が子同然であるガンマ達の質問攻めに狼狽えるヘド博士。内容がアレなだけに驚きも大きい。この手の話題ははぐらかしたり、中途半端なことを教えてしまうと、後々面倒なことになるのは意外と教えた張本人だと決まっている。  
     わあわあ騒ぐ二人を前に、心の中でため息を吐いた博士は腹を括る。一人ひとりを椅子に座らせ、その辺に置いていたホワイトボードを引きずって、ザ・講義スタイルで博士はポジションをとった。





    「まあこの図にあるように、男女間の性行為からやがて女性側が妊娠、という状態になってね……」

     極めて冷静な態度で講義は進んでいく、が、内心はおもクソ恥ずかしい気持ちでいっぱいのヘド博士。我が子に性教育する父親とはこんなに大変なんだろうか。

    「わ、わかったかな?」
    「はい。ありがとうございます。ただ、やはりその行為に至るまでの合意、好きという感情はどこからくるのでしょうか」と、1号。
    「その好きって恋愛ってやつだと何か違うんですか? ボクみんなこと大好きだけどこれじゃないの? なんで??」と、2号。
    (う、うわーーーー!!!)
    「えぇっと、好きな相手にはドキドキして……一種の緊張状態というか……あ、そうそう。お腹の中に蝶がいる感覚らしくて、」

     的を得ない説明に対し、ガンマ達は真剣に話を聞いていた。……そう、博士はピチピチの24歳で元気なDTである。いいなぁという相手はいたがいかんせん、この性格で付き合える人などいなかった。元気な妄想を言えば素直なガンマ達は親同然の博士の言うことを鵜呑みにするだろう。それは、あまりにも、よろしくないわけで。

    「っごめん、やっぱりなし! ちょっと待っててー!!」

     またもや研究室から飛び出して行った博士。その真意がわからず、二人はただ疑問符を浮かべて待つのだった。





     ほどなくして帰ってきたのは博士は博士でもブルマ博士だった。

    「なーんかヘドくんに頼まれちゃったんだけど。なに、アンタたち。恋とか愛とか知りたいらしいじゃない」

     驚くガンマ達だったが合点がいった。ブルマは旦那も子供もいる。まさに経験者、プロの領域の人だ。さすがヘド博士。

    「はい! ブルマさんはどうして今の旦那さんと結婚したんですかー?」
    「んんん、いきなり直球ね。まあなんでって言われると困るところよねぇ」
    「えっ”好き“だから結婚をしたのではないのですか」
    「もちろん好きよ。大好き。愛してるってやつね」
    「???」
    「まあ強いて言うなら、ベジータも私も、“誰にも渡したくない”って思ったからかしら」

     そう言ったブルマは、ふっと笑みを溢し、目を細めてガンマ達を見据える。

    「恋愛ってあんた達が考えるよりよっぽど複雑なのよ」

     それから長々と夫のベジータや息子のトランクス、娘のブラについて語られた。今でこそ一緒にいる関係だが元々は敵同士で、お互い良く思ってはいなかったと。なのに惹かれあってしまう恋だとか愛の気持ちが芽生える人間が、やはり不思議であった。ヘド博士の時と同様に真剣に聞いていた2人だったが、ブルマの話しぶりが変わり、次第に女子会トークのようなノリに。

    「アイツあんな堅物そうだけどけっこうかわいいとこあんのよ。それを見れるのも家族の特権ってやつ」
    「あーわかるぅ! 1号も博士の前だと真面目ぶってるのに、ボクの前だと乱暴するもんね。この場合相棒の特権?」
    「おい語弊がありすぎる。訂正しろ」
    「なによ1号、好きな子はいじめちゃうタイプなわけ?」
    「えっそうなの!?」
    「っ……!!」

     あまりにも1号に苦手な空間ができあがってしまった。片手のひらで自身の顔を覆う1号。その指の隙間から見えた窓は、気がつけばオレンジ色をしていた。

    「ブルマさん。そろそろ夕飯の準備をする時間では」
    「あぁそうね。ありがと。あー語った語った! けっこう面白かったから、気が向いたらまた相談にのってあげるわね。じゃねー」
    「「あ、ありがとうございましたー」」

     捲し立てるような締めの言葉と、ひらひら手を振り去るブルマに慌ててお辞儀をするガンマ達。そして、本日三度目の2人きりの時間がきた。最初に口を開いたのは2号だ。

    「……すごいね、人って。この世界で一番好きって人と思いが通じ合って結婚して、性行為して、赤ちゃんができて、子供ができるんだね」
    「そうだな」
    「なんかわかるーって部分もあったけど、まだわかんないとこもあったなぁ。やっぱり、どうしてもボクたちじゃずっと……わかんないままなのかな」

     ポツポツ話出してからずっと、2号は少し悲しげな表情をしていた。急にらしくない顔を見せるんじゃない、と1号が言う。

    「そんなことはないだろう。……オレたちはヘド博士の最高傑作なのだから」

     いつものように強い意志を感じる声と眼差しに2号は思わず目を見開いた。そうだ、何も不安がることなどない。

    「っうん! そうだね」

     2号もいつもの満面の笑みで返す。1号はやっぱり、かっこいい。

    「ねぇ、1号は共感できるとこなかった?」
    「オレ、は……」

     急な質問に顎に手を当て考え込む。今日の記録映像を早送りで再生する。
    (ベジータも私もーー)

    「……あった」
    「えっなになに!?」

     どうせ「なかった」と答えると思っていた2号は、嬉しそうにぴょんぴょん跳ねながら相棒に詰め寄った。目を輝かせて回答を待つ。それに対し、1号の目は真っ直ぐ2号を捉えていた。

    「お前を、誰にも渡したくない。というところだ」
    「……うぇ!?」

     2号の思考回路が1号の言葉を理解するのにたっぷり3秒はかかった。とたんに身体中、特に脳のあたりがざわざわ落ち着かない。2号は思い出す。博士の言葉を。

    「どしよ、いちご。口からちょうちょあふれそう」
    「は!!?」

     間に受けた1号は2号を抱えて、ヘド博士に緊急メンテを求め走り出した。お互いが抱いた感情は果たして何なのか。意外とすぐにわかるかもしれないです。
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