とあるカルデアで、キャスター対策委員会なるものが定期的に開かれている。委員会というが、メンバーはたったの2人。委員会にしたのはただ響きがかっこよかったから、それだけのこと。この会では特定のキャスタークラスのサーヴァントに翻弄されてしまう同志であり、NP50 %チャージスキル持ち、全体バスター宝具のランサー……エレシュキガルとアルトリア・ランサーがお互いの悩みをぶつけ合う。ただの、女子会である。
「今日は特別ゲストを呼びました!」
「おぉー」
「藤丸立香さんです!」
ランサーのパチパチ音
「……えーっと、俺ここにいて大丈夫?殺されない?」
(キャスニキとか王様とかとかとかとか!)
「なんでマスターが命を落とすことになるのだわ?」
「何が起ころうともマスターのことは私が守りますのでご安心を」
(天然しかいない!!!)
「……と、さっそく今日の議題はこれよ」
どこからか出してきたフリップを机にドンと置くエレシュキガル。それには『キスをするタイミングについて』と書いてある。
(やっだこれ俺聞いちゃだめなヤツーー!!)
「アルトリア……貴方はその、よく自分からしてるって言ってたじゃない?私も頑張って挑戦してみてはいるのだけれど、は、恥ずかしくって……!」
(あぁ……エレちゃんはかわいいなぁ……)
「私の場合は相手方がする気配がないといいますか……むしろ隙だらけなので、したい時にしちゃってますね」
(あぁ……トリアさんはかっちょいいなぁ……)
「そ、それでもすごいのだわ。羨ましい……キャスターってば、人目がないタイミングですぐにキスをするから……」
「ほぉ。ちなみにどのよう感じでしょうか?」
「えっ!」
(あぁあああああああああああああ俺は空気ぃいいいいい)
「……っどんな……?」
ほわんほわんエレエレ〜
〜レイシフト先にて〜
「それじゃあ指示どおり、北の方角へ進んでくよー」
「「あーい」」
マスターにぞろぞろ着いてく鯖たち。後続にエレシュキガルとキャスニキ。
「嬢ちゃーん」
「?なに、」
(チュ)
「!!」
「ご馳走様♡」
「こ、こんな……感じ……」
「クーフーリン・キャスター……やはり不埒な男ですね」
(えっあの時そんなことしてたの???)
「あの、私ばっかりじゃなくて、貴方のも聞いても?」
「ああ、はい。そうですね……」
ほわんほわんトリア〜
「キャスター。また寝ていないのでは」
「そんなことは、ない」
「嘘をつかないでください。ほら、寝室に行きますよ」
賢王の腕を摑んで引っ張っていこうとするアルトリア。しかし賢王は、少しも動く気配がない。
「……キャスター?」
「余計なお世話だ。我のことは気にし、」
(チュ)
「します。貴方のパートナーなのですから」
「こういう時にしがちですかね」
「ひゃ〜〜!!」
※マスターは甘酸っぱさの摂取量の限界値を超えたため気絶してます
「アドバイスというほどではありませんが、戦闘と同じですよ。相手が油断をする癖と隙がわかれば、躊躇わずにいくのみです」
「なるほど……キャスターのこと、もっと観察してみるのだわ」
「ええ。エレシュキガルならできますよ」
あははうふふと笑い合う2人。その様を眺めることしかできなかったマスターの顔は悟りを開いている。
(俺、必要だったのかな……とりあえずここの話は墓場まで持っていこう)
解散後、どこからか聞きつけてきた金髪と青髪の強面キャスターズに詰め寄られたマスターが軽くチビったのを知るのは、通りすがりのフォウくんだけであった。