「1号、ボクからのキス嬉しいでしょ?」
(なんてね)
「何を言っているんだ。嬉しいに決まっているだろう」(真顔で)
(そ、そういうとこ〜〜〜!!!)
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「ね、キスしていい?いい??」
「……だめだ」
「なんでー? する前にちゃんと聞いてるし、二人っきりなんだからチャンスじゃん」
「声色にいやらしさがある」
「えー……1号、キス、させてください」(真剣に)
「っ……!」
「したいです……だめ?」
「わ、わかった。いいから。そんな顔するな……」
「へへ。やったぁ」
(いつも、思うが……なんでこいつの口付けは上手いんだ……!?)
耳元で「1号かわいい……」
「また、そういうことを……!」
「言っておくけど、ボクのキスは囁き込みだからね。覚えておいて……」
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総帥のつまらん会議中。
(あ……嘘だ……そんなはずは……)
「……? 1号どうかした?」
「いや、なんでもない」
(……信じられん。こんなときに、2号と……キスがしたい、などとーー! 耐えろ。耐えるんだ、俺。この時間をやり過ごせばどうせあいつは隙をついてキスをしてくる。それはもうしつこいくらいに。よし、我慢だ)
「…………」1を横目に見ながら不敵に笑う2
◇
(……2号からのキスがない、だとーー?)
「暇だな、1号」
「……そうだな」
(暇ならさっさとキスをしろ!いつものお前はどうした!? 招集もなく二人きりなんだぞ!? こんな絶好のチャンスを逃すのか!?今しなくていつするんだおい!!)
◇
1週間後。
(……もしかしなくとも、俺は2号に嫌われたのか? だからキスの一つもしてくれなくなったのか)
「……はぁ」
「……ね、いちごー」
「あ?」
「……キス、したい?」
「……は?」
「ボクさ、ずーっと待ってたのに。全然おねだりしてくれないんだもん。お堅すぎなのも大概にしてよね」
「なっ、え……」
「言ってよ。ボクとキスしたーい。キス、してほしい〜って」
「……っ言えるか! そんなこと」
「ふぅん……1号のばぁか」
1の胸ぐらを摑んで引き寄せキス。角度を変えながら何度も啄む。
「ど? お預けくらった後のキスの感想は?」
「……ん、足りない」とろんとした目。ようやく待ち望んでたことができて、回路ショート気味。
「!! そっか。じゃ、その表情に免じて、許してあげる。いーっぱい、しようね」
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「いい加減言わせてもらうが……」
「なに?」
「お前の口付けはしつこい」
「えーそんなことなくない?」
「ある!!!!」
「ぅわ声でっか」
「昨夜の時なんか——」
◇
「っ! イ、ぅあ……!」
「ふぅっ……あ〜〜……! はぁ、気持ちかったねぇ1号」
「……ああ。そうだな」
「へぇ。素直じゃん……ん」
2からの口付けを受け入れた1。だったが、長い。体感5分くらい。痺れを切らした1が勢いよく顔を逸らす。
「もういいだろう」
「やだ。ちゅー……ちゅーしようよぉ……」
「しない」
「ちゅーしてないと死んじゃう……」
「ふざけたことを抜かすな!」
「ボク、真面目なのに……」
2の泣き落としスイッチが入る。こうなると面倒なことを1はよくわかってる。諦めのため息。
「わかった。好きにしろ」
「いちごぉっ……! すき、んっ〜〜! すきぃ……」
「んぐ! 〜〜!!」
「いちごーのここ、柔らかくって気持ちぃ……」
「お、まえだって同じだろうが!!」
「んー? でもね、なんか違うの。ほんとだよ。ずっとちゅーしたくなっちゃう」
恥ずかしく、居た堪れなくなった1。口をはくはくさせて何も言い返せない。
「その顔いいね。かわいい」
1の唇以外の顔中にキスを落とす2。
「ふふ。やっぱり口にするのが1番好き♡」
「それで、お前が満足したのはいつだ?」
「えーっと、朝になってたね?」
「殴る」
「ちょっでも1号だって満更でもな、イタぁ!!!!!」