ガンマズの本日のミッションはそれぞれ仕事をしに出かけた孫悟飯とビーデルから託された娘の遊び相手になること——実のところ、パン自らガンマ達と遊びたいと言ったのだが。何事もヒーローらしく振る舞い、使命感があるほどやる気が出る二人。何事も全力で、責務を全うする。
午後イチから外で追いかけっこや水切りで遊び(この三人の場合ほぼ修行に近い)、ヘドの研究室へ戻るとおやつの時間に差し掛かっていた。ちょうどお気に入りのやつ切れそうだったし、ついでにパンちゃんのも買ってくるねと、ヘドが買い物に。帰りを待つ間、三人でまったりとおしゃべりをする。
ふと、パンが1号をじっと見つめる。
「どうしたんだ? パンちゃん」
するとパンは笑顔で答える。
「んふふ。いちごーくんはね、パンの組手の相手してくれるし、悪い奴をすぐやっつけちゃうとこが、とっても強くてかっこよくて好き!」
「そ、そうか。ありがとう……」
急な賛辞に照れる1号。それに気を良くしたパンは今度は2号へ顔を向ける。
「んひひ。にごーくんは、一緒に空の散歩したり、ぎゅって抱っこしてくれるのが、とっても楽しくてあったかくて好き!」
「へへっ。ありがとうー!」
2号はパンの笑顔に負けないくらいの喜びを浮かべた。
「もちろん、ヘドくんも好きだよ」
「えっ」
「どういうところが……?」
ちょいと空気が一変。まさかこの場にいないヘドへの好意的な感想があるとは。その好意が“れ”で始まり“い”で終わるものが付くのだとすれば、由々しき問題である(彼らはヘド博士にゾッコンの為)。
固唾を飲む二人にやはりパンは笑顔で言う。
「優しくて、かわいいところ!」
「「わかる。」」
何も問題などなく、むしろ大歓迎な台詞であった。
◇
「お待たせ〜」
「あっかわいいヘドくんが帰ってきた!」
「なんて?」
「「お帰りなさいませ我らの愛らしいヘド博士!!」」
「おかえりなさーい」
「なんて??」
留守番中に“ヘド博士大好きクラブ”が設立されているなど、知る由もなく。